2019年度前期の講座

4/11(木) 清水 勝彦(しみず かつひこ)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
戦略的意思決定力を鍛える~見えるものと見えないもの~
「資源配分は戦略の要」と言われます。誰もが限られた24時間をどう配分するか、その優先順位付けは組織においても人生においても大きな意味を持ちます。ただ、意外に見落とされるのが「何の優先順位をつけるか」です。施策AとBがあって検討したが決まらないので来週に持ち越す、とすれば「持ち越すという選択肢C」を最優先にしているのですが、それでいいのでしょうか?実は拙速に見えても決めて実行したほうが良いかもしれません。 意思決定を機会損失という視点から見ることは 「見えない」イシューへの感度を高めることです。
講師紹介
1986年東京大学法学部卒業、1986~1996年(株)コーポレートディレクション(CDI)戦略コンサルタント。同社プリンシパルを経て、研究者となり、渡米。1994年ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、2000年テキサス大学A&M大学経営学博士(Ph.D)を取得。その後、テキサス大学サンアントニオ校准教授となる(テニュア取得)。企業のM&Aの失敗を主な題材に、組織の戦略変更や組織学習の研究を行い、2010年4月より現職。2012年より仏エクス・マルセイユ大学経営大学院でも教鞭をとる。専門は、組織変革、 戦略実行 、M&A。分かりやすいと評価の高い経営書の執筆や新聞への寄稿から学会のトップジャーナルの英語論文発表まで幅広く活躍。
4/12(金) 竹中 平蔵(たけなか へいぞう)
慶應義塾大学名誉教授、東洋大学教授
日本経済の機会とリスク
世界では、第4次産業革命の流れが一気に加速しています。
平成の教訓を踏まえ、日本はそのリスクを回避しつつ、チャンスを活かすべく大胆な改革を進めなければなりません。
2019年は、その重要な分水嶺になります。
講師紹介
1973年に一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行入行。同設備投資研究所、ハーバード大学、ペンシルバニア大学客員研究員、大蔵省財政金融研究室主任研究官、大阪大学経済学部助教授、慶應義塾大学総合政策学部助教授を経て、1996年同大学教授に就任。経済財政政策担当大臣、金融担当大臣を兼任後、経済財政政策・郵政民営化担当大臣、総務大臣兼郵政民営化担当大臣を歴任。2006年より慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長を務め、2016年現職。近著『平成の教訓 改革と愚策の30年』では、平成の時代を、経済学者としてだけではなく、大臣を歴任し、小泉元総理と郵政民営化に取り組んだ経験から語る。
4/25(木) 馬場 渉(ばば わたる)
パナソニック株式会社 ビジネスイノベーション本部 本部長、パナソニック ノースアメリカ株式会社 副社長
対談:佐々木 紀彦(ささき のりひこ)
(株)ニューズピックス 取締役CCO、NewsPicks Studios CEO
大企業イノベーションの起こし方
「イノベーションの量産」、「タテパナをヨコパナに」など独特のスローガンをかかげ、パナソニックのビジネス改革を主導している馬場渉ビジネスイノベーション本部本部長。
2017年4月まで基幹系業務ソフトウエア世界最大手、独SAP本社や米シリコンバレー拠点の幹部を務め、米シリコンバレー流の開発手法にも精通する馬場氏から、「大企業イノベーションの起こし方」を伝授していただきます。(夕学事務局筆)
※本講演は馬場氏の講演60分・対談30分・質疑応答30分の構成です。
講師紹介(馬場 渉)
2017年4月、パナソニックが世間を驚かせた人事が記憶に新しい。馬場氏は、新設されたAIやIoT技術を活かしたビジネスモデル創出のためのビジネスイノベーション本部の副本部長として、前職SAP本社カスタマーエクスペリエンス担当バイスプレジデントを経て入社。⽶シリコンバレーに拠点を置き、パナソニック ノースアメリカ(株) 副社⻑、Panasonic β Presidentを兼務し、イノベーションの量産化を、シリコンバレーの研究所から指揮する。2018年4月より同社ビジネスイノベーション本部 本部長就任。
講師紹介(佐々木 紀彦)
福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社に入社。2007年9月より休職し、スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。2009年7月に復職後、『週刊東洋経済』編集部を経て、2012年11月より「東洋経済オンライン」編集長を務め、リニューアルから4か月で5301万PVを記録。2014年に経済ニュース共有アプリとして人気を誇る『NewsPicks』へ移籍し、編集長 執行役員に就任。2018年4月1日には編集長から退き、海外のメディア・コンテンツ企業では定着しつつあるポスト、最高コンテンツ責任者(CCO:チーフ・コンテンツ・オフィサー)となる。
