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【研究成果】炭素―炭素π単結合性化合物の寿命を圧力効果により約1000倍長くすることに成功

解説

有機化合物を形づくる炭素–炭素結合には,σ型とπ型が存在することが知られている。エタン分子CH3-CH3の炭素―炭素結合は,結合軸方向に軌道の広がりを持つσ型である。エチレン分子CH2=CH2の炭素―炭素結合は,σ型とπ型の2つで構成される。安倍教授らは,炭素―炭素結合がπ型のみで繋がったπ単結合を創起し,その実験的な発生に挑戦してきた。π単結合性化合物は,HOMO-LUMOエネルギー差が小さく,小さなπ電子系にも関わらず,可視光から近赤外領域に光応答性をもつユニークな光電子物性をもつ (Chem Lett., 2017, 46, 1586-1592)。

これまで,π単結合性化合物の発生には2位に酸素官能基を持つ一重項1,3−ジラジカルを用いてきた。本研究では,ラジカル部位に極めて嵩高い置換基 (Ar) を導入し,そのσ結合形成反応を遅くする分子デザインを施した。その結果,800ナノ秒程度の寿命であったπ単結合性化合物の寿命を300マイクロ秒程度に長寿命化することができた。さらに,4000 atmの圧力を加えることにより,室温で2秒の寿命を有するπ単結合性化合物の発生に成功した。この研究成果は,イギリス王立化学会誌 Physical Chemistry Chemical Physicsに掲載され,2020 PCCP HOT Articlesに選出され,その発行号の表紙を飾った。

掲載論文情報

  • 掲載雑誌:Physical Chemistry Chemical Physics 2020, 22, 27949-27954(カバーピクチャー)
  • タイトル:Dynamic solvent effects in radical–radical coupling reactions: an almost bottleable localised singlet diradical with π-single bonding character
  • 著者:Rikuo Akisaka, Yasushi Ohga and Manabu Abe
  • DOI: 10.1039/D0SC05311B
【お問い合わせ先】
広島大学大学院先進理工系科学研究科
教授 安倍 学

TEL: 082-424-7432
E-mail: mabe*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)


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