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メールマガジン No.116(2023年9月号)

メールマガジン No.116(2023年9月号)
リテラ友の会 メールマガジン No.116(2023年9月号) 2023/9

□□目次□□

1.広島大学オープンキャンパス2023報告
2.第19回 文藝学校のご報告
3.広報委員会より

1.広島大学オープンキャンパス2023報告

 8月17日・18日、広島大学オープンキャンパスが開催されました(文学部は17日に実施)。昨年度に引き続き、事前予約制での現地開催でしたが、今年度も定員を大幅に超過するご応募をいただき、約300名の方にご来場いただきました。
猛暑の中お越しくださった皆様ならびに開催にご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。残念ながらお越しいただけなかった皆様におかれましても、引き続き公開中のオープンキャンパス2023オンラインコンテンツをぜひご参考にしていただけますと幸いです。
当日の個別相談対応及びオンラインコンテンツの作成に協力いただいた学生さんの感想をご紹介します。

~迎える側としてのオープンキャンパスをふりかえって~
【地理学・考古学・文化財学プログラム 地理学分野 3年 牧田智大】
 今年のオープンキャンパスでは,地理学・考古学・文化財学プログラム代表として個別相談対応を担当しました。歴史学など、他の4プログラムと比較して自分が対応した件数は少なかったのですが、その分一人一人の相談に時間を割くことができました。
事前の予想に反して専攻内容に関する相談は少なく、受験勉強の不安や悩みに関連した相談がほとんどでした。
 不安で一杯の高校3年生の夏、訪れた大学で学生と個別に相談する機会を得たのなら、聞きたい事は自ずと受験に関連したものになるでしょう。忘れかけていた自身の受験生時代の記憶が一気に蘇り、高校生に一層寄り添った対応を心掛けました。私自身は一度広大文学部の受験に失敗しており、人より1年長く受験生生活を送っています。こうした経験も、受験生を勇気づけるのに役立てられたのではないかと思います。実際に、不安が和らいだとか、心配事が解消したというコメントをもらうと嬉しい気持ちになりました。
 個別相談対応のほかに、オープンキャンパス用の地理学教室紹介動画の作成を去年に引き続き今年も担当しています。動画編集の経験など無く、去年は前任者の作成した動画をもとに必要な部分を修正したのみでした。編集スキルの僅かに向上した今年は、去年の動画を視聴した人からの意見を反映させた改良版となりました。今でこそ大学での研究内容について詳しくなりましたが、高校生の頃はどんなに情報収集しても大学がどんな場所か、はっきりしたイメージを持てずにいました。少しでも不安の解消とモチベーション向上の助けになればと思いながら作成しました。
迎える側として今回オープンキャンパスに携わったことで、高校生の視点に立ち返って今の自身の環境を捉え直す事ができ、今後の学業への意欲を高められました。
 

学部長によるご挨拶

学部長によるご挨拶の様子

学生による個別相談会の様子

学生による個別相談会の様子

前野教授による文学部紹介の様子

前野教授による文学部紹介の様子

研究室公開の様子

研究室公開の様子

2.第19回 文藝学校のご報告(令和5年8月27日)

 連日30度を超していた暑い夏の終りの8月27日の日曜日、恒例の広島大学「文藝学校」が鳥取県米子市「本の学校」2階多目的ホールにおいて3年ぶりの対面で開催されました。コロナ禍の期間、一度はオンライン形式で開催されていましたが、昨年はやむをえず中止されました。第一回から毎回参加の方もおられ、先輩教授から米子の「文藝学校」の受講生はことの他熱心であると前評判を聞いていました。昨年NPO法人「本の学校」の代表者が交代となり、事前のPR不足か、午前中は空席が目につきました。地元の高校生も模擬試験や運動部の大会等と重なって姿が見えず、今年はやや寂しい再開かと思われました。
 世話人の今林修教授の朝の挨拶で、ホールには心地良い緊張感が漂い、講演者も地元の関係者も講演会の開催をまずは喜び合いました。
 一人目の講演者はフランス文学語学の宮川朗子教授で、目下研究中であるという「珠玉のエンタメ小説「シェリ・ビビ」シリーズの世界」について、豊富な画像と解説資料をもとによどみなく語られました。フランス文学には興味深い推理小説や大衆小説が多くあり、実在の殺人犯が題材に使われた場合もあり、文学作品がたびたび映画化され、ビジネスと結びついた事情を解説されました。宮川教授が翻訳された作品は大衆小説に数えられたことから、フランスでは研究の価値が低く見られてきましたが、今は開拓すべき研究領域に変わってきたとお話しされました。
 

