平成28年度前期国際学会参加報告

氏名 研究室名 国際学会名
八橋 孝介 健康開発科学 Second International Conference on Mindfulness
藤野 智恵理 生体機能分子動体態学 The 11th International ISSX Meeting
草本 寛 医薬分子機能科学 HUPO 15th Annual World Congress(HUPO 2016)
羽田野 直人 外科学 The Society for Surgery of the Alimentary Tract in 57th Annual Meeting at Digestive Disease Week
于 連升 細菌学 17th International Symposium on Staphylococci and Staphylococcal Infections(ISSSI) 2016
上田 章雄 上肢機能解析制御科学 International Society of Electrophysiology and Kinesiology
黄 烙明 地域・学校看護開発学 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 2016(ARVO2016)
西山 菜々子 精神機能制御科学 9th World Research Congress of the European Association for Palliative Care
沖 佳史 先端歯科補綴学 The 11th Scientific Meeting of the Asian Academy of Osseointegration
坂井 寛 消化器・移植外科学 2016 American Transplant Congress
松原 知康 脳神経内科学 Alzheimer's Association International Conference 2016
浅野 孝基 小児科学 17th European Society For Immunodeficiency(ESID 2016)
角 奈央 小児歯科学 2016 IADR/APR General Session & Exhibition
桑原 渉 上肢機能解析制御科学 SpineWeek 2016
二宮 悠樹 消化器・代謝内科学 Digestive Disease Week 2016
矢野 琢也 消化器・移植外科学 26th International Congress of The Transplantation Society
柳川 泉一郎 消化器・移植外科学 26th International Congress of The Transplantation Society
池田 健一郎 疾患モデル解析学 71st ANNUAL MEETING OF THE CUA

 

八橋 孝介(博士課程後期2年 保健学専攻 健康開発科学)

Second International Conference on Mindfulness(ローマ)に参加して

私は、2016年5月11日から15日までの5日間、ローマで開催されたSecond International Conference on Mindfulnessに参加し、“Mothers’ parenting attitudes and mindfulness are related to social skills and problem behaviors of young children”という演題で、母親の養育態度およびマインドフルネスと幼児の社会性の発達との関連を調査した内容についてポスター発表を行いました。幼児期の子どもの養育において、母親のマインドフルネスを涵養することの重要性について学会参加者と様々な意見交換を行いました。マインドフルネスは「気づき」と直訳される概念ですが、主に「いま、ここ」に対する意識の持ち様、あるいは自身の呼吸や身体感覚に能動的な注意を向け、様々な気づきを促す介入法を指す言葉として用いられています。マインドフルネスは、元々は東洋の思想がベースとなっていますが、研究においては欧米が遥か先を進んでいます。本学会はローマでの開催ということもあり、欧米のマインドフルネス研究者が多数参加しており、また最先端のマインドフルネス研究についての様々なシンポジウムやポスター発表が行われており、私にとって非常に学びの多い学会でした。中でも、今後の研究において私が行いたいマインドフルネス介入について多くの示唆が得られたことは、今回の学会参加における最も大きな収穫でした。本学会は私にとって初めての国際学会であり、この度は大変貴重な経験をさせていただきました。最後になりましたが、このような機会を与えてくださった指導教員の小林敏生教授ならびに大学院生海外発表支援関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

藤野 智恵理(博士課程2年 医歯薬学専攻 薬学専門プログラム 生体機能分子動態学)