5/9(木) 田中 利典(たなか りてん)
金峯山寺長臈、種智院大学客員教授
修験道の世界~身体を使って心を修める~
修験道は、日本古来の山岳信仰に、神道や外来の仏教、道教などが習合して成立した我が国固有の民俗宗教です。修験とは「実修実験」「修行得験」という意味であり、実践を重んじる、山に伏し、野に伏して修行する山伏の宗教でもあります。また今風に言うなら、グローカルな宗教とも言えます。その修験道で学んだ教えは、高度に発達した現代社会の中でなお、大きな意味を持っています。そういうお話をさせていただければと思います。
講師紹介
1955年京都府生まれ。1970年金峯山寺にて得度受戒。1979年に龍谷大学文学部仏教学科を、1981年に叡山学院専修科をそれぞれ卒業し、修験三本山の一つである総本山金峯山寺に奉職。1993年一千座護摩供修行 満行。2001年から金峯山寺執行長及び金峯山修験本宗宗務総長、ならびに故郷にある林南院の住職を務める。山岳修行を通して自らの身体感覚を高めることで、心の悩みを晴らす修験道の教えを著書や講演などで一般にも分かりやすく伝えている。
5/10(金) 安宅 和人(あたか かずと)
慶應義塾大学 環境情報学部教授、ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
シン・ニホン~AI×データ時代における日本の再生と人材育成~
ヤフーのCSO(チーフストラテジーオフィサー)を務める一方で、慶應SFCの教壇に立つ安宅教授。ビジネスと研究・教育の両面から、ビッグデータ、AIの進化と人間社会の未来を語ることができる識者のひとりです。
「ヒト・データ・キカイ」が新たな経営資源となる時代に、日本の再生に向けて何が必要なのか、そして人材育成はどう変わっていくのかをお話いただきたいと思います。(夕学事務局筆)
講師紹介
東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー・アンド・カンパニ-入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学し、学位取得(Ph.D.)。2008年9月ヤフー(株)入社。COO室長、事業戦略統括本部長を経て、2012年7月よりCSO就任。その活躍はビジネスの現場だけに留まらず、2016年春より慶應義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教鞭を執る。著書の『イシューからはじめよ』は、アマゾン上陸15年間の「売れたビジネス書」50冊にランクイン。
5/15(水) 小泉 文明(こいずみ ふみあき)
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO
山本 晶(やまもと ひかる)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授
C2C×デジタルが生み出す新しい経済圏
メルカリに代表されるフリマアプリの登場は、消費者行動に大きな変化をもたらしています。それはスマホベースの個人間取引にとどまらず、フリマアプリを起爆剤とした物流やリユースサービスの増加など、周辺領域に新しい経済圏を生み出しつつあるようです。
メルカリ社長の小泉氏とネット時代の消費者行動論を専門とする山本准教授の対談を通して、これからの社会を考えてみます。(夕学事務局筆)
※本講演は小泉氏の講演45分・対談45分・質疑応答30分の構成です。
講師紹介(小泉 文明)
1980年山梨県生まれ。早稲田大学商学部卒業。2003年大和証券SMBC(株)(現・大和証券(株))入社。投資銀行本部にて主にインターネット企業の株式上場を担当。2006年に入社した(株)ミクシィでは、社長室長、経営管理本部長を歴任し、2008年取締役就任(取締役執行役員CFO)。退任後、スタートアップの支援に従事し、2013年12月(株)メルカリに参画。取締役を経て、創業者の山田進太郎氏から引き継ぎ、2017年4月に取締役社長兼COO就任。
講師紹介(山本 晶)
1996年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。外資系広告代理店勤務の経験から、しっかりマーケティングを学びたいという想いを持ち、2001年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。2004年同大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学大学院助手、成蹊大学経済学部専任講師および准教授を経て、2014年4月より現職。慶應ビジネススクール初の女性教員。専門はマーケティングで、主にデジタル環境下における消費者行動の研究に従事。
