メールマガジン No.6(2005年10月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.6(2005年10月号)
2005/10/07 広島大学大学院文学研究科・文学部

□□目次□□
1.中国短期留学を経験して(富田顕子・柏本真依子・前本 希)
2.今月のコラム(文学研究科 狩野充徳 教授)
3.文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より

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【1.中国短期留学を経験して】
歴史学コース(東洋史学分野)2年 富田顕子・柏本真依子・前本 希

 8月、私たちは北京に3週間の語学留学に行ってきました。首都師範大学で授業を受け、自由時間は北京市内で観光や買い物を楽しみました。

 故宮を訪れたとき、今まで写真や映像でしか見たことのなかったものを目の当たりにし、実物の迫力に圧倒されました。その壮大さに感動しながらも、人の多さと敷地の広大さにはぐったりしました。出発前に万暦帝に関する本を読んでいたので、明の十三陵の見学が特に興奮しました。北京の中心地からバスでも結構な時間がかかったので、陵を造営するに当たって実際に皇帝が歩いたというのが、いかに大変であったかが感じられました。もしも私たちが、遺跡が建てられた時代背景などについてもっとよく知っていれば、感動はより大きかっただろうと考えるとちょっともったいない気がしました。

 8月15日をはさんでいたこともあり、日本人だということで嫌な顔をされるかと思っていましたが、実際はそんなことはまったくありませんでした。政治的には様々な問題を抱えている日中関係ですが、人と人との付き合いでは笑顔で言葉を交わせたことが大変うれしかったです。しかし、せっかく中国の人が話しかけてくれても言っていることはほとんど聞き取れず、申し訳ない思いと歯がゆい思いでいっぱいでした。日本人は中国人と同じく漢字を使うので、聞き取れなくても見ればわかるといった甘えが私たちの心の中にあったのだと思います。

 3週間という短い期間に、日本で中国語を学んでいただけではわからない中国の雰囲気というものを体験でき、中国に対する関心が増したことはもちろんですが、外国から日本を見られたことはとてもよい経験であったと思います。

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【2.今月のコラム】

 「厳島研究と私」
中国文学思想文化学講座:教授 狩野 充徳

 厳島(宮島)は比較的近い地元ということで、以前から花見、海水浴、紅葉狩りなど、よく遊びに出かけたものである。最近はこういった気楽な厳島訪問ではなく、諸資料を見るために出かける。私が興味を抱いているのは、碑文であり、標柱の宣揚文であり、文人墨客の残した漢詩文や書画(印記を含む)等である。それらが厳島の資料となり、『藝藩通志』『佐伯郡誌』『宮島町史』などにも掲載されている。ただ、そこには翻字の誤りが僅かながらも存するので、やはり現物確認が不可缺であり、補助的に拓本を利用する手もある。この内、碑文では大聖院入口の白糸川畔に立つ、伊藤博文が弥山登山道を改修したことを記念した「藤公修磴碑」がある。これを今から約二十年前に、ある公民館の依頼を受けて講座で取り上げ、現地で読んだことがあった。昨年十二月には二回ここを訪れて一字一字を追いながら、原文確認をした。午後からのこととて、碑石は影になって見辛く、薄暗くなって段々と冷えて来る中を書写し終わり、併せて厳島神社社務所近くの標柱も現物確認した。この九月初旬には台風十四号の土石流で、白糸川畔の住宅街が被害を受けた。過日現地を訪れたところ、幸いにもこの碑は無事であった。この碑文には二十年前に未解読が一箇所あった。それをどのように扱ったのか、手元に記録があるはずであるが、急には探し出せない。今回読み直しても、相変わらずその箇所が読めない。漢文読解能力は、二十年間少しも進歩していないと情ない思いである(日本漢文には、中国のそれとは異なる難しさが時としてある)。それで、忙しさもあって放着不管(そのまま置きっ放し)であるが、もう一度現地訪問をして、新たな気持でこの箇所の解読に取り組みたいと思っている。

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【3.文学研究科(文学部)ニュース】

*広島大学大学院文学研究科講演会「人文学の社会連携を考えるII」
  2005年10月31日(月)  13:30〜16:00
  広島大学中央図書館ライブラリーホール(東広島キャンパス)

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【4.広報・社会連携委員会より 勝部 眞人】

 メールマガジンも、すでに6号を数えることができました。誌面作りを主に担当している委員の隠れた努力もありますが、友の会会員の方が現在大きく増えているという状況も、メールマガジン発行を支える大きな力だと思います。ご加入いただいた会員の方々に、改めてお礼申し上げます。
 さて今号は、夏に中国へ行った3人の学生の感想、中国文学専門の狩野先生が厳島研究に対して感じる思いを掲載してみました。10月31日の、社会連携を考えるシンポジウムの案内も、あわせて掲載しました。
 学生の感想にあるように、中国の歴史的建造物はたしかにスケールが違うと私も思います。紫禁城のみならず頤和園や万里の長城、南京の中山陵など、どれをとっても圧倒されました。大陸的…というのでしょうか。 ご意見・ご感想などあれば、ぜひお寄せ下さい。

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リテラ友の会・メールマガジン
オーナー:広島大学大学院文学研究科長 岸田裕之
編集長:広報・社会連携委員長 岡橋秀典
発行:広報・社会連携委員会
 
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