The 11th International ISSX Meeting(釜山)に参加して

2016年6月12日から16日に韓国の釜山で開催された、The 11th International ISSX Meeting(国際薬物動態学会)に参加しました。初めての国際学会発表で緊張しましたが、多くの方々が質問に来てくださり、とても良い経験になりました。私は「PREDICTABILITY OF METABOLIC ACTIVITIES OF CYP2D6 SUBSTRATES USING CHIMERIC MICE TRANSPLANTED WITH HUMAN HEPATOCYTES」という演題で、ヒトの肝細胞を移植したキメラマウスを用いた薬物代謝のヒトの個人差予測についてのポスター発表を行いました。薬物のほとんどは肝臓で代謝を受けて排泄されやすい構造へと変化します。しかしこの薬物代謝を担う薬物代謝酵素の活性には種差や個人差が存在することが知られており、創薬においてこれらを予測するアプローチが重要となります。その中で、マウスの肝臓をヒトの肝細胞に置き換えた、ヒト肝細胞移植キメラマウスが注目されています。私の発表では、このキメラマウスがヒトの薬物代謝の個人差、特に薬物代謝酵素の一つであるシトクロムP450(CYP)2D6遺伝多型を反映するか否かを検討した結果を報告しました。多くの海外の研究者が私の発表内容に興味を持ってくださり、貴重なアドバイスをいただくことができました。慣れない英語で苦慮しましたが、今後の研究に生かせるヒントも得られ、大変有意義な時間になりました。今回の経験を生かして今後も研究に精進していきたいと思います。
最後に、このような発表の機会を与えてくださった先生方、および大学院医歯薬保健学研究科の方々に深く御礼申し上げます。

草本 寛(博士課程前期2年 薬科学専攻 医薬分子機能科学)

HUPO 15th Annual World Congress(HUPO 2016)(台北)に参加して

私は9月18日から22日まで台湾・台北で開催されたHUPO 15th Annual World Congress(HUPO 2016)に参加しました。この学会において、私は“Thio-tag tip method by using zinc(II)–cyclen-attached agarose beads for enrichment of cysteine-containing biomolecules”というタイトルでポスター発表を行いました。この発表はチオール基(SH基)を有する化合物を特異的に捕捉する亜鉛錯体・Thio-tag を用いた新規分離技術に関する報告です。近年、チオール基含有分子の生体内作用が注目を集めており(チオールバイオロジーと呼ばれる)、この研究もチオールバイオロジーの発展に寄与する技術になると確信しています。国内外の研究者と議論を行うことができ、今後の研究に向けた課題や目的・目標も明確に持つことができました。また、チオール基の酸化修飾に関するシンポジウムでは、様々な最新の研究にも触れることができ、新たな知見を得られました。そして、Student Travel Awardを受賞するという名誉もいただきました。
この学会には、プロテオミクスに関する幅広い分野の研究者が参加しました。様々な国の様々な分野の研究者と会い、研究に関することはもちろん、研究以外のことについても話をする貴重な機会となりました。学会期間中に多くの経験を積むことができ、来年以降もHUPOに参加して発表したいと感じました。この思いも糧にして、今後もさらなる研究に取り組んでいきたいと思います。
最後に、今回の学会参加にあたりご指導、ご支援いただいた小池透教授をはじめ医薬分子機能科学研究室の皆様、関係者の方々に深く感謝いたします。

羽田野 直人(博士課程3年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 外科学)

The Society for Surgery of the Alimentary Tract in 57th Annual Meeting at Digestive Disease Week(サンディエゴ)に参加して

2016年5月21日から5月24日にかけてカリフォルニア州サンディエゴで開催された〝The Society for Surgery of the Alimentary Tract in 57th Annual Meeting at Digestive Disease Week〞において〝Prognostic value of circulating tumor DNA in pancreatic ductal adenocarcinoma〞という演題で研究成果を報告しました。本研究は既存のリアルタイムPCRの限界を超える能力を有するDroplet Digital PCRシステムを用いて、膵癌患者の血液中における癌細胞由来の遺伝子変異(circulating tumor DNA: 以下ctDNA)の検出を行い、膵癌治療におけるバイオマーカーとしての有用性を検討した研究です。広島大学病院で切除した浸潤性膵管癌を対象とし、既存の腫瘍マーカーを含む各種臨床病理学的因子と長期予後との関連性を検討しました。ctDNA陽性は独立した予後不良因子であり、ctDNAの検出は術前評価可能となるバイオマーカーとして有用な指標になる可能性があることを報告しました。今回の研究内容の発表に関して、当該専門家より高評価をいただき、Poster of Distinctionを受賞することができました。また様々な貴重な意見をいただき、今後の研究発展の発展に寄与できる有用な学会となりました。

