令和5年度後期国際学会参加報告1

氏名 研究室名 国際学会名
堀之内 峻之 感覚運動神経科学 Neuroscience 2023
倉脇 壮 腎臓内科学 American Society of Nephrology kidney week 2023
松原 誠 腎臓内科学 American Society of Nephrology kidney week 2023
新開 泰 腎臓内科学 American Society of Nephrology kidney week 2023
𠮷田 マリア 腎臓内科学 American Society of Nephrology kidney week 2023
勝田 剛 放射線腫瘍学 FARD&KOSRO 2023
白石 美沙希 地域・学校看護開発学 27th East Asian Forum of Nursing Scholar
中岡 采恵 地域・学校看護開発学 27th East Asian Forum of Nursing Scholar
髙木 明子 地域・学校看護開発学 27th East Asian Forum of Nursing Scholar
雷 汝欣 地域保健看護開発学 The 14th International Nursing Conference
宋 芳 地域保健看護開発学 The 14th International Nursing Conference

 

堀之内 峻之(博士課程後期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 感覚運動神経科学)

 Neuroscience 2023 に参加して

この度、2023年11月11日~15日にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で開催された Neuroscience 2023 へ参加し、「Brain Oscillations Related to Prolonged Reaction Times in Go/No-go Tasks with Different Meanings of Stimulus Color」という題目でポスター発表を行いました。
これまでの研究によって、青色の視覚刺激に対してボタンを押し、赤色には反応しない「青Go/赤No-go課題」と比較して、その反対の「赤Go/青No-go課題」では反応時間が遅延することが明らかになっています。このことは、交通ルールに従う社会生活で学習された視覚情報処理-運動実行過程が実験環境で再現されたと考えられますが、その神経生理学的背景は明らかになっていません。本研究では、多チャンネル脳波計を用いて課題中の脳波を記録し、時間周波数解析によって脳律動を評価しました。本研究の結果、前頭前野のθ及びβ律動のパワー値に違いが認められました。このことから、交通ルールに関する色の先行知識に反する「赤Go/青No-go課題」での反応時間の遅延は、前頭前野の活動の違いによって生じている可能性が示唆されました。
本学会のような大規模な国際学会への参加は初めてであり、多くの海外の研究者と直接議論することができ、貴重な経験となりました。また、本研究や今後の研究についても貴重なアドバイスをいただくことができました。最後になりましたが、このような発表の機会を与えてくださった桐本 光教授、感覚運動神経科学教室の皆様、ご支援いただきました大学院海外発表支援関係者の皆様に感謝申し上げます。

倉脇 壮(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 腎臓内科学)

 American Society of Nephrology, The World’d Premier Nephrology Meeting Kidney Week 2023に参加して

この度2023年11月2日から5日にアメリカのフィラデルフィアで開催されたAmerican Society of Nephrology, The World’d Premier Nephrology Meeting Kidney Week 2023に参加いたしました。
私は「Mesenchymal stem cells pretreated with interferon-gamma attenuate renal fibrosis by enhancing regulatory T cell induction」という題名でe-poster発表をさせていただきました。腎虚血再灌流モデルに対し、IFN-γ刺激を行ったヒト骨髄間葉系幹細胞を投与することで、制御性T細胞を介した抗炎症作用により腎障害が改善される、という内容です。
発表自体は好評で様々なご質問もいただき、今まで考えたこともなかったような新たな側面から自身の研究を見直すことができたため、非常に有意義な学会参加となりました。今回が初めての海外学会参加でしたが、海外の研究者の方たちの意欲や熱意を感じ、それと共に、課題としてネイティブではない言語で研究の詳細な内容を伝える難しさを感じました。
有意義な機会をいただくにあたり、ご指導いただきました腎臓内科学教室の皆様、ならびにご支援いただきました大学院生海外発表支援関係者の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

松原 誠(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 腎臓内科学)