5/24(金) 太田 光代(おおた みつよ)
株式会社タイタン 代表取締役、タイタンの学校 理事長
タイタンの学校のすすめ
「爆笑問題」の所属事務所として、太田光の妻である光代さんが創業したタイタンは、いまや業界内で独自のポジションを確立しています。昨年からは、新たに「タイタンの学校」を開始されました。
設立からの25年間で、エンターテイメントビジネスはどう変わり、その変化の中で、タイタンは何をやってきたのか。そして、更なる変化を見据えて、どうしていきたいのか。過去・現在・将来の流れの中で「タイタンの学校」は、どう位置づけられるのかをお尋ねしたいと思います。(夕学事務局筆)
※本講演はトークショー形式での講演60分・質疑応答30分の構成です。
講師紹介
1964年東京生まれ。高校卒業後、モデルを経てタレントへ転向。お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光と結婚後、その所属事務所として、芸能プロダクションタイタンを1993年設立。営業努力と爆笑問題の台頭もあり、次第に評価を高める。その後、株式会社化し、マネジメントするタレント数も増え、近年は作家や医師も所属。辻仁成氏が移籍してきたことから映画製作にも進出。
6/4(火) 岩嵜 博論(いわさき ひろのり)
株式会社博報堂 ブランド・イノベーションデザイン局 部長
未来生活者発想でサービスをデザインする
自動車産業がモビリティ産業に変化するなど、価値提供の新しい形態としてサービスへの注目が高まっています。モノ中心の経済からサービス中心の経済に推移する中で、従来のモノづくりとは異なるサービスデザインのアプローチが必要になっています。
本講演では、イノベーティブなサービスで事業の成長をリードするための方法論として、未来視点や生活者視点を織り交ぜたサービスデザインについてお話します。
講師紹介
国際基督教大学教養学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。(株)博報堂に入社、国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、休職し、留学。イリノイ工科大学Institute of Design修士課程修了。同大学ではデザインをビジネスに活用するための体系的な手法を学んだ。復職後、近年は生活者起点のイノベーションプロジェクトをリードしている。専門は、新製品・サービス開発、新規事業開発、UX戦略、ブランド戦略、マーケティング戦略。著書に『機会発見―生活者起点で市場をつくる』。
6/11(火) 南 壮一郎(みなみ そういちろう)
株式会社ビズリーチ 代表取締役社長
日本の働き方と生産性について
株式会社ビズリーチは、「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションに掲げ、社会の課題をテクノロジーで解決することを目指し、様々な事業を展開しています。
なかでも本講演では、日本にとって大きなテーマである「働き方」と「企業の生産性向上」について、当社がどのように課題を捉え、解決に挑むのかをお話します。
講師紹介
1999年米・タフツ大学を卒業。モルガン・スタンレー証券(株)、スポーツ関連業務の起業を経て、2004年楽天イーグルスの創業に参画。初年度からの黒字化に貢献。2009年に(株)ビズリーチを創業。「HRテック(HR×Technology)」の領域で、未来の働き方や経営を支える事業を次々と展開し、日本経済の生産性向上に取り組む。2014年、世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ2014」に選出。2015年、日経ビジネスが選ぶ「次世代を創る100人」に選出。
6/14(金) 白坂 成功(しらさか せいこう)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授
超小型衛星でかわる宇宙ビジネスの潮流
これまで、宇宙開発は国がおこなうもので、一部の通信・放送衛星を除いては、いわゆる通常のビジネスとは違うと考えられてきました。しかしながら、大学やベンチャー等が超小型衛星を打ち上げられるようになって以降、宇宙開発を通常のビジネスでおこなう企業が生まれてきました。日本でも2017年に内閣府が「宇宙産業ビジョン2030」を制定し、新たな宇宙産業支援を明確に打ち出しています。