于 連升(博士課程4年 医歯薬学専攻 歯学専門プログラム 細菌学)

17th International Symposium on Staphylococci and Staphylococcal Infections (ISSSI) 2016 (ソウル)に参加して

2015年8月30日から9月2日にかけて韓国のソウルで開催された「The 17th International Symposium on Staphylococci and Staphylococcal Infections - ISSSI 2016 SEOUL」に参加し、“A novel transcriptional regulator of biofilm formation from a clinically isolated super biofilm-forming S. aureus”という演題でポスター発表をさせていただきました。バイオフィルム(BF)内で生育している細菌は、抗菌薬や消毒剤への抵抗性を示し、感染症治療上大きな問題となっています。私どもは臨床分離株の表現型解析の過程で、BF超高産生性TF2758株を見出しました。TF2758の遺伝子発現解析から、BF産生に関与する新規転写因子Rob(repressor of biofilm)を見出しました。本研究では、RobのBF形成における制御機構について検討しました。
初めて国際学会に参加し、多くの方から貴重なご意見、ご質問をいただき、非常に有意義な経験となりました。最後に、本研究にあたり、ご指導いただき、海外発表という貴重な機会を与えてくださった先生方、またご支援いただいた大学院医歯薬保健学研究科海外発表支援関係者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

上田 章雄(博士課程後期1年 保健学専攻 上肢機能解析制御科学)

International Society of Electrophysiology and Kinesiology(シカゴ)に参加して

私は、2016年7月5日から8日にかけてアメリカのシカゴで開催されたThe 21st International Society of Electrophysiology and Kinesiology Congressに参加させていただきました。『Performance task score during observing slow speed and a first-person perspective anatomical model motion movie』という題目でポスター形式にて発表させていただきました。2年に1度行われる学会ということで、アメリカを始めとする多くの国々からたくさんの研究者が参加されており、連日沢山の口演やポスター発表が行われ、日本では聞けないような発表も多くあり、研究のための情報収集や研究者として自分に足りないものを認識する機会として、非常に貴重な体験となりました。
私は上肢を使用した運動学習において実動作と同側、鏡像もしくは無関係の動画を観察したときの運動パフォーマンスの向上に対する効果とそのときの脳活動の変化を比較した内容について発表させていただいたのですが、同分野を研究されている先生方から方法論など様々な点でディスカッションをすることができ、今後の研究につながる課題も明らかとなり、非常に有意義な時間を過ごせました。今後も国際学会には積極的に参加し、海外研究者と、よりよい英語でのディスカッションを行うことによって自分の研究を深めたいと考えています。
最後になりますが、このような機会を与えてくださった諸先生方、ならびに大学院生海外発表支援関係者の皆様に感謝いたします。

黄 烙明(博士課程後期1年 保健学専攻 地域・学校看護開発学)

The Association for Research in Vision and Ophthalmology 2016(ARVO2016)(シアトル)に参加して

2016年5月1日から5日にかけてアメリカのシアトルで開催されたThe Association for Research in Vision and Ophthalmology 2016(ARVO2016)に参加し、“Visual acuity and its related factors of primary school students in Japan”という演題でポスター発表させていただきました。本発表は、日本の小学生の視力不良と生活習慣の関連要因を検討したもので、視力低下の要因を明らかにすることにより、視力不良の予防対策も可能となると考えました。
ARVOは、視覚と眼科学に関する研究において権威ある学会であり、会員は80か国以上12,750名を超える最も大きな学会です。世界レベルの大きな学会に初めて参加し、学会の規模の大きさや発表内容の多様さに驚きました。自分と似た研究を数多く見ることができ、多くの知見を得ることできました。最新の研究手段はウェアラブルデバイスで人の生活習慣のデータを客観的に得て、研究の信頼性を高めることができ、大変勉強になりました。また、世界各地の研究者からのアドバイスをいただき、研究方法と対象を明らかにすることが重要だと感じました。
本学会を通して、研究者として自分に足りないものをいっぱい認識し、非常に貴重な経験となりました。このような機会を与えてくださった先生および支援室の皆様に深く御礼申し上げます。

西山 菜々子(博士課程前期2年 保健学専攻 精神機能制御科学)

