令和4年度後期国際学会参加報告

氏名 研究室名 国際学会名
徳永 希 薬効解析科学 Neuroscience 2022
佐倉 文祥 小児科学 THE European Society for Immunodeficiencies
菊本 舞 脳神経内科学 Neuroscience 2022
門野 充記 腎臓内科学 KIDNEY WEEK 2022
原 大輔 腎臓内科学 KIDNEY WEEK 2022
堀之内 峻之 感覚運動神経科学 5th International Brain Stimulation Conference
石原 萌香 スポーツリハビリテーション学 International Association for Dance Medicine and Science 32th Annual Conference
田村 佑樹 スポーツリハビリテーション学 2022 Asia-Singapore Conference on Sports Science
長尾 拓海 スポーツリハビリテーション学 2022 Asia-Singapore Conference on Sports Science
村田 菜奈子 スポーツリハビリテーション学 2022 Asia-Singapore Conference on Sports Science
弓井 康平 耳鼻咽喉科学・

頭頸部外科学
BACO International 2023
山下 琴美 地域・学校看護開発学 8th Public Health Conference 2022
橋口 直史 整形外科学 8th Congress of INDIAN CARTILAGE SOCIETY & 7th Congress of ASIAN CARTILAGE REPAIR SOCIETY
濵 陽子 先端歯科補綴学 31st Dysphagia Research Society annual Meeting
MD JIAUR RAHMAN 国際保健看護学 Preventive Medicine 2023
MD MARUFUR ROSHID 精神機能制御科学 Preventive Medicine 2023

 

徳永 希(博士課程後期1年 総合健康科学専攻 薬科学プログラム 薬効解析科学)

Neuroscience 2022に参加して

私はサンディエゴで2022年11月12日から16日までの5日間にわたって開催されたNeuroscience 2022 に参加し、「Downregulation of astrocytic connexin43 potentiates amitriptyline-induced brain-derived neurotrophic factor through lysophosphatidic acid receptor1/3, Src, and extracellular signal-regulated kinase」という演題で発表いたしました。今回が初めての国際学会への参加であり、その規模の大きさに圧倒されました。原稿やポスターの作成に関しては、国内学会ではあるものの、一度英語での発表を経験していたのであまり苦労はしませんでした。しかし、いざ発表するとなると緊張で英語がなかなか出てこず、自身の英語力の基盤がないことを痛感しました。また、これまではコロナ禍で他大学の先生方とお話しする機会が少なかったのですが、今回様々な先生方と交流することができ、コミュニティが広がったことも貴重な経験となりました。毎日新しい出会いがあり非常に刺激的でしたし、自身の研究に対するモチベーションがまた一つ上がりました。今回、国際学会に参加させていただく機会を設けてくださった諸先生方や、支援をしてくださったすべての方に厚く御礼申し上げます。

佐倉 文祥(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 小児科学)

THE European Society for Immunodeficienciesに参加して

この度、2022年10月12日~15日にスウェーデンのヨーテボリで開催されたTHE European Society for Immunodeficiencies に参加しました。本学会は原発性免疫不全症(PID)の分野において最大規模の国際学会で、世界各国から2,000名以上の研究者が参加していました。そのような有数の学会で口頭発表をさせていただくという非常に貴重な経験をする事ができました。発表は、「A PROTEOME-BASED APPROACH FOR THE DIAGNOSIS OF INBORN ERRORS OF IMMUNITY」というタイトルで行いました。内容は、“Mass spectrometry-based proteomics”と“PID責任遺伝子”をターゲットにしたRNAシーケンスを統合したオミックス解析でPIDの遺伝子診断効率を向上させた、というものです。具体的には、PID遺伝子のmRNAとタンパク発現量を網羅的に解析することで、疾患責任遺伝子や免疫細胞機能障害の同定を行いました。さらに解析する中で、半数以上のPID関連遺伝子でmRNAとタンパク発現量に不一致が認められ、一部の症例ではタンパク発現量のみが診断に寄与することが明らかになりました。このことから、PIDの分野ではまだあまり着目されていないproteomicsの重要性を唱えた、という研究内容になりました。発表後は多くの参加者からコメントや賞賛の声をいただき、広島大学発の新たな研究として世界の研究者達にアピールできたのではないかと思います。また、学会から発信された最先端の情報も得ることができ、研究者として研鑽を積むとともに、今後の更なる研究を行うための良い動機付けになりました。本学会を通して得た経験を活かして、より臨床医学に貢献できる研究を進めていきたいと思います。

