法学会講演会「フィリピン・ミンダナオ和平プロセスと日本-わが国平和構築外交の新たな取り組み-」が開催されました

石川氏ご講演の様子
2019年7月9日(火)東千田キャンパスにおきまして、広島大学法学会講演会として、外務省南東アジア第二課地域調整官石川義久氏をお招きし、「フィリピン・ミンダナオ和平プロセスと日本-わが国平和構築外交の新たな取り組み-」と題した講演が行われました。
フィリピン最南部のミンダナオ島では、政府とイスラム教徒との間で武力を含む紛争が半世紀以上にわたって続いていますが、石川氏は2005年以降、フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間での和平に関わってきた方で、講演においてはミンダナオ和平プロセスと日本の関わりについてお話しいただきました。ミンダナオ和平プロセスへの日本の関与は、停戦には合意したもののいまだ紛争状態にある両当事者間の橋渡しを試みるという、日本にとって先例のない平和構築のプロジェクトでしたが、2008年に合意が崩壊し他の外国が手を引いた後も踏みとどまって対話を促し続けたことでフィリピン政府とMILFの両方からの信頼を得、ついには2011年8月の成田でのアキノ大統領とムラド議長の会談を成功させて、今日に至る最終和平合意への道を作りました。こうした過程、そしてその後の歩み、中でも高橋公使と緒方JICA理事長という二人の女性の積極的な関与へのリーダーシップや、日本が全体としてチームを組んで和平を後押ししたことなどを、石川氏は現場にいた外交官ならではの迫力をもって話してくださいました。
今回の講演会では、東千田キャンパスでの講演のもようを東広島キャンパスにも同時中継しており、多くの参加者にご聴講いただきました。講演後は、両キャンパスの参加者から活発に質問が出され、石川氏からは丁寧なお答えがありました。
大変有意義な講演となり、ご講演の石川氏はじめ参加者の皆様に感謝いたします。
スライドを示す石川調整官

スライドも交えてお話しいただきました


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