9th World Research Congress of the European Association for Palliative Care (ダブリン)に参加して
 
私は2016年6月9日から11日にかけてアイルランドのダブリンで開催された9th World Research Congress of the European Association for Palliative Care(EAPC)に参加し、ポスター発表を行いました。 EAPCは緩和ケア領域における代表的な国際学会で、本会にも世界各国から臨床家や研究者が参加していました。私は“A clinical study on the hope of rehabilitation for advanced cancer patients in palliative care setting whose performance status was 3-4?”という演題で、緩和ケアの対象となる進行・終末期がん患者のうち、ADLに支障をきたす時期にある患者のリハビリテーション(以下、リハビリ)に関する希望と実施されたリハビリ内容についての調査を発表しました。ポスターは3日間掲示され、会期を通して海外からの参加者と討議する機会を得ることができました。今回研究テーマとした緩和ケア対象となる終末期がん患者のリハビリに関する研究報告は国内外ともにまだ少ない分野であるため、本会を通じてこの分野に興味を持つセラピストと討議し、交流できたことは大変有意義なことでした。また、緩和ケア領域で著名な研究者に直接質問できる機会もあり、大変勉強になりました。一方で、研究に関する専門的な内容について英語で表現することの難しさと必要性を再認識し、今後の課題となりました。今回の学会参加で得られた経験を今後の臨床研究に活かしていきたいと感じました。最後になりましたが、このような発表の機会を与えて下さいました岡村仁教授、そして、大学院生海外発表支援関係者の皆様に深く感謝いたします。

沖 佳史(博士課程4年 医歯薬学専攻 歯学専門プログラム 先端歯科補綴学)

The 11th Scientific Meeting of the Asian Academy of Osseointegration(バンコク)に参加して

この度私は、2016年6月3日から6月4日にかけてタイ王国のバンコクで行われた、The 11th Scientific Meeting of the Asian Academy of Osseointegrationに参加し、“Intermittent parathyroid hormone administration is effective to achieve favourable primary stability and osseointegration in rabbit osteoporosis model”という演題でポスター発表をさせていただきました。本研究は、卵巣摘出およびステロイド持続投与により作製した骨質低下モデル動物を用いて、副甲状腺ホルモン間歇投与による骨質改善がインプラント埋入時の初期固定およびオッセオインテグレーションの獲得に及ぼす影響を検討したものです。ポスター討論の時間にはたくさんの方が興味を持って質問してくださり、研究のデザインについても意見やアドバイスをいただき、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。ただ、英語での会話は聞き取れないことも多く、自分の拙い英語では伝えたい内容を上手く説明できず、自分の英語力のなさを痛感しました。また、他の参加者の方の発表を聞く機会もあり、日本の大学から参加されていた先生方が流暢な英語でディスカッションを行う姿はとても格好良く、よい刺激になりました。今後はもっと英会話を練習して、十分なディスカッションができるように努力しようと強く思いました。最後になりましたが、今回このような貴重な発表の機会を与えていただき、ご指導いただいた諸先生方、ご支援いただいた大学院医歯薬保健学研究科に心より感謝申し上げます。

坂井 寛(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 消化器・移植外科学)

2016 American Transplant Congress (ボストン) に参加して

2016/6/11-15にアメリカ合衆国のボストンで開催されたAmerican Transplant Congressへ参加しました。本学会はアメリカ国内のみならず、全世界から移植医療に関する臨床、研究両面の最新の知見が発表される、移植医療に関して世界最大規模の学会です。
本学会で私は大学院で研究を進めている、血液型抗原応答性B細胞の活性化機構に関して発表しました。血液型不適合臓器移植の成績向上には、血液型抗体関連拒絶反応の制御が必須となります。そのためには血液型糖鎖抗原に特異的に応答するB-1細胞を制御し抗体産生を抑制することが重要です。以前より当教室では、血液型A型抗原に応答するB細胞はCD5+B-1a細胞サブクラスに分類され、これは免疫抑制剤、シクロスポリンで抑制されることを報告してきました。抗体関連拒絶反応の発症に感染症が関与しているという報告がありますが、本研究では、外来抗原由来のtoll-like receptorリガンドによる刺激が血液型抗原応答性B細胞へ加わると、CD5-B-1b細胞として活性化され、シクロスポリンの抑制効果に抵抗性を示す事を突き止めました。また、B-1b細胞活性化によるシクロスポリン抵抗性の抗血液型抗体産生は、toll-like receptor阻害剤とシクロスポリンを併用投与することで制御可能となり抗体価は抑制されることをマウスモデルで証明しました。
本研究に関して参加者とのディスカッションを通して研究への考察を深めるとともに、研究成果を世界へ発信する国際的な視野を養う大変有意義な機会となりました。