菊本 舞(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 脳神経内科学)

Neuroscience 2022に参加して

2022年11月12日から16日にかけて、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴにてNeuroscience 2022が開催され、ポスター発表をさせていただきました。私は「“Raisin bread sign” as a radiological feature of patients with pontine autosomal dominant microangiopathy and leukoencephalopathy」という演題で発表を行い、遺伝性脳小血管病であるpontine autosomal dominant microangiopathy and leukoencephalopathy (PADMAL) の診断の一助となり得る画像所見について提示を行いました。

遺伝性脳小血管病であるPADMALの症例に関する報告は国内・国外ともにまだ限定的ですが、今回私は遺伝子検査を行ってPADMALの家系を3家系同定し、その中で診断に有用と思われる特徴的な橋の多発病変を"Raisin bread sign"と名付け、診断精度の向上に寄与しうる所見として発表いたしました。会場ではmedical doctor以外の参加者の方からもご質問をいただくことがあり、病態機序に対するより深い考察を行う契機となりました。

NeuroscienceはSociety for Neuroscienceが年1回開催し、世界各国から神経科学に携わる研究者が集まる大規模な学会です。神経変性疾患などの医学的な内容に関する講演以外にも、より基礎的な側面にフォーカシングしたセクションが数多くあり、非常に良い刺激を受けることができました。今回の学会参加を励みとして、今後も大学院での研究活動に邁進して参ります。

末筆になりましたが、この度の海外学会発表に際してご支援いただきました先生方、ならびにご関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

門野 充記(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 腎臓内科学)

KIDNEY WEEK 2022に参加して

2022年11月3日~6日にアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで行われたKIDNEY WEEK 2022に参加し、ポスター発表を行いました。演題名は「Adipose-derived mesenchymal stem cells cultured in serum-free medium attenuate acute contrast-induced nephropathy by exerting anti-apoptotic effects」です。造影剤誘発性急性腎障害(CIN)は臨床では日常的に遭遇する病態ですが、いまだに有効な治療方法が確立されていません。そこでCINの新たな治療戦略として間葉系幹細胞(MSC)に注目しました。MSCは損傷した組織に対して抗炎症作用や抗アポトーシス作用を発揮し、さらに無血清培地で培養すると抗炎症作用が増強されることが明らかになっています。本研究では無血清培地で培養したMSCが、CINモデルマウスの尿細管アポトーシス、腎機能を改善するのか検討しました。その結果、無血清培地で培養したMSCはCINモデルマウスの尿細管アポトーシスを顕著に抑制し、腎機能障害を著明に改善しました。初めての国際学会発表で緊張して挑みましたが、モチベーションの高い研究者達と意見交換をすることが出来て非常に刺激的な経験となりました。貴重な機会を与えていただいた諸先生方、ならびに本学関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

原 大輔(博士課程3年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 腎臓内科学)

KIDNEY WEEK 2022に参加して

2022年11月3日-11月6日にアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催された「KIDNEY WEEK 2022」に参加し、「Inhibition of H3K4 trimethylation ameliorates peritoneal fibrosis and senescence」というタイトルでポスター発表を行いました。

腹膜透析は優れた治療法ですが、長期の治療により腹膜線維化が惹起され、腹膜機能の低下や被嚢性腹膜硬化症と呼ばれる合併症を起こす可能性があります。そのため、リスクが高い場合には腹膜透析を中止せざるをえないという現状があります。

この研究では、腹膜線維化の過程に老化が関与していること、老化により炎症や線維化が惹起されている可能性、そして老化を抑制する治療によって腹膜の炎症や線維化が抑えられ、腹膜機能を温存できる可能性があることが示唆されました。

新型コロナウィルス感染症蔓延のため、現地開催は3年ぶりでした。各国から多くの研究者が集まっており、ディスカッションも盛んに行われ、非常に活気のある国際学会でした。私にとっては初めての国際学会での発表でしたが、非常に有意義な時間であり刺激になりました。

最後に、貴重な発表の機会を与えて下さいました先生方、および、ご支援いただきました大学院生海外発表支援の関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

堀之内 峻之(博士課程前期2年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 感覚運動神経科学)