宮川教授の講演様子

宮川教授の講演様子

 二人目の講演者、今林教授は、イギリス文学の名場面をいくつかあげながら、小説の語りの問題を英文法の視点から一般の人にも分かりやすく英文に即して講義をされました。語り手の心情が伺える箇所を指摘して、登場人物の心情に寄り添うような場面では動詞と話法が巧みに使い分けられているそうです。堅苦しそうに思えた英文法も、今林教授の美しいイギリス英語の発音や的確な逐語訳と登場人物に関する心情の解説を聞くほどにすっかり垣根が低くなり、受講生も小説の世界に引き込まれていくかのようでした。

今林教授の講演様子

今林教授の講演様子

 三人目の講演者はドイツ文学語学の小林で、「ドイツの動物寓話にみる諷刺と教訓とユーモア」と題してドイツ文学におけるイソップ寓話の受容を解説しました。ルター,レッシング,ヴァイセ,ゲーテ,グリルパルツァーにおけるイソップ寓話のバリエーションと受容を説明しました。ドイツ語に全く触れたことのない方も、配布された翻訳と講義資料をたどりながら、有名な作家や文豪の人生観や価値観にふれて、諷刺や教訓とユーモアを一緒に味わっていただけたのではないかと振り返りました。

小林教授の講演様子

小林教授の講演様子

 午後の部に入った頃から少しずつ飛び入り参加の方も加わり、教室内が賑やかになってきました。古参の受講生は、四人目の講演者、位藤邦生(いとうくにお)名誉教授のお話しを楽しみに来られました。令和4年秋、位藤先生が<瑞宝中綬章>を叙勲されたことを今林教授が改めてアナウンスすると、お祝いの拍手が起こりました。位藤先生は源氏物語の新しい解釈本を手にして、作者の紫式部の生い立ちや家族、作品の主要な登場人物の関係や平安社会の様子を、自由な語り口で解説されます。位藤先生は時には世界情勢や野球、政治、文化等、雑談も交えて、肩が凝らない程度によどみなく語られました。

 受講生も博学で文学好きの方が多いです。日本文学,英文学,中国文学,ドイツ文学などジャンルを超えて活発に質問をし、議論に積極的に加わってこられます。普段みる大学生の反応とは全く違うもので、ここに集まった人達が、日々の生活や人生において文芸を心の糧にしてこられた様子が伝わってきました。(位藤邦生名誉教授)

位藤邦生名誉教授講演の様子

位藤邦生名誉教授講演の様子

 文藝学校が第20回を迎える来年は、記念の講演会として、8月第一週の土日2日間かけて行います。筆者にとって鳥取県は未踏の地でしたが、米子の建物と道の広さ、街の文化的な雰囲気と大山一帯の緑の景色に魅せられました。教員の世代交代があっても、文藝学校の営みはこれからも続いて欲しいものだと切に思いました。
                                             (報告:ドイツ文学語学分野教授 小林英起子)
 

3.広報委員会より

【広報委員会委員  八尾 隆生】

 今号ではオープンキャンパスの報告と広島大学「文藝学校」講演会報告を中心に構成いたしました。報告してくださった牧田智大さんと小林英起子先生に、感謝を申し上げます。
昨年度同時期に刊行されたメルマガの編集後記を読んでおりますと、「いよいよ秋も深まってきたかな,そろそろ冬支度をしないといけないな」なんて書いてありましたが、今年度はまだまだ夏・・・「これからは台風の季節」と言いたい所なのですが、豪雨被害は既に日本はもちろん世界各地で発生しております。
よく聞かれるのが、「こういう非常時(しかも常態化しそう)にあって、人文学とは如何なる価値があるのか」という自者他者からの声。ただ人生は楽しむためにあるのであって、大学での授業はもちろん「文藝学校」講演会などで教員はその存在感を示し、オープンキャンパスで有為の若者を引きつける努力も怠ってはならないのでしょう。定年前の老人の独り言でした。
 

 

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学文学部長  友澤和夫
編集長:広報委員長  末永高康
発行:広報委員会

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