1年次の「教養ゼミ」(令和7年5月28日(水)16:20~17:50、文学部B204講義室)において、被爆体験講話を開催しました。
講師は、約25年にわたって,被爆体験証言者としての活動をされていらっしゃる梶本 淑子さん(94歳)と伝承者の青木 圭子さん(被爆体験伝承者養成事業1期生)です。2022年度から継続してお越しいただいています。
梶本さんは,満州事変の年にお生まれになり、14歳のときに爆心地から2.3キロ離れた動員先の飛行機部品工場で被爆されました。本講話では,まず青木さんから原爆の実相を説明していただいたのち、梶本さんから戦時下の学生時代の様子、原爆投下後の惨状,梶本さんを探して入市被爆した家族の様子、そして戦後の状況、核廃絶への願いについて語っていただきました。
戦後80年。私たちは被爆者の方々から直接体験談を聞くことのできる最後の世代です。ご高齢にもかかわらず、力強く語りかける梶本さんに、多くの学生が心揺さぶられ、平和への思いを新たにしました。
感想文の一部をご紹介します。
・今まさに紛争や戦争のニュースを見るので「いつ現実に起こってもおかしくない、これは現実の問題だ」と強く感じた。父と再会したという話が一番印象に残っている。「行ってきます」「ただいま」と言える生活に感謝していきたい。
・描写が生々しく、耳を塞ぎたくなるほどだったが、若い世代が戦争を嫌悪し、忌避するようになるにはこれ以上なく効果的にも思えた。この感情を決して忘れることなく記憶し、身近な人に伝えていきたい。
・「無知と無関心は戦争にせよ、いじめにせよ、共犯者である」という言葉を聞いて、戦争というものをもっと知らなければいけないと感じた。戦争をしている双方に異なる正義があり、日本も加害行為をしていた事実も知ることが重要だと改めて感じました。このことを風化させず、自分事に置き換えて考えると同時に、後世に伝えていくことが今僕たちに求められる行動だと思った。
今年度の文学部1年生は約8割が県外出身者ですので、初めて、体験談を聞く学生も多くいました。コロナ禍で平和学習を伴う修学旅行が中止となったと話す学生もいました。大変貴重なお話を本当にありがとうございました。

被爆者体験講話の様子
被爆者体験に聞き入る学生
※文学部における被爆体験講話は、「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」を契機に平成27(2015)年に始まり、事業終了後も、ひろしまの平和の継承・発信を目的に継続して実施しています。