5th International Brain Stimulation Conference に参加して

この度、2023年2月19日-22日にポルトガルのリスボンで開催された5th International Brain Stimulation Conference へ参加し、「The effects of unilateral and bilateral transcranial static magnetic field stimulation over the premotor cortex on simple and choice reaction times」という題目でポスター発表を行いましたので、その内容について報告します。

本研究では、運動前野への経頭蓋静磁場刺激が、選択反応課題及び単純反応課題の反応時間に及ぼす影響について調査しました。経頭蓋静磁場刺激とは、頭皮上に強力なネオジム磁石を留置することで大脳皮質の興奮性を抑制する非侵襲的脳刺激法です。2011年にヒトの一次運動野への抑制効果が確認されて以降、様々な皮質領域への効果が報告されていますが、運動前野への効果はこれまでに明らかになっていませんでした。本研究の結果、一側運動前野の刺激では選択反応課題のみ、両側運動前野の刺激では単純および選択反応課題の両方において、反応時間の遅延が確認できました。このことから、両側が相補的に機能するとされている運動前野への経頭蓋静磁場刺激は、一側よりも両側刺激によって効果が顕在化する可能性が示唆されました。

私にとって初めての国際学会への参加であり、海外の研究者と議論を交わすことの重要性を感じることができました。今後は、国際学会での発表の時間を更に有意義なものと出来るよう、日々の研鑽に努めて参りたいと思います。最後になりましたが、このような発表の機会を与えて下さった桐本 光教授、感覚運動神経科学教室の皆様、ご支援いただきました大学院海外発表支援関係者の皆様に感謝申し上げます。

石原 萌香(博士課程前期2年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム スポーツリハビリテーション学)

International Association for Dance Medicine and Science 32th Annual Conferenceに参加して

2022年10月28日〜31日の4日間、アイルランド(リムリック)で開催された「International Association for Dance Medicine and Science 32th Annual Conference」に参加してまいりました。 新型コロナウイルス流行による2020年の大会中止、2021年のオンライン開催を経て、今大会は3年ぶりの現地開催となりました。

発表タイトルは「The effect of floor slipperiness on Pirouette en dehors in ballet」で、バレエダンサー自身が受傷要因として多く報告している床の滑りやすさが、実際にどのようにバレエテクニックに影響しているかを報告してまいりました。本大会はダンスや審美系スポーツの医学、教育分野で最も有名な学会のひとつであり、今回も現地約600人、オンライン約10,400人の参加者が集まりました。参加者の職種は、医師、リハビリ職、栄養士、ダンサー、教師など多岐に渡りますが、最も多かったのは私と同じ理学療法士でしたので、発表の聴講とディスカッション、その他多くの場面で、意見交換や各国の情報を知る機会に恵まれました。私自身の発表については、研究者とだけでなく、元プロダンサーの方の経験談を含めたディスカッションができ、現場で必要とされる研究を続けていく上で非常に貴重な経験となりました。今回の大会では日本からの発表者はわずか4人でした。特に、日本からの参加者で理学療法をベースに学び研究している者は私のみでした。現在の研究室で取り組んでいる多種目の研究や、別分野の研究で使われているシステムや測定方法、考え方などを応用させ、本大会のような場で情報発信をするなど、ダンス分野での研究を盛り上げていきたいと思います。この度の海外発表にあたりご指導いただいた先生方、ご支援いただいた大学院生海外発表支援の関係者の皆様に感謝申し上げます。

田村 佑樹(博士課程前期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム スポーツリハビリテーション学)

2022 Asia-Singapore Conference on Sport Scienceに参加して

2022年12月6日~7日にシンガポールで開催された2022 Asia-Singapore Conference on Sports Scienceに参加しました。

世界10ヶ国から約40名の研究者たちが参加し、スポーツに関連した様々な分野のプレゼンテーションが行われました。学会自体の規模は大きなものではありませんが、アットホームな雰囲気で、海外の研究者とのディスカッションが非常に行いやすい環境でした。どの演題でも活発なディスカッションが行われ、学会は盛り上がっていました。

私は、車いすバドミントンのスマッシュ動作を解析し、立位のスマッシュ動作と比較した研究について発表いたしました。パラスポーツはまだまだ発展途上の研究テーマですので、海外の研究者の方からも興味をもっていただき、質問もしていただきました。私にとって初めての対面での国際学会への参加でしたので、とても緊張しましたが、身振り手振りも使ってなんとか伝えることができたかなと感じております。また、私からも他の研究者の発表に質問させていただき、ディスカッションできたので、大変貴重な経験を積むことができました。ただ、海外の方と話していると私の英語力がまだ不十分と感じる場面が多く、会話が止まってしまうこともあったため、スピーキングやリスニング能力を向上していくことが今後の課題であると感じています。

