昨年4月,本学に開設したトランスレーショナルリサーチセンターに,広島県とともに設置したバイオデザイン共同研究講座において,今年度からより実践的な人材育成プログラムである12か月の「フェローシップコース」をスタートさせることとし,4月8日(月)に次のとおり開講式及び記念セミナーを開催しました。
このコースには,県内ものづくり企業2社(株式会社ジェイ・エム・エス様,株式会社モルテン様)から1名ずつ,及び医師1名の計3名のフェロー(受講生)の参加があり,本学霞キャンパスのラボを拠点にして,バイオデザイン部門/准教授の木阪智彦,客員准教授の川瀨真紀,共同研究講座助教の松浦康之による指導のもと,4月1日から活動を始めているところです。
〔開講式〕 日時: 平成31(2019)年4月8日(月) 13時30分〜14時30分 場所: ひろしまバイオデザインラボ(広島市南区霞1-2-3 霞キャンパス) |
開講式では,主催者である本学副学長の木原康樹,及び広島県商工労働局の佐伯安史局長のほか,全インド医科大学心臓外科学教授のサンディープ・シン先生,大阪大学大学院医学系研究科バイオデザイン学共同研究講座特任准教授の八木雅和先生,元日本医療機器産業連合会会長の中尾浩治先生,広島県病院事業管理者の浅原利正先生,独立行政法人国立病院機構理事の奥谷卓也先生などのご来賓の皆様をお迎えし,代表してスタンフォード大学ジャパンバイオデザインプログラムダイレクターの池野文昭先生からご祝辞,㈱日本医療機器開発機構代表取締役社長の内田毅彦様からビデオメッセージをいただきました。また,フェロー派遣企業である㈱ジェイ・エム・エス取締役研究開発本部長の佐藤雅文様,㈱モルテン健康用品事業本部設計開発グループグループリーダー理事の大野博様からもご挨拶いただきました。
〔記念セミナー〕 日時: 平成31(2019)年4月8日(月) 15時00分〜17時30分 場所: 広島大学医学部広仁会館大会議室(広島市南区霞1-2-3 霞キャンパス) |
引き続いて開催された記念セミナーでは,本学を代表して,理事・副学長(医療担当)の木内良明からの開会挨拶の後,プログラムに入りました。
基調講演①では,全インド医科大学のサンディープ・シン先生から,「インドに学ぶ“Make in India”と“Frugal Innovation”」と題して,インド政府が国策として推進してきたインドバイオデザインの10数年間の成果と,近年連携を深めている日本(本学・鳥取大)との協働関係を今後どのように発展させていくのか,将来への展望について話していただきました。
次に,基調講演②では,大阪大学大学院の八木雅和先生から,「『バイオデザイン』によるヘルスケア・医療機器イノベーション」と題して,アカデミアの役割としてのバイオデザイン学(日本版バイオデザイン)の確立と浸透,産業界と連携したイノベーション創出の土壌醸成の重要性について語っていただきました。
続いて,経済産業省医療・福祉機器産業室室長補佐の平野恵子様から,医工連携事業化推進事業の開発事業や伴走コンサルなどのソフト支援事業のほか,それらを活用した事業化事例など,経済産業省における医療機器・ヘルスケア産業政策についてご説明いただきました。
その後,ひろしまバイオデザインの昨年度までの実績及び今後の取組の方向性について,インドでの活動報告も含め,本学バイオデザイン共同研究講座の木阪智彦及び松浦康之からご紹介させていただきました。
そして,とりまとめのパネルディスカッションでは,スタンフォード大学の池野文昭先生をコーディネーターとして,中尾浩治先生,㈱ジェイ・エム・エス研究管理部長の中川宜明様,広島県健康福祉局の田中剛局長,経済産業省 平野恵子様の4名のパネリストの皆様にご登壇いただきました。
「ひろしまバイオデザインに期待すること」をテーマに,中尾先生からは人材育成と人材集積の重要性について,中川様からは現場目線の重要性と地域に根付いた活動にするための環境整備の必要性について,田中局長からは災害などの危機的状況から起こすイノベーションや地方にマッチした“Frugal Innovation”,パッション(熱意)を持って取り組むことの重要性について,平野様からはインドとの連携の難しさについて,活発にご議論いただきました。池野先生からは,イノベーションを起こすために「型」をしっかり学んだ上で型破りをしてほしい,人と人とのつながりを築いてほしい,とエールを送っていただきました。
当日は地域のものづくり企業,行政,大学関係者など約90名の参加があり,プログラム中も積極的な質問が出されるなど,関心の高さがうかがえました。最後に,中尾浩治先生から閉会のご挨拶をいただき,盛会のうちに終了することができました。