第8回 広大きてみんセミナー「ナポレオンの素顔 -英雄か それとも 独裁者か-」を開催しました。

2025年11月29日、広大きてみんセミナー「ナポレオンの素顔 -英雄か それとも 独裁者か-」を開催し、近代フランス史を専門として特にフランス革命・ナポレオン時代を研究されている、広島大学人間社会科学研究科の藤原翔太准教授が講師を務めました。今回は、歴史やフランス革命戦争で活躍したナポレオンに興味のある高校生・一般の方を対象に、ナポレオンの生い立ちからナポレオンがどのようにして権力の座についたのか、そして、どのようにして自らの権力基盤を強固にしたのかなど、英雄か独裁者かという単純な枠には収まらない新たなナポレオン像について歴史学の観点から話をしていただきました。

 セミナー前半では、ナポレオン・ボナパルトゆかりの建造物や没後200年(2021年)の様子が紹介され、現代フランスの人びとにとってもナポレオンが歴史上の重要な人物であることが説明されました。また、幼少期より読書家だった逸話や、諸外国も巻き込んだフランス革命戦争で活躍した「国民の英雄」ナポレオン、さらにクーデターで政権を奪取した「ブリュメール18日」における従来とは異なるナポレオンの立ち位置の解釈を展開され、参加した高校生も含めて興味深く話を聞いていました。

後半では、ナポレオン帝政が実施した特徴的な選挙制度の仕組みやナポレオンのプロパガンダ戦略、現存する絵画に込められた意図や背景について詳しく解説されました。話の内容が藤原准教授の研究の中枢に入ることもあり、参加者には少し難しい話もあったようですが、藤原准教授の話に興味津々に耳を傾け、頷く場面も多かったようでした。

最後の質疑応答ではフロアやオンライン参加者から様々な質問が寄せられました。議会でクーデターが成功した11月10日と「ブリュメール18日」の日付が異なっているのはなぜかとの質問に、藤原准教授は、革命暦のブリュメール(霧月)18日は11月9日であること、実際のクーデターは11月9日から2日間に亘り、政権を奪取したのは11月10日であるが「ブリュメール18日」という呼称が定着した理由について解説されました。
また、高校生が、スライドで示されたナポレオンの肖像画にはナポレオン治政の終焉を感じるという感想を述べると、藤原准教授から絵画が描かれた時代背景も含めて詳しい説明がありました。

セミナー終了後も藤原准教授のところに訪れて歓談される方もありました。また、対面・Web参加者のアンケートでも満足したとの回答が多く、「知らない話が聞けて良かった」「ナポレオンに対する認識が講演前と後で変わり、とても面白かった」などのコメントもあり、参加した皆さんにとって大変有意義なセミナーとなりました。
藤原先生のナポレオン研究について関心のある方はぜひ、著書『ブリュメール18日 革命家たちの恐怖と欲望』(慶應義塾大学出版会、2024)や『ポピュリスト・ナポレオン』(角川新書、2025)をお手に取ってみてください。
 

【セミナーの模様】

※次回セミナーのご案内

第9回 広大きてみんセミナー

 日 時:2025年12月27日(土) 14:00~16:00

テーマ:「“ゼロ”から学ぶ金融の世界 – 情報と確率でリスクをコントロール! - 」

 講 師:広島大学大学院人間社会科学研究科 教授 鈴木喜久 先生

 https://www.hiroshima-u.ac.jp/kiteminsailabo/news/94171


up