放射線を浴びたときの身体障害

放射線を大量に浴びたときの身体障害

すぐに現れる障害(急性障害)

 1.48時間以内

  • 全身脱力、吐き気、嘔吐
     

 2.約3週~2ヶ月

  • 脱毛、口内炎
  • 造血障害 → 感染症・出血傾向
  • 消化管障害 → 嘔吐・下痢
  • 中枢神経障害 → けいれん

数ヶ月以降に現れる障害(晩発性障害)

  • がん

     放射線を大量に浴びると身体に重い障害があらわれます。被ばく直後には全身の脱力と吐き気、嘔吐が見られます。その後いったん症状は軽快し、約3週から2ヶ月後に脱毛と口内炎が発症し、さらに白血球や赤血球、血小板など血液細胞を作れなくなったり(造血障害)、胃や腸などの消化管の粘膜が傷んだり、脳の機能が障害されてけいれんを起こしたりします。こうした急性障害の症状が落ち着いてしばらく経って、がんをはじめとする晩発性障害が5ヶ月以上たった後で出現します。

放射線の細胞への影響

放射線は体を構成する細胞に損傷を与えます。細胞の中では、遺伝子DNAからメッセンジャーRNAが転写されて、タンパク質が作られています。放射線の標的はDNAです。放射線はDNA二重らせんを切断します。

放射線によって生じるDNAの傷の数

私たちは、自然放射線から被ばくを受けるとともに、病院のエックス線検査からも被ばくしています。この表は被ばくによって生じるDNAの傷の数を示します。

  被ばく線量(ミリシーベルト) 1細胞当たりのDNA二重鎖切断数
胸部X線 0.02 0.0008
マンモグラフィー 0.4 0.016
頭部CT 2 0.08
自然放射線による年間線量 2.4 0.1
腹部CT 7 0.28
冠動脈造影 22 0.88
宇宙旅行(60日間) 50 2
広島・長崎原爆被ばく 5~4000 0.2~160

Molecular Cell 40, October 22, 2010 ©2010 Elsevier Inc. 


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