シンポジウム「コロナ禍に直面する医療を社会科学はどう見るのか」を開催しました

シンポジウム・全体討論の様子

令和3(2021)年12月4日、広島コンベンションホールにおいて、広島医療社会科学研究センター・シンポジウム・ 第8回広島大学大学院人間社会科学研究科設立記念セミナー「コロナ下に直面する医療を社会科学はどう見るのか」(広島医療社会科学研究センター・広島大学法学部共催)が開催されました。
本シンポジウムは、わが国や世界におけるコロナ対応をめぐる医療体制は重大な危機に直面している現状下で、主に日本、中国、ドイツの視点から、それぞれの専門分野が示す諸相を通じて、コロナ時代における社会科学の意義や役割を問い直すもので、3人の報告者からの個別報告とそれに対するコメント、そして全体討論がなされました。
浅利宙教授 (広島大学大学院人間社会科学研究科)からは「セルフヘルプ・グループによる遺族支援の事例検討-社会学の視点から-」と題し、様々な理由で大切な人を亡くした遺族のセルフヘルプ・グループにつき紹介がなされ、社会学の視点から考察がなされました。孫路助教(広島大学大学院人間社会科学研究科)からは 「中国における医療制度の過去と現在-法制史の視点から-」と題し、中国の古代における医療保障制度と、現代における医療保険制度につき報告がなされました。また、日本医事法学会総務委員会委員の天田悠准教授(香川大学法学部)からは「刑法解釈論からみたトリアージードイツ法に基づく問題点の抽出・検討-」と題し、緊急時の医療の優先順位付け(トリアージ)についてのドイツ刑法学における議論を紹介し、解釈につき検討がなされました。これらの報告に関しては各コメンテーターから有益なコメントを頂き、また、全体討論では活発にフロアからの質問が出され、実りある議論がなされました。
現代の複雑な医療問題に対し法学・政治学・社会学等の社会科学的分析視角から研究活動を行う拠点を形成することを目的とする広島医療社会科学研究センターにふさわしい、有意義なシンポジウムとなりました。


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