今回の参加で得られた経験、さらには研究面についていただいた意見を踏まえ、今後もより一層精進していきたいと存じます。

長尾 拓海(博士課程前期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム スポーツリハビリテーション学)

2022 Asia-Singapore Conference on Sport Scienceに参加して

2022年12月6日、7日にシンガポールで開催された2022 Asia-Singapore Conference on Sport Science に参加しました。

私は、障がいのある方のパラスポーツ参加促進の一助を目的として、日常的にスポーツに参加している身体障がいがある方を対象に、パラスポーツに参加したきっかけ、継続理由に関するインタビュー調査を実施したという内容を発表しました。日本国内で開催された学会に参加し、発表したことはあったのですが、国際学会への参加、英語での発表は今回が初めての経験でした。発表当日は緊張しましたが、発表に対して複数の質問をいただき、海外の研究者と、自分の研究に関して英語で意見を交換するという貴重な経験ができました。しかし、発表中は発表資料を見ることに集中してしまい、聴者に向かって発表することができなかったことは改善点であったと感じるため、今後も積極的な学会参加などを通して、聴者を惹きつけられるようなプレゼンターになれるよう精進していきたいです。

また、私と同じ年代の大学院生がポスター発表で参加されていました。海外の研究のトレンドを知るきっかけとなったとともに、同年代の仲間と研究についてディスカッションできたことは、今回の学会に参加して印象深かったことのひとつです。

今回の学会参加で得た貴重な経験、知見を今後の研究活動に活かしていきたいと思います。

村田 菜奈子(博士課程前期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム スポーツリハビリテーション学)

2022 Asia-Singapore Conference on Sport Scienceに参加して

2022年12月6日、7日にシンガポールで開催された2022 Asia-Singapore Conference on Sport Science に参加させていただきました。

私は車いすテニス選手の肩関節傷害予防を目的とし、立位と車いす座位でのサーブ動作中の肩関節周囲筋の筋活動を比較することで傷害発生原因を検討した内容を発表しました。

海外学会かつ英語での発表は初めてだったので、とても緊張しました。海外の参加者の方から質問をいただき、拙い英語ではありましたが、ディスカッションができたことはとても有意義な経験になりました。しかし、内容の多い質問だと、どこまでがコメントでどこまでが質問なのか分からなくなることがありました。リスニング、スピーキング能力を高めることで、質問者とのコミュニケーションの向上が今後の課題です。

ポスター発表では、口述での発表と比べて、フランクなスタイルでディスカッションを行うことができました。スポーツという広い分野をテーマとする学会であったので、今まで触れる機会が少なかった領域の研究も多く、とても興味深い気持ちで海外の参加者の方々の発表を聞くことができました。女性の参加者、発表者も多く、様々な内容の研究に取り組まれており、強い刺激を受けました。

今回得た貴重な経験を活かし、今後の研究活動をより実りあるものにしていきたいと思います。

弓井 康平(博士課程3年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 耳鼻咽喉科学・頭頚部外科学)

BACO International 2023 に参加して

2023年2月15日から17日までバーミンガムで開催されたBACO International 2023に参加いたしました。BACO Internationalは英国耳鼻咽喉科学会による国際学会で、当科准教授の上田 勉先生が今回主催のバーミンガム大学へ留学されていた経緯もあり、お声掛けいただいたことがきっかけで参加させていただきました。今回私は、「Artificial Intelligence-based diagnosis of the depth of laryngopharyngeal cancer」という演題でポスター発表させていただきました。本研究は、AIを用いて咽喉頭悪性病変の深達度予測モデルを作成し、その診断能力を検討する、というものです。咽喉頭悪性病変に対する治療法としては、外科的治療や放射線治療が標準治療となりますが、外科的治療を行った場合、失声など大きな機能喪失を伴うことが懸念材料の一つとなります。近年、低侵襲手術としての経口的切除術(Transoral Surgery: TOS)が普及しており、機能温存や放射線治療の温存が可能となる一方で、深部マージンの設定が困難な症例が散見されます。断端陽性となれば追加治療が必要となりますが、深すぎる切除は嚥下障害などの術後合併症リスクが高まります。そこで今回、AIに上皮内癌と上皮下浸潤癌を学習させ、深達度予測モデルを作成し、その診断能力を検討しました。結果は内視鏡診断医の診断と同等の成績であり、臨床応用できる可能性があると考えられました。