American Society of Nephrology KIDNEY WEEK 2023に参加して

2023年11月2日から5日にアメリカのフィラデルフィアで開催されたKIDNEY WEEK 2023に参加し、ポスター発表を行いました。演題名は「Magnesium protects against CKD progression by reducing DNA damage」でマグネシウム(Mg)に関する研究成果を発表しました。透析患者は、健常人より軽度の高Mg血症である方が予後がよいという観察研究があり、Mgの保護作用に関するメカニズムを明らかにするため、本研究に取り組みました。Mgはクロマチンを凝集させることで放射線障害からDNAを保護する作用があることが報告されており、マウスや細胞に対し、Mg投与によるDNA保護作用を検討しました。その結果、Mgはマウスや細胞に対し、DNA障害に対する生存率を改善し、老化や炎症、線維化を抑制する作用を持つことを明らかにしました。また、このDNA障害の保護作用はエピジェネティックな制御を介することを明らかにしました。この研究結果を国際学会で発表し、海外の異分野の研究者とも議論を交わすことで様々な視点を養うことができ、非常に有意義な経験を得ることができました。最後に、研究を指導いただき、またこのような発表の機会を与えてくださった正木 崇生教授、腎臓内科学教室の先生方、ご支援いただきました大学院海外発表支援関係者皆様に心より感謝申し上げます。

新開 泰(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 腎臓内科学)

 American Society of Nephrology KIDNEY WEEK 2023に参加して

2023年11月2日~5日に、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われたKIDNEY WEEK 2023に参加し、ポスター発表を行いました。演題名は「PPARαModulator Ameliorates Methylglyoxal-Induced Peritoneal Fibrosis.」です。腹膜透析(PD)患者において、腹膜の炎症が持続すると線維化が進行し、PDからの離脱につながりますが、その過程で炎症反応が重要な役割を果たすと言われています。そして、PPARαの活性化は、トリグリセリドの蓄積や炎症反応を抑制することが知られています。本研究では、メチルグリオキサール(MGO)誘発腹膜傷害マウスおよび培養ヒト腹膜中皮細胞(HPMC)とTHP-1細胞において、PPARαのモジュレーターであるペマフィブラートが、マクロファージ極性の誘導を介して腹膜炎症と線維化を改善するかどうかを検討しました。その結果、PPARαを活性化させたマウスでは、低下した腹膜機能を改善しただけでなく、HPMCとTHP-1において炎症予防による線維化を抑制しました。
私にとって初めての国際学会への参加であり、海外の研究者と議論を交わすことは非常に刺激的で有意義な時間でした。最後に、このような発表の機会を与えてくださった正木 崇生教授、腎臓内科学教室の皆様、ご支援いただきました大学院海外発表支援関係者の皆様に感謝申し上げます。

𠮷田 マリア(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 腎臓内科学)

American Society of Nephrology Kidney Week 2023 に参加して

 2023年11月2日~5日、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアにおいて米国腎臓学会の「KIDNEY WEEK 2023」に参加し、「Comparison of the therapeutic effects of adipose- and bone marrow-derived mesenchymal stem cells on renal fibrosis」の演題で、ポスター発表を行いました。
間葉系幹細胞(MSC)は多分化能をもち、抗炎症作用や組織修復作用がある細胞です。本研究では、腎線維化に対する細胞療法として、脂肪由来MSCおよび骨髄由来MSCのいずれの腎線維化抑制効果が強いかを直接比較することを目的としました。さらに、抗炎症作用を増強する無血清培地を用いても同様に比較を行いました。その結果、有血清培地で培養した脂肪由来MSCは腎線維化を有意に抑制し,これらの抑制の程度は骨髄由来MSCよりも強力でした。一方で、無血清培地で培養すると両者の腎線維化抑制効果は同等でした。また、血栓症リスクを比較すると、血清の有無に関わらず脂肪由来MSCでのみ肺血栓塞栓症による死亡が認められました。これらの結果から、培養法が治療標的に併せた細胞の選択の重要性が示唆されました。
本学会におけるフレンドリーかつ活発な質疑応答は大変楽しく、刺激的な経験でした。また、他のセッションでも、最新の話題や研究に触れる興奮を改めて感じられる機会でもありました。今回の貴重な機会を与えてくださいました諸先生方、ご支援いただいた大学院生海外発表支援の関係者の皆様に感謝申し上げます。

勝田 剛(博士課程4年 医歯薬学専攻 医学専門プログラム 放射線腫瘍学)

The 6th Meeting of the Federation of Asian Organizations for Radiation Oncology(FARO)に参加して