松原 知康(博士課程3年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 脳神経内科学) 

Alzheimer's Association International Conference 2016 (トロント)に参加して

この度、2016年7月25日から27日までの期間、カナダのトロントで開催されたAlzheimer's Association International Conference (AAIC) 2016へ参加させていただきました。AAICは、アルツハイマー型認知症に関する最大の国際学会です。私は「The Raft-derived Tau-associated Vesicles Are Incorporated into Pretangles」という演題名で、所属する研究室で新たに見いだされた「Raft-derived Tau-associated Vesicles (RTVs)」というアルツハイマー型認知症の基本的病理学的所見である神経原線維変化の前段階となる構造物について発表させていただきました(発表の導入部分はhttps://youtu.be/34taWNW5w_Iでご覧いただくことができます。)ポスター発表でしたが、多くの方が足を止めて私の発表を聞いてくださり、事前に用意した関連論文の別刷が足りなくなるほどでした。その一方で、語学力不足を痛感しましたので、今後は語学力を磨き、次の国際学会に臨もうと考えております。
最後になりましたが、研究のご指導をいただき、国際学会で発表する機会を与えてくださった脳神経内科学の先生方、また、ご支援をいただきました医歯薬保健学研究科に深く御礼申し上げます。

浅野 孝基(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 小児科学)

17th European Society For Immunodeficiency(ESID 2016)(バルセロナ)に参加して

2016年9月21日から24日にかけてスペインのバルセロナにて開催された第17回European Society for Immunodeficiency (ESID)に参加させて頂きました。前回のチェコ(プラハ)に続き2回目の参加でした。
「Flow cytometry based simple diagnosis of activated PI3Kδ syndrome by evaluating pAKT in circulating B cells」という演題でElectric poster session(E-poster)にて発表させていただきました。Activated PI3Kδ syndromeという近年報告された原発性免疫不全症に対して、フローサイトメトリーを用いてB細胞におけるAKTのリン酸化に着目することによりシンプルに診断に近づくことができ、診断が難しく現在未診断例が潜在していると考えられる本疾患の診断にも有用であるという要旨で発表を行いました。予想以上に多くの先生に内容への興味を示していただき多くの質問を受けました。発表後もdiscussionを重ねることができ、自分の考えが至らなった視点にも気づくことができると同時に、考えを深めることができ有意義な発表となりました。またBest E-poster Awardも受賞することができ、海外学会での受賞という貴重な体験もできました。
本分野では現在エクソーム解析技術の目覚ましい進歩により、新しい疾患原因遺伝子が続々と見つかり、それに続く機能解析も着々となされています。海外研究者の実験から発表、報告へのスピード感とコホートの大きさなど、日本との大きな違いを肌で感じることができ危機感を覚えました。同時に、海外と戦うために日本人の特徴を活かして研究を行っていくことの重要性を実感しました。
最後に、研究に関しご指導いただき、このような発表の機会を与えてくださいました小林正夫教授、岡田賢講師、ご支援頂きました医歯薬保健学研究科に感謝申し上げます。

角 奈央(博士課程2年 医歯薬学専攻 歯学専門プログラム 小児歯科学)