今回このような貴重な発表の機会をいただき、また、会期中様々なセッションに参加することで医師としても一個人としても大変すばらしい経験を得ることができました。今回得た経験を活かして今後ますます精進したいと考えています。

山下 琴美(博士課程後期3年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 地域・学校看護開発学)

「8th Public Health Conference2022」に参加して

この度、2022年11月1日から3日まで、タイ(バンコク)およびオンラインで開催された8th Public Health Conference2022に参加させていただきました。私は、「A Study of Eating Habits Associated with Elevated LDL Cholesterol Levels in Fourth-Grade Elementary School Children」というタイトルで、オンライン発表いたしました。

健康な児童は、血液検査を受ける機会がほとんどなく、小学校では、定期的に計測される身長・体重のデータから肥満度(BMI)を算出し、健康状態が評価されています。本研究では、日本の小学4年生におけるLDLコレステロール高値と食習慣の関連について、報告いたしました。見た目の体格だけではわからない血清脂質の値を用いることにより、身体状況をより客観的に評価できると考えられます。生活習慣病発症予防および重症化予防対策は、世界的な健康課題であり、特に成人期以降では行動変容が難しく、早期からの予防的介入が重要であると指摘されています。近年、学童期においても、主に肥満傾向の児童を対象とした重症化予防(ハイリスクアプローチ)だけでなく、健康教育(ポピュレーションアプローチ)が世界各国で取り組まれています。一方で、健康な児童が血液検査を受ける機会は少なく、一つの地域における小学4年生全員を対象とした血液データと食習慣の関連について、関心が寄せられました。今回の学会発表での知見をふまえ、今後も解析を重ね、学童期から健康管理を行うための教育や支援の方策を検討して参りたいと思います。

最後になりましたが、この度の学会発表にあたりご指導くださいました川﨑 裕美教授および川﨑研究室のみなさま、ご支援いただきました大学院生海外発表支援の関係者のみなさまに、心より感謝申し上げます。

橋口 直史(博士課程2年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 整形外科学)

8th Congress of Indian Cartilage Society & 7th Congress of Asian Cartilage Repair Societyに参加して

私は12月16日、17日にインドのジャイプールで開催された8th Congress of Indian Cartilage Society & 7th Congress of Asian Cartilage Repair Societyに参加しました。

学会は、宿泊しているホテル内で開催されたため、面倒な移動などもなく、楽しく拝聴することができました。最近の膝関節軟骨損傷、変性に対する様々な治療法の紹介や、その臨床成績、また軟骨変性に対する基礎研究の発表が多く、私が現在大学院で研究している内容と重なることが多かったため、勉強になることが多かったです。また、インドの先生は積極的な方が非常に多く、日本の学会よりも議論が白熱していたことが印象的です。私の発表は2日目で、インド国内をTraveling Fellowshipとなるためのセッションであり、7分間の熱いプレゼンバトルを行いました。私は拙い英語でしたが、当科が施行している自家培養軟骨移植術の臨床成績を発表しました。非常に緊張しており、正直あまり覚えておりません。しかし、幸運なことにAwardをいただき、また、来年度にインドへ3週間行くことになりました。今回の学会に参加して、広島大学で行なっている自身の研究を海外へ発表することの重要性を再認識しました。本学会中に気さくに話しかけてくださったDeepak Goyal先生、インドの先生方をはじめ、このような機会をくださった越智 光夫 学長、安達 伸生 教授、そして不在の間にご迷惑をおかけした膝関節グループの先生方には感謝しております。この機会を糧に更に精進してまいります。

濵 陽子(博士課程4年 医歯薬学専攻 歯学専門プログラム 先端歯科補綴学)

31st Dysphagia Research Society Annual Meeting に参加して

2023年3月15日~17日にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコにて開催された「31st Dysphagia Research Society Annual Meeting」 に参加しました。対面での学会開催は3年ぶりとなり、3rd WDS (World Dysphagia Summit) も同時期に開催されたため、28か国から500名近い参加者がありました。

