Neuroscience 2023 に参加して
この度、2023年11月11日~15日にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で開催された Neuroscience 2023 へ参加し、「Brain Oscillations Related to Prolonged Reaction Times in Go/No-go Tasks with Different Meanings of Stimulus Color」という題目でポスター発表を行いました。
これまでの研究によって、青色の視覚刺激に対してボタンを押し、赤色には反応しない「青Go/赤No-go課題」と比較して、その反対の「赤Go/青No-go課題」では反応時間が遅延することが明らかになっています。このことは、交通ルールに従う社会生活で学習された視覚情報処理-運動実行過程が実験環境で再現されたと考えられますが、その神経生理学的背景は明らかになっていません。本研究では、多チャンネル脳波計を用いて課題中の脳波を記録し、時間周波数解析によって脳律動を評価しました。本研究の結果、前頭前野のθ及びβ律動のパワー値に違いが認められました。このことから、交通ルールに関する色の先行知識に反する「赤Go/青No-go課題」での反応時間の遅延は、前頭前野の活動の違いによって生じている可能性が示唆されました。
本学会のような大規模な国際学会への参加は初めてであり、多くの海外の研究者と直接議論することができ、貴重な経験となりました。また、本研究や今後の研究についても貴重なアドバイスをいただくことができました。最後になりましたが、このような発表の機会を与えてくださった桐本 光教授、感覚運動神経科学教室の皆様、ご支援いただきました大学院海外発表支援関係者の皆様に感謝申し上げます。