2016 IADR/APR General Session & Exhibition (ソウル)に参加して

2016/6/22〜2016/6/25に開催された2016 IADR/APR General Session & Exhibitionは、私にとって初めての学会ポスター発表であり、初めての国際学会参加でした。英語によるポスターの作成に始まり、質疑応答等の英語でのやり取りに戸惑いもありましたが、何か得られる物があるのではと参加を決めました。
今回私が発表した内容は、齲蝕の原因菌と呼ばれるS.mutansの伝播に関与する因子についてです。本実験の場合、伝播とはS.mutansがヒトからヒトへ、家族内や育児機関内で伝わることを指します。多くの遺伝表現型があるS.mutansの中でも、伝播するものとしないものとでは何が違うのかを、様々なデータをもとに考察しました。
齲蝕罹患率の低下で、日本国内では齲蝕に関する関心が下がってきたように思われますが、全国平均で見れば減少したように見える齲蝕も、地域差が大きく、未だ重度齲蝕にかかる子どもは少なくありません。また、目線を世界に変えても同じようなことが言えます。発展途上国や発展途中の国々では齲蝕罹患率が高く、それに応じて齲蝕への関心も高いのです。国内での学会では、その国での流行で研究内容が変化していく傾向にありますが、国際学会では演題の分野が幅広いのが特徴ではないかと思います。
また、研究分野だけでなく開催国の文化を知るきっかけになるということも、国際学会に参加する上でとても有意義な点だと考えます。全体を通して、今回の学会参加は私にとってとてもいい経験となりました。

桑原 渉(博士課程後期1年 保健学専攻 上肢機能解析制御科学)

SpineWeek2016(シンガポール)に参加して

2016年5月16日~20日にシンガポールで開催されたSpineWeek2016という学会に参加させていただきました。本学会は4年に1度開催される、脊椎に関連した学会の合同学会であり、18もの学会が名を連ねていました。私はその中でも国際腰椎研究会議(The International Society for the Study of the Lumbar Spine:ISSLS)でポスター発表をさせていただきました。題目は“Spinal movement improved after decompression surgery in patients with lumbar spinal stenosis on three-dimensional gait analysis”でした。腰部脊柱管狭窄症患者に対して歩行解析を行い、術前では健常者とは異なる脊椎の運動を示し、術後1ヵ月においては健常者と同様の運動を示すことを報告しました。医師の先生方から2点質問を受け、ポスターの図を駆使しながら何とか質問者が理解できる回答を行うことができました。今回の海外発表で感じた課題は、英語でのコミュニケーション能力の欠如です。受動的な会話や質問には対応できても、能動的に会話をしたり質問したりすることができませんでした。幸いにも、当研究室には留学生が在籍しています。積極的にコミュニケーションを図り、この課題を少しでも解決できるよう努力していきたいと思います。
最後に、このような発表の機会を与えて下さった諸先生方、またご支援頂いた大学院生海外発表支援の関係者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

二宮 悠樹(博士課程3年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 消化器・代謝内科学)

Digestive Disease Week 2016(サンディエゴ)に参加して

私は2016年5月21日~24日にアメリカのサンディエゴで開催された Digestive Disease Week 2016に参加し、ポスター発表を行いました。『Surveillance colonoscopy using magnification without removal for minute adenoma - based on the concept of semi-clean colon』という演題で、大腸微小ポリープの取り扱いに関する発表を行いました。ポスターの前で待機していると多国籍の参加者から多くの質問を受けましたが、自分の思うことを十分に伝えることができない部分もあり、英語でのdiscussionの大切さが身にしみてわかり、今後の英語学習のモチベーションにつながりました。またその他の発表を聞くことにより、これまでにない自分のテーマの最新の知見を得ることができました。発表を英語で準備をしたことにより、同内容を速やかに英語論文化できたのも嬉しい収穫でした。学会が行われたサンディエゴは明るい雰囲気の穏やかな街であり、料理がすべて美味しかったのもいい思い出です。今後は今回の海外学会参加の経験を生かして日常診療・学術活動に励んでいきたいと思います。最後になりましたが、このような発表の機会を与えていただきました消化器代謝内科学の茶山一彰教授、内視鏡診療科学の田中信治教授、直接のご指導をいただきました内視鏡診療科学の岡志郎先生に心より御礼申し上げます。

矢野 琢也(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 消化器・移植外科学)