嚥下障害に携わる18分野にもわたる職種の方が参加しており、様々な国、分野の方の発表や講演を聴講することができました。嚥下障害に関する問題点や、それぞれの職種が抱える悩みは世界共通であり、患者のQOLの向上のために邁進する姿はどの国も同じであることを痛感しました。また、大会長や運営委員の方を含め、参加者・発表者の大半が女性であったこと、皆生き生きと発表し、議論を交わしていた姿も印象的でした。

私は日本の地域在住高齢者において睡眠が嚥下障害に与える影響について、ポスターにて発表しました。1時間の質疑応答形式でしたが、10名の方から質問があり、内容についての説明と感想、疑問点を聞くことで、自分の研究の改善点や強みなどを再認識することができました。また、日本からの参加者の方とお話する機会もあり、国内の学会ではなかなか知り合う機会がない方と親交を深めることができたのも貴重な経験となりました。

今回の経験を活かし、自分の研究をより良いものへ仕上げていきたいと思います。

MD JIAUR RAHMAN(博士課程後期2年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 国際保健看護学)

Attendance at the conference on Preventive Medicine 2023 at New Orleans, USA

I have attended the Preventive Medicine 2023 at New Orleans, USA which is organized by American Collage of Preventive medicine (ACPM). It was an on-site conference which was held from 20-23 March 2023. I have presented a poster presentation in this conference. 

The title of the presentation was “School-based screening and predictors of anemia among the peri-urban adolescent girls in Bangladesh.” Adolescent girls are highly vulnerable to developing anemia due to reproductive immaturity, poor personal hygiene, and lack of nutritional intake and health education in rural Bangladesh. Therefore, the aim of this research is to capture information on the prevalence and associated factors toward anemia among school-going adolescent girls in rural Bangladesh.

An epidemiological school-based cross-sectional study was conducted in two schools between January to April 2022 in Chandpur, Bangladesh. We enrolled 414 school-going adolescent girls from grades 6-10 who were between 10-19 years. Through a validated structured questionnaire, socioeconomic, dietary habits, and physical measurements were collected alongside blood for hemoglobin estimation. Through the research result I found that the anemia prevalence was 37.7%, the majority was mild (89.7%) and only 10.3% was moderate. Among anemic adolescents, 46.79% were from low-income family where 54.5% were underweight. Mother’s occupation was found to be significantly associated with anemia in adolescents (p= 0.02); mothers who had a job were risk of having a daughter with anemia compared to mothers who were housewives.

The conference was a large gathering of research scholars in the preventive medicine and public health area. It was a great opportunity for me to share my research findings with global leaders and scholars in the field of public health, and it provided an excellent platform to increase my knowledge, establish myself, and gain new insights into possible research interests.

I would like to express my deep gratitude to my academic supervisor, Prof. Yoko Shimpuku, and Dr. Md Moshiur Rahman for their guidance, as well as Hiroshima University for providing the funding support to share my research results in an international conference.

MD MARUFUR ROSHID(博士課程後期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 精神機能制御科学)

Attendance at the conference on Preventive Medicine 2023 in New Orleans, United State.

It was a pleasure for me to present a poster presentation on Preventative Medicine 2023, from March 20–23 in New Orleans, United State. This research abstract was accepted for poster presentation and as a semifinalist for the Board of Regents Scientific Excellence Award and exhibited on March 22, 2022. The title of my presentation was “Psychological distress of patients with cancer during the COVID-19 pandemic in Bangladesh”.

Patients with life-threatening disorders have a high risk of psychological distress. Disruptions in treatment plans as well as fear of corona virus infection may have an impact on the psychological health of cancer patients. This study aimed to assess psychological distress among cancer patients during the COVID-19 pandemic in Bangladesh.

A hospital-based cross-sectional study was conducted between January to April 2022. Among a total of 415 patients, the prevalence of depression, anxiety, and stress was 61%, 55%, and 22%, respectively. This study found a statistically significant (p<0.001) association between depression, anxiety and stress and family members more than five. We also found statistically significant (p<0.001) association between depression, anxiety and stress and smokeless tobacco users. Our study revealed that patients with cancer have a high prevalence of depression and anxiety during this pandemic. Since the end of this pandemic is unclear, the findings of this study will assist medical specialists and policymakers in developing and implementing better care programs that include the required preventative measures to reduce psychological distress in cancer patients.

Overall, the Conference of Preventive Medicine 2023 was an excellent opportunity to discuss my research findings on a global public health platform. I have learned of different topics and gathered knowledge from global public health experts related to public health and preventive medicine in all around the world.


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