2023年10月11日~13日の期間に韓国のソウルで開催されたThe 6th Meeting of FAROに参加し、「The Geriatric8 Screening tool predicts declining self-care ability in elderly patients with head and neck cancer during radiotherapy」という題目でポスター発表を行いました。本研究は、高齢な頭頸部癌患者の放射線治療中における副作用増悪防止のためのケア行動の変化と、Geriatric8 (G8)スコアの関係を調べたものです。研究の結果、G8スコアは、セルフケア自立群が非自立群より有意に高く、高齢な頭頸部癌患者に対して、G8はセルフケア維持の予測に使用できる可能性が示唆されました。
また、学会では、アジア地域におけるがんと放射線治療に関する統計調査も報告されておりました。女性において最も多いがん腫は乳がんで日本と同様ですが、男性においては肺がん・頭頸部がんが多く、経済状況や喫煙率を反映していると思われました。また、がん患者が生涯に受ける放射線治療の割合に関するデータがありました。日本においては25%程度ですが、パキスタンでは40%強もあり、かつ、放射線治療医一人当たりの患者数は400人と日本の倍以上でした。実際の臨床にかかる負担は、その中で高精度放射線治療の割合がどの程度占めるかによっても変わってきますが、パキスタンの治療医はかなり頑張っている印象でした。
最後になりますが、このような貴重な発表の機会を設けていただいた粟井 和夫教授、放射線腫瘍学教室の皆様には、心より感謝を申し上げます。

白石 美沙希(博士課程前期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 地域・学校看護開発学)

 27th East Asian Forum of Nursing Scholars(EAFONS)に参加して

2024年3月6日から7日にかけて香港で開催された「27th East Asian Forum of Nursing Scholars(EAFONS)」に参加しました。私は“Actual health problems of women working in male-dominated workplaces”及び“Relationship between Visual Acuity and Lifestyle in Junior High School Students”というタイトルでポスター発表を行いました。前者の研究では、男性主導の職場で働く女性の健康上の困りごとの特徴と、女性の活躍促進に関する会社の方針への認識の実態について検討しました。女性職員の約半数が勤務先で困った経験をしており、困りごとは年代によって異なることが明らかとなりました。女性の多様な働き方を支援する上で、会社は、女性社員の年齢によって配慮事項が異なることを理解しておく必要があると考えます。後者の研究では、中学生の視力の実態、及び近視と生活習慣の関係を検討し、中学生において視力低下の予防方法が十分に定着していないことが明らかとなりました。近見作業中には定期的に休憩を設けること、幼少期から家庭と協力して、子どもたちに予防方法を指導することが大切だと考えます。
初めて国際学会に参加させていただき緊張しましたが、アジア各国から集まった研究者の発表を多数聴講し、参加者との意見交換を通じて、各国の文化や生活背景、保健福祉医療サービス、教育の違い等を知ることができ、貴重な経験となりました。英語能力の不十分さから自分の考えを明確に伝えることができなかった場面もあり、今後の課題だと感じました。今回の学びを活かして研究に励むとともに、語学力の向上に努めたいと思います。
最後になりましたが、研究に関してご指導いただき、このような発表の機会を与えてくださいました川﨑 裕美教授および川﨑研究室の皆様、そしてご支援いただきました大学院生海外発表支援関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

中岡 采恵(博士課程後期1年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 地域・学校看護開発学)

「27th East Asian Forum of Nursing Scholars」に参加して

この度、2024年3月6日、7日に香港で開催されました27th East Asian Forum of Nursing Scholarsに参加させていただきました。私は、”The COVID-19 pandemic and childcare fatigue in Japan(COVID-19と日本の育児疲労)”というタイトルで、ポスター発表いたしました。以前参加予定だった学会は、感染症流行によって中止となったため、今回初めて国際学会の雰囲気を味わうことができました。
2020年から新型コロナウイルス感染症が流行し、それに伴って外出自粛等の感染防止対策が世界中で実施されました。感染防止対策の措置は子育て中の母親にも影響があると考えたため、今回の研究では、母親の疲労に焦点を当てた研究を発表いたしました。新型コロナウイルス感染症流行前と流行中の母親の疲労を比較した結果、流行中の方が流行前より疲労を感じる母親が減少したことを報告しました。新型コロナウイルス感染症の流行は、精神的健康に対する悪影響が多く報告されているため、研究結果に対して驚かれることも多く、質疑応答では、日本特有の子育て支援施設や疲労が減少した要因などをディスカッションいたしました。発表する中で、日本の特徴をどのように英語で表現するか等、苦労する場面があり、自身の語学力の至らなさを感じました。
学会では、看護師教育の今後の発展、コロナ禍のレジリエンス能力の低下に関する口頭発表を拝見しました。精神的健康に関する研究や、外出自粛の中で発展したバーチャルリアリティーを看護ケアに活かす取り組みの研究が多く、感染症流行が研究視点の変化に影響していると考えられました。
最後になりましたが、研究に関してご指導いただき、このような発表の機会を与えてくださいました川﨑  裕美教授および川﨑研究室の皆様、そしてご支援いただきました大学院生海外発表支援関係者の皆様に深く感謝申し上げます。 

