【研究成果】医学部地域枠出身医師の地理的分布を解明 ~医師偏在問題の改善へ向けて~

本研究成果のポイント

  • 地域枠出身医師および都道府県奨学金受給医師は、一般の医師に比べて高い割合で非都市部に勤務していることを明らかにしました。
  • 本研究は、医師偏在対策としての地域枠入学制度の有効性を初めて検証したもので、今後の政策立案に繋がることが期待されます。

概要

広島大学大学院医歯薬保健学研究科の松本正俊寄附講座教授(地域医療システム学)、鹿嶋小緒里助教(公衆衛生学)、同大学病院総合診療科の田妻進教授、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の前田隆浩教授(地域医療学分野)らの研究グループは、日本全国の医学部地域枠出身医師および都道府県奨学金受給医師の進路を追跡するコホート研究を行い、地域枠出身医師、都道府県奨学金受給医師は一般の医師に比べて高い割合で非都市部の医療機関に就業していることを明らかにしました。

地域枠入学制度は医師の地理的偏在を是正する目的で平成21年頃より国策として行われている施策であり、地域枠入学者は医学部医学科の全定員の約16%を占めるに至っております。今回の結果は、この政策の主たるアウトカムを定量的に示した最初の学術成果であり、地域枠入学制度に関する今後の政策決定に繋がることが期待されます。

本研究成果は、米国学術誌「Academic Medicine」オンライン版に掲載されました。

勤務地市区町村の人口密度中央値の年次推移

勤務地市区町村の人口密度中央値(人/km2)の年次推移

論文情報

  • 掲載雑誌: Academic Medicine
  • 論文題目: Geographic distribution of regional quota graduates of Japanese medical schools: a nationwide cohort study
  • 著者: 松本正俊1、鹿嶋小緒里2、大脇哲洋3、井口清太郎4、井上和男5、田妻進6、前田隆浩7
    1. 広島大学大学院医歯薬保健学研究科地域医療システム学
    2. 広島大学大学院医歯薬保健学研究科公衆衛生学
    3. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科地域医療学
    4. 新潟大学大学院医歯学総合研究科新潟地域医療学
    5. 帝京大学ちば総合医療センター地域医療学
    6. 広島大学病院総合診療科
    7. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学
  • DOI: 10.1097/ACM.0000000000002688
【お問い合わせ先】

広島大学大学院医歯薬保健学研究科 地域医療システム学
教授 松本 正俊

TEL: 082-257-5894

FAX: 082-257-5895

E-mail: matmo10*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


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