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広島大学大学院国際協力研究科の石川太陽さん(博士課程前期2年)が、公益財団法人国際科学技術財団が選定した日本代表学生として、2019年12月にスウェーデンで開催されたストックホルム国際青年科学セミナーに参加しました。セミナーでの活動や学んだことについて石川さんにお話を伺いました。
ストックホルム国際青年科学セミナーではどんな活動に参加されましたか?
授賞式や晩餐会、受賞講演などのノーベル賞関連行事に加えて、現地高校生への研究発表や倫理セミナーに参加しました。また、クリスマスランチや国際交流ディナーなど、セミナー参加者との交流会もありました。
一番印象に残っている活動は何ですか?
ノーベルレセプションで化学賞を受賞された吉野彰先生(名城大学 教授)を始め多くの受賞者の方々から直接話を伺うことができたことです。特に吉野先生は非常に長い時間を割いて今後の研究へのアドバイスをくださいました。
このセミナーに応募した動機の1つとして、「科学技術の実社会での活用に対する知見を深めたい」ということがあったので、吉野先生から「基礎科学と社会実装の研究を行う時に意識していること」を直接お聞きする機会が持てたのは貴重な経験でした。吉野先生から「社会の全体像を捉え、自分の研究の立ち位置を把握し、基礎科学と社会への実装を行き来しながら、少しずつ精度を上げていくことが重要である」と教えていただきました。
私は今後、交通インフラに関するさまざまな技術を活用した社会問題の改善に取り組んでいきたいと考えており、吉野先生のように社会や研究分野の全体像を捉えつつ、自分にできることは何かを考えながら多くのことにチャレンジしていきたいと強く思いました。
吉野彰先生との記念写真
英語を使っての交流や研究発表はいかがでしたか?
世界中から集まった参加者と英語を使って積極的にコミュニケーションを取ることができました。ただ、遺伝子組み換え技術の使用に関して賛成派と反対派に分かれて討議したディベートセッションでは、自分の英語力や積極性の未熟さを感じる場面もありました。ほかの参加者たちは相手の意見を踏まえて即座に自分の意見をまとめて発言していて、彼らの積極性や発言力、論理的思考力に圧倒されました。今後、国際社会で生きていくために、相手の意見を即座に理解し、自分の意見を(英語で)明確に伝えることをもっと意識して日頃の研究や仕事に取り組んでいきたいと思いました。
セミナー参加にあたり、苦労したことはありますか?
現地の高校生に向けた研究発表の準備です。渡航前に、専攻が異なる学生に協力してもらって研究発表を聞いてもらったのですが、自分の伝えたい概念が予想以上に伝わらないことに直面しました。研究室内では前提知識となっている部分も、分野の違う人にとっては不明瞭な部分として捉えられてしまうからです。そこで、伝える概念や使用する表現に気をつけながら発表準備を行い、セミナー当日も高校生との対話を繰り返しながら、「分かりやすく伝えるためにはどんな説明方法が良いか」を試行錯誤しました。その結果、最終的には多くの高校生に自分の伝えたい概念や知識を理解してもらい、有意義な議論を行うことができました。
セミナー参加を通して感じたこと、成長したと感じる点を教えてください。
世界各国から参加した若手科学者との交流を通して、科学が人を繋げる力を感じることができました。今回、世界19カ国から高校を卒業したての学生から博士課程の学生までの幅広い年代、そして幅広い専門分野の学生が集まりました。このような多様な状況においても、おのおのの学生の共通項目として、科学が好きであること、そして取り組んでいる研究分野や学問分野に誇りを持っており、自信を持って自身の研究発表を行っていることを感じました。そのような共通点のおかげで、お互いの研究についての議論を始め、とても有意義な時間を過ごすことができました。
高校生に対して自分の研究を伝えることに苦労した分、自分の伝えたい概念を伝える時の意識が大きく成長したと感じています。例えば、誰に伝えるのか、何を最も伝えたいのかを意識し、使う表現や説明の流れを考えるというプロセスを今回の経験を通して身につけることができたと思います。この学びは研究発表に限らず、人生の多くの場面で生かせる貴重なものであると感じています。
広島大学広報グループ