第371回IDECセミナーを開催しました

第371回IDECセミナーを開催しました

2017年7月12日(水)18:00~19:40 IDEC大会議室 参加者31名

 

仏語圏アフリカで展開するJICA住民参加型学校運営プロジェクト(通称みんなの学校プロジェクト)を担当する、国際協力専門員の國枝信宏氏に広島大学に来ていただきました。

國枝さんからは、①成人識字率の低い西アフリカで、子供には学校で読み書きなどの能力を身に付けさせたいという地域住民や保護者の切実な願いを原動力に、みんなの学校プロジェクトが展開されてきたこと、②学校運営委員会への不信感、透明性の欠如、モニタリング体制の不在というこれまでの課題に対して、教育に熱意と労力を傾けられる人を学校運営委員会の代表に選ぶための民主的な選挙、住民総会での徹底的な情報共有、学校運営委員会連合という形でのモニタリングを実施してきたこと、③さらなるステップとして、地域住民、保護者からの学習の改善への期待から、授業外の補習による学習時間の確保、基本的な計算能力の習得の取り組みへと発展していること、が説明されました。

質疑応答では、全国展開する上での課題・持続性への配慮、子供のいない地域住民をどう巻き込んだのか、学校運営委員会と政府(行政)との関係、教師が介在しない補習で学力が改善したことへの教師の反応、公立と私立での取り組みの違い、なぜ識字ではなく基礎的な計算能力から取り組んだのか、などの質問がなされ、國枝さんからそれぞれに丁寧な回答をいただきました。

翌日には私が担当する「国際教育協力実践研究」の講義の一環として、國枝さんと学生たちとのインタビューセッションを実施しました。関係者のモチベーションを高めるための戦略は何か、どのように既存の権威(伝統的首長)の理解を得て民主的な選挙をしたのか、何がモデルとしての成功要因か、包摂性という観点で障害のある生徒とその親の参加はどうか、JICAが本プロジェクトで果たした役割は何か、について突っ込んだやりとりがなされ、國枝さんから広報資料や本だけでは分からない貴重な話を伺うことができました。

 

教育文化講座 澁谷 和朗

学生に語りかける国枝専門員

多くの学生から活発な質問が出ました


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