髙木 明子(博士課程後期3年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 地域・学校看護開発学)

 「27th East Asian Forum of Nursing Scholar 2024」に参加して

2024年3月6・7日に、香港で開催された「27th East Asian Forum of Nursing Scholar 2024(EAFONS)」に参加させていただきました。EAFONSは、博士課程を修了した看護学者と、その学生のために定期的な地域フォーラムを提供することを目的として、毎年、東アジアの7か国で開催地を変えて行われています。
私は「Analysis of Changes Over Time in Grip Strength Measurements of Residents Conducted Over the 9-Years in an Aging Town」というタイトルでポスター発表しました。高齢化が進む地方の町のうち、住民を対象とした健康増進施策を実施した町に住む、50歳以上の男性の9年間の握力測定値を分析しました。その分析結果から、町が健康増進施策を実施することで、参加者の平均年齢での握力測定値は、国内の平均的な握力測定値より高くなるという効果が得られました。
ポスター発表はe-posterで、参加者は本学会に登録されているポスター番号を入力して、各自が自由にe-posterをデジタルサイネージ上に表示し、閲覧するというシステムでした。この度の学会ではディスカッション等は叶いませんでしたが、今後も国際学会に参加しながら、研鑽を重ねていきたいと思います。
最後になりましたが、学会発表にあたりご指導いただきました川﨑教授をはじめ、川﨑研究室の皆様、ご支援くださった大学院生海外発表支援の関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

雷 汝欣(博士課程前期2年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 地域保健看護開発学)

Attendance on The 14th international Nursing Conference

2023年11月2日~3日に韓国(ソウル)で開催された「The 14th international Nursing Conference」に参加し、「Nursing content to enhance resilience of family caregivers: a scoping review」というタイトルでポスター発表を行いました。スコーピング・レビューを通して、療養者家族のレジリエンスに関する既存研究から、療養者家族のレジリエンスを高める看護内容を明らかにした研究です。レジリエンスとは、ネガティブな経験の中で心身の健康を維持、また回復できる能力のことであり、家族は高いレジリエンスを持つことで困難によく対処できるため、介護の負担を軽減し、生活の質を高く保つことができます。今回、学会に参加し、参加者から質問をいただいたことで、今後の研究につながる課題に気づくことができました。また、レジリエンスの分野では、「レジリエンスとは動的な変化のプロセスである」と主張している研究者も増えており、レジリエンス理論を研究の過程に応用し、どうすればレジリエンス理論の優位性を正しく発揮できるかは、今後の研究において重点的に解決する必要がある問題です。今回、様々な国の研究者と交流することで、多くのことを学ぶことができました。最後に、この度の発表にあたりご指導いただいた先生方、地域保健看護開発学研究室の皆様、並びにご支援いただいた大学院生海外発表支援の関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

宋 芳(博士課程後期3年 総合健康科学専攻 保健科学プログラム 地域保健看護開発学)

 The 14th International Nursing Conferenceに参加して

この度、2023年11月2日~3日に韓国ソウルで開催された「The 14th International Nursing Conference」に参加いたしましたので、ご報告いたします。
私は「Factors Affecting Nursing Competence of the Certified Nurse by Japan Rheumatism Foundation」というタイトルでポスター発表をいたしました。本研究は、関節リウマチ患者への看護経験がある日本リウマチ財団のリウマチケア看護師の、看護能力に影響を与える要因を明らかにすることを目的としています。このたび、二項ロジスティックス回帰分析により、リウマチケア看護師の看護実践能力に影響を及ぼす要因は、「同職場に登録専門職がいること」、「生物学的製剤の認知得点が高いこと」が明らかになりました。また、生物学的製剤への認知得点から看護実践能力を推測できることが示唆されました。今回、国際学会での英語のコミュニケーションを通じて、自身の英語能力はまだまだ足りないことを痛感しました。今後は英語学習に力を入れていきたいと思います。
また、異分野の研究者と意見交換を行うことで、海外に目を向けることの重要性を感じました。さらに、様々な研究者の思考回路や実験手法に触れられたことは、今後研究を進めていくうえで、非常に貴重な経験になりました。
最後になりますが、この度の学会発表でご指導いただいた先生方、ご支援いただいた大学院生海外発表支援の関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。


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