センター長挨拶


 広島大学は、人類史上初めて原子爆弾が投下された被爆地広島に1949年に創設された総合研究大学で、開学当初から「平和を希求する精神」という本学の理念の下で、被爆者医療に取り組んで参りました。

 平成16年3月に、緊急被ばく医療の拠点として西日本ブロックの「三次被ばく医療機関」に指定され、これを受けて同年9月に「緊急被ばく医療推進センター」を設立し、原爆放射線の障害や治療法の研究、被爆者医療に取り組んできた経験を基に、実効性のある緊急被ばく医療体制の整備に従事してまいりました。

 平成23年3月に発生した東日本大震災福島第一原子力発電所事故では、発災直後から継続して緊急被ばく医療支援チームや放射線の専門家ら延べ1300人余りを福島に派遣するなど、医療を中心とした被災地の復興支援活動に取り組んでまいりました。 この事故の経験から、多数の被ばく傷病者の発生を想定した原子力災害にも対応できる新しい被ばく医療体制が求められました。原子力規制委員会は、原子力災害対策指針の見直しを進め、救急医療や災害医療を実践的に取り入れた原子力災害医療体制が整備されることとなりました。

 本学は、平成27年8月「高度被ばく医療支援センター」及び「原子力災害医療・総合支援センター」に指定され、原子力災害時の中核人材や原子力災害医療派遣チームを育成するための専門研修、地域における研修等への講師派遣、原子力防災訓練への参加を通じた原子力災害医療体制の整備と人的ネットワークの構築などを推進すると共に、その実効性の確保のための諸活動を実施しています。

 令和4年3月、これらの活動を担う新たな拠点として、長年の念願だった「放射線災害医療研修棟」を竣工しました。この施設の整備にあたり、多大なるご支援、ご指導を賜りました原子力規制委員会 原子力規制庁の皆様をはじめ、ご尽力いただきました関係各位に厚くお礼申し上げます。

 令和4年7月に、この研修棟の開所を契機として、当センターの名称を「放射線災害医療総合支援センター」に改称しました。 教職員一同は、新たな気持ちで原子力災害医療体制のさらなる充実のためにより一層努力する所存です。 関係機関の皆さまのご支援、ご指導を心よりお願い申し上げます。
 

放射線災害医療総合支援センター長
           廣 橋 伸 之


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