山梨大学クリスタル科学研究センターの熊田伸弘教授、同センター田中 功教授、東京工業大学応用セラミックス研究所の東 正樹教授、広島大学大学院理学研究科の黒岩芳弘教授らの研究グループは、新規ビスマス酸化物超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12を発見しました。
この超伝導体はバリウムとナトリウムおよびカリウムが規則的に配列するA-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造(注1)であり、高温超伝導体探索およびメカニズムの解明に新たな指針を与えるものです。
この新規超伝導体の転移温度は低温ですが、組成や結晶構造を調整することによるさらなる超伝導転移温度の向上や、長周期規則性を持つ結晶構造と超伝導発現との関連性を解明することで、高温超伝導体探索の新たな指針となることが期待できます。
この研究成果は、ドイツの科学誌「Angewandte Chemie International Edition(応用化学誌 国際版)」のオンライン版で2月27日(日本時間)に公開されました。
【論文名】
“Superconducting double perovskite bismuth oxide (Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12 prepared by a low-temperature hydrothermal reaction”
「低温水熱反応より合成されたビスマス酸化物ダブルペロブスカイト超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12」
【お問い合わせ先】
広島大学大学院理学研究科教授 黒岩 芳弘
Email: kuroiwa*sci.hiroshima-u.ac.jp (*は@に置き換えてください)
TEL: 082-424-7397 FAX: 082-424-7398
(注1)ペロブスカイト型構造
一般式ABO3で表される元素組成を持つ、金属酸化物の代表的な結晶構造。本研究で発見されたA-サイトオーダーダブルペロブスカイトは二つのAサイトを持ち、A’A’’3B4O12で表される。