本講演では、超小型衛星の開発に携わってきた講演者が、新たな宇宙ビジネスの流れがどのように変化してきているのか、実際どのように考えて宇宙ビジネスを捉えればいいのかを具体的な事例とアプローチとともに紹介します。
講師紹介
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻 修士課程修了。慶應義塾大学後期博士課程修了(システムエンジニアリング学)。三菱電機(株)にて宇宙開発に従事。宇宙ステーション補給機の開発では初期設計から初号機ミッション完了まで携わる。途中1年8ヶ月間、欧州の人工衛星開発メーカに駐在し、欧州宇宙機関(ESA)向けの開発に参加。「こうのとり」開発では多くの賞を受賞。2004年度より慶應義塾大学にてシステムズエンジニアリングの教鞭をとり、准教授を経て、2017年より現職。
6/21(金) 亀井 清華 (かめい さやか)
広島大学大学院工学研究科 准教授
Web上の評判情報を用いた観光情報推薦システム
Web上には評判情報が溢れています。観光地やホテルについても口コミサイトだけでなく、SNS上の評判情報がその人気を左右することが多くなりました。そういったWeb上の評判情報を用いて、観光情報を推薦する試みについてお話しします。
6/26(水) 荒見 泰史(あらみ ひろし)
広島大学大学院総合科学研究科 教授
平山郁夫の見た敦煌
日本を代表する広島出身の画家・平山郁夫氏は、1979年以降、敦煌研究院(当時は敦煌文物研究所)常書鴻氏と親交を持ち、敦煌をテーマとする多くの作品を生み出されたほか、敦煌の遺跡保存にも貢献をされています。この講座では、平山郁夫氏と敦煌の関係について紹介します。
6/27(木) デービッド・アトキンソン(David Atkinson)
小西美術工藝社 代表取締役社長
日本の魅力~その活かし方と伝え方~
ゴールドマン・サックスのパートナーから、国宝・重要文化財の補修を手掛ける三百年企業小西美術工藝社の社長に転じたアトキンソン氏。日本の伝統文化を守りつつ、行政・業界・社会の旧習に対する改革提言も積極的に行っています。
「世界から見た日本」と「日本から見た世界」の両面を知るお立場から、世界に向けて日本の魅力をどう伝えていけばよいのかを伺いたいと思います。
(夕学事務局筆)
講師紹介
1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年ゴールドマン・サックス証券入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し、注目を集める。同社のmanaging director(取締役)、partner(共同出資者)として活躍。他方で日本の伝統文化に親しみ、1999年に裏千家に入門。2006年には茶名「宗真」を拝受。2007年ゴールドマン・サックス証券退社後、茶道に打ち込む時期を経て、2009年に創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社。取締役に就任。同社代表取締役会長、同会長兼社長に就任し、2014年より現職。
7/2(火) 田村 次朗(たむら じろう)
慶應義塾大学法学部教授、ハーバード大学国際交渉学プログラム・インターナショナル・アカデミック・アドバイザー
対話型リーダーシップのすすめ~リーダーシップ基礎教育への挑戦~
慶應義塾大学では、リベラル・アーツ教育を補完する新しい教育として、リーダーシップ基礎教育(MCC・福澤諭吉記念文明塾・三田オープンカレッジなど)に取り組んでいます。
国際社会は、多様な背景を持つ人々による対立がさらに激化し、国家・組織・企業などそれぞれのレベルで、安易な駆け引きや譲歩などが横行しています。
この状況を改善し、深刻な対立、摩擦を乗り越えるために対話型リーダーシップを教えています。
このような基礎力によって真のリーダーシップを発揮できると考え、その内容と教育効果についてご紹介します。
講師紹介
ハーバード大学ロー・スクール修士課程、慶應義塾大学大学院法学研究科民事法学専攻博士課程修了。各省庁などの委員を務めるとともに、日米通商交渉、WTO(世界貿易機関)交渉、ハーバード大学国際交渉学プログラムのインターナショナル・アカデミック・アドバイザー、ダボス会議(世界経済フォーラム)の「交渉と紛争解決」委員会の委員を務める等、最前線における国際交渉の活躍経験もある。またその一方で、実務教育としての「交渉学」の開発に取り組んでいる。今回の講演テーマである対話型リーダーシップも、交渉学の一環として研究を深めている。
7/9(火) 村上 絢(むらかみ あや)
一般財団法人 村上財団 代表理事
資金循環で社会の問題を解決する
