広大OB田中太郎~リアルを語る~第21弾 「今の時期になってもまともな会社からの内定がもらえません」

Q.今の時期になってもまともな会社からの内定がもらえません

 
A.「まともな会社」って何ですか。あなたが就職活動がうまくいかない理由が、この言葉から透けて見えます。

 
 あなたが「まとも」と思う会社ってどんな会社でしょうか。株式市場に上場しているのか、誰もが知る有名企業なのか、それとも親族や友達に自慢できる会社か、はたまた初任給が30万円超えているか。まぁ、これらがいろいろな比率で混じり合っているんでしょうね。

 でも、学生のあなたは、まだまだ社会を知らない。たとえば、社会から高い評価を受けているという基準の一つである上場企業が「まとも」というのであれば、目の前の紙に上場企業の社名を書き連ねてみてください。恐らく100はいかないでしょう。でも上場企業って4000あるんですよ。

 皮肉を込めて言えば、航空会社、旅行会社、総合商社やテレビ局は格好いい仕事で、まともな会社なんですよね。じゃぁ、一般的には社名を知られることがない化学品製造とか、自動車部品とか、物流会社とか、業務用データ処理の仕事は格好悪くまともじゃないんでしょうか。

 あなたのためを思って厳しいことを申し上げますが、あなたがまともだと評価しなかった企業の中にも、極めてまともな企業が山ほどあります。しかし、そんな企業にあなたが中途半端な気持ちで志望したところで、門前払いにしてしまうでしょう。いまだに内定をもらえない理由は、あなたの方で勝手な解釈で会社を値踏みしているからじゃないでしょうか? そんな気持ちなんて、簡単に見抜かれてしまいます。落ちて当たり前です。

 じゃぁ、選ぶべき会社ってどこなのか、あなたはそう言うでしょうね。

 そんなもん、入ってみるまで分かりません。有名企業を含め、それは運です。

 「ここだ」と太鼓判押せる会社がないわけじゃないですが、20年後まで太鼓判押せるわけじゃありません。でもあなたは40年くらい働くことになるのです。どんなお薦めをしたところで、無責任であることには変わりないです。

 あなたのおじいさんの世代、将来有望な企業は3白と呼ばれていました。白いものの製造業、つまり紙、砂糖、肥料(セメントを加える人もいます)です。両親の世代なら、電気、自動車、金融、広告となるでしょうね。肥料や砂糖の会社って、いまは人気企業ランキングで名前を見ることはありませんよね。大手金融機関は派手に倒産し、大人気だった電機メーカーも業績不振から合従連衡を繰り返しました。人数が多いバブル採用組は常にリストラの対象です。

 どれも、激動の歴史であったことがうかがえます。

 直近の就職人気企業調査から推測すれば、IT、総合商社、食品、航空といったところがいまどきの人気企業となるでしょうか。歴史は間違いなく繰り返します。恐らくこれから30年の間に、これらの人気企業も激動の時代を迎えることは必定です。

 結局のところ、まともな企業って、まっとうな経営者の下でまっとうな事業をやって、まっとうに社員を処遇するところであって、それ以外の条件はありません。その意味では、事業の内容なんてこだわっても仕方がないといえます。

 どんな会社から社会人としてのスタートを切るのか。それは確かに重大事です。しかし、決定的ではありません。いまどきは30歳まではかなり自由に転職ができます。組織の力から個の力が重視される時代へと変わりつつあるのが、いまの社会です。社会人になってからは、「どこに入った」よりも「なにを経験してきたか」があなたの評価を決めるのです。

 不本意かも知れませんが、これからの就職活動のなかで縁のあった企業が第一志望です。まずは社会人としてのスタートラインに立つことを最優先に考え、目の前にある企業を色眼鏡なしで見てみることから始めませんか。

 

 

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