26th International Congress of the Transplantation Society(香港)に参加して

2016年8月18日から23日にかけて香港にてTTS 2016が開催されました。この学会はInternational Congress of Transplantationであり、2年に一度開催され、特に今年は開催開始から50年目という節目の年でもありました。開催場所はHONG KONG CONVENTION AND EXHIBITION CENTRE (HKCEC)で香港最大のコンベンションセンターで世界各国からの参加者で非常に活気が溢れていました。私はオーラルプレゼンテーションで、『Reduction in CXCL9–CXCR3 signals diminishes TRAIL-expressing liver NK cells in partially hepatectomized mice under depressed immune status.』という演題で、大学院で研究を続けていたNatural killer細胞に関する研究のうち、肝臓切除後の肝細胞癌再発に対するNK細胞の機能低下メカニズムの研究結果をまとめて報告しました。肝細胞癌に対する肝切除術は治療の第一選択肢ですが、切除後の再発はまだ重要な課題であり、再発メカニズムの1つとして肝切除後の肝臓内免疫低下が挙げられています。そのため肝臓切除後のNatural killer細胞の変化に着目し、その研究結果を報告しました。肝切除後の肝臓内免疫と肝再生に関する質問を受けて討論することができ、非常に有意義な機会を得ることができました。また、国際学会で各国からの発表を聞くことができ、現在の移植医療の現状を理解する上で学ぶべき点が多く、これからの研究に生かしていき、その成果を積極的に発信していきたいと思います。
最後になりますが、研究の御指導いただいた先生方、御支援いただいた大学院生海外発表支援関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

柳川 泉一郎(博士課程3年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 消化器・移植外科学) 

第26回国際移植学会(香港)に参加して

2016年8月17日~23日の間、香港で第26回国際移植学会が開催され、初日より参加してきました。私自身は海外への学会参加は初めてのことで、大変貴重な経験となりました。大学院入学後に、大段教授の指導の下、「臓器移植における慢性抗体関連型拒絶反応の解明」に取り組んで参りました。慢性抗体関連型拒絶反応は、ドナー特異抗体(DSA)が原因と言われておりますが、その機序の解明はされていません。そこで、ヒト細胞を重症免疫不全マウスへ生着させた「ヒト化マウス」を用いて、研究を行っております。今回の発表では、実験の途中経過と結果を「Development of an anti-HLA antibody-producing humanized mouse model」の演題名で、ポスターセッションで発表させていただきました。口演のセッションと違って、ポスター1枚に実験結果と考察をいかに簡潔かつ印象強くまとめるかという点に苦労しました。また、ポスターセッションにて、他者のポスターを色々と拝見しましたが、実験結果のまとめ方やポスター作製の工夫についても、大変勉強になりました。またの機会には、口演で発表できるように実験を継続していきたいと思います。

池田 健一郎(博士課程4年 医歯薬学専攻 放射線医科学専門プログラム 疾患モデル解析学)

CUA 2016(バンクーバー)に参加して

2016年6月25日から6月28日まで、カナダ バンクーバー(The Westin Bayshore)において開催されましたCUA 2016 (71st Annual Meeting of Canadian Urological Association)へ参加し、ポスター発表をしてまいりました。日本人の参加者は少なく、カナダの泌尿器科医が中心の学会であり圧倒されましたが、日本の学会と似ている点や異なる点などいろいろ気づくところがありました。
私の発表は原爆被爆者における発癌に関するものでしたが、興味をもって質問してくださった先生方もあり、国内の学会での質問とは視点が異なっていたこともあり、今後の研究の課題も見つかりました。
また、私が大学院で学んでいる発癌モデルマウスを含めた遺伝子改変マウスについて、泌尿器科領域において解析を行っている研究者とも交流を持つ機会を得ることができました。臨床的な意義を常に意識しつつ研究を行っていく必要性を感じ、とてもよい刺激になりました。
今回このような機会を与えてくださった腎泌尿器科 松原昭郎先生、原医研疾患モデル解析分野 本田浩章先生、諸先生方、本学大学院生海外発表支援関係者の皆さまには心より御礼申し上げます。
 


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