私は、株式投資を通じて、日本の上場企業におけるコーポレートガバナンス及び日本の上場企業が抱える内部留保の在り方について訴えてまいりました。一方で、私が理事を務める村上財団では、日本の社会的課題を解決するために活躍する非営利団体への使途指定寄付や助成を行っております。日本経済の持続的な成長のためには、日本の上場企業が抱える資金循環の問題を解決すると共に、日本の非営利活動の資金循環の活性化も必要です。
日本が持続可能な社会を目指し、このような課題を解決するために、どのように貢献できるか、私たちにできることについてお話しさせて頂ければ幸いです。
講師紹介
村上ファンドを率いる投資家・村上世彰氏の長女。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、モルガンスタンレー証券会社債券部に勤務。その後、投資家として株式投資を通じて日本の上場企業におけるコーポレートガバナンスを訴える活動を開始。また、高校時代の留学を通じて経験した海外における社会貢献活動の在り方にも影響を受け、2015年8月チャリティ・プラットフォーム代表に就任。2016年8月、より幅の広い社会貢献活動を目指し、村上世彰氏が創設者となり村上財団を設立、代表理事に就任。2018年5月ロサンゼルスで開催されたアメリカ最大の経済関係国際会議であるミルケン会議にパネリストとして登壇し、現在日本が抱える内部留保の問題について提起した。2人の子どもの母でもあり、東京・文京区ではじめた「子ども宅食」の全国化を目指す一般社団法人子ども宅食応援団の理事も務める。
7/17(水) 安部 龍太郎(あべ りゅうたろう)
作家
信長はなぜ葬られたのか
歴史小説家になって三十年、ずっと織田信長に取り組んできました。彼のことが分かれば日本と日本人が分かる。そう思ったからですが、巨大な天才の実像はなかなかつかめません。しかし、なぜ信長が分からないのかについては、理解できるようになりました。その原因は江戸時代の鎖国史観、身分差別史観を、明治維新以後も是正することなく受け継いだことにあります。そうしたベールをはぎ取ったなら、戦国時代はどう見えるのか。新しい歴史観をお楽しみいただければ幸いです。
講師紹介
1955年福岡生まれ。久留米工業高等専門学校 機械工学科卒。東京都大田区役所に就職、後に図書館司書を務める。その間に数々の新人賞に応募し『師直の恋』で佳作となる。1990年に発表した『血の日本史』でデビュー、注目を集める。2005年『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞を受賞。2013年『等伯』で第148回直木賞受賞。織田信長はずっと取り組まれてきた歴史人物で、作品も多数。『信長燃ゆ』は2016年にテレビドラマ化もされ、近著に『信長はなぜ葬られたのか』、『信長になれなかった男たち』など。
7/31(水) 吉田 裕(よしだ ゆたか)
一橋大学大学院社会学研究科 特任教授
保阪 正康(ほさか まさやす)
ノンフィクション作家
兵士達が見たアジア・太平洋戦争
アジア・太平洋戦争の凄惨な戦場の現実。戦争体験世代が全人口の1割を割り込むという状況の中で、その生々しい記憶がしっかりと次の世代に継承されていないという危機感を抱いています。この講演では、参謀本部や軍令部などの軍中央の立ち位置からではなく、あくまで兵士の目線にこだわりながら、戦場という「死の現場」の現実を明らかにしてみたいと思います。あわせて戦後歴史学の中で、戦史研究がなぜ立ち遅れたのかという問題についても考えてみます。
※本講演は吉田氏の講演60分・対談30分・質疑応答30分の構成です。
講師紹介(吉田 裕)
1954年生まれ。東京教育大学文学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。同大学大学院社会学研究科教授などを経て、2018年定年退職、一橋大学名誉教授を経て、2018年より現職。日本近現代軍事史、日本近現代政治史専攻。近著『日本軍兵士-アジア・太平洋戦争の現実』でアジア・太平洋賞特別賞、新書大賞をそれぞれ受賞。
講師紹介(保坂 正康)
1939年北海道生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。電通PRセンターへ入社。その後、物書きを志して転職。編集者生活を送る。1972年に作家デビュー。以降、主に日本近代史(とくに昭和史)の事象、事件、人物に題材を求め、延べ4,000人余の人びとに聞き書きを行い、ノンフィクション、評論、評伝などの分野の作品を発表している。現在、『昭和史の大河を往く』シリ-ズ(毎日新聞社)は、全13巻を数えている。一連の昭和史研究で、2004年に菊池寛賞を受賞。日本文藝家協会、日本ペンクラブの会員「昭和史を語り継ぐ会」を主宰。

※6/21(金)・6/26(水)は広島大学の教員による対面講座です。


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