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【研究成果】DNAを自己分解してリン栄養分にする生命現象の発見 ~種子植物の普遍現象・細胞内共生由来のDNAで~

本研究成果のポイント

  • リン(P)は植物の三大栄養素の一つであり、肥料にも使われている一方、リン肥料の枯渇や水質汚染が懸念されています。
  • 岡山大学 坂本亘教授、広島大学大学院理学研究科 草場信教授らの研究グループは、シロイヌナズナとポプラを用いて、細胞内のオルガネラDNAが分解され、リンの再利用に使われていることを解明しました。
  • オルガネラDNAの量をコントロールすることで、リン利用効率が向上した作物の育成につながることが期待されます。

概要

岡山大学資源植物科学研究所坂本亘教授と高見常明技術専門職員、神戸大学大学院理学研究科の三村徹郎教授、広島大学大学院理学研究科の草場信教授らの研究グループは、細胞内のDNAが自己分解され、リンの栄養分として再利用される生命現象を明らかにしました。

植物の光合成を行う葉緑体や呼吸をつかさどるミトコンドリアは、太古の昔に細胞内共生[1]により獲得した、バクテリア由来のオルガネラDNA[2]をたくさん持っています。これらの、一見不要と思われる過剰のDNAは、リン栄養が欠乏した状態になると積極的に分解され、再利用されていることが今回の研究で明らかになりました。

リンは植物の三大栄養素の一つで、21世紀にはリン肥料の枯渇や水質汚染が懸念されています。本研究成果により、DNA分解を介したリン酸利用効率の向上性が分かり、これらの知見を用いて養分利用を改善させた作物の改良にも結びつくことが期待されます。

この研究成果は、英国の科学誌「Nature Plants」誌で公開されました。

【補足・用語説明】
[1] 細胞内共生説:
真核細胞の祖先となる細胞が、別のバクテリアを共生体として取り込み細胞小器官のミトコンドリアと葉緑体ができたとする説。

[2] オルガネラDNA:
真核生物の細胞核の外の細胞小器官(オルガネラ)に含まれるDNA。
 

論文情報

  • 掲載雑誌: Nature Plants, 2018年11月13日
  • 論文題目: Organelle DNA degradation contributes to the efficient use of phosphate in seed plants
  • 著者: Tsuneaki Takami, Norikazu Ohnishi, Yuko Kurita, Shoko Iwamura, Miwa Ohnishi, Makoto Kusaba, Tetsuro Mimura, and Wataru Sakamoto
  • DOI: 10.1038/s41477-018-029
【お問い合わせ先】

岡山大学資源植物科学研究所事務室
TEL: 086-424-1661
FAX: 086-434-1206
E-mail: saka*okayama-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)
HP: www.rib.okayama-u.ac.jp/index-j.html

神戸大学大学院理学研究科
教授 三村徹郎
TEL: 078-803-5708
FAX: 078-803-5708
E-mail: mimura*kobe-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

広島大学大学院理学研究科
附属植物遺伝子保管実験施設
教授 草場 信
TEL: 082-424-7490
FAX: 082-424-0738
E-mail: akusaba*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)


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