メールマガジン No.115(2023年5月号)

メールマガジン No.115(2023年5月号)
リテラ友の会 メールマガジン No.115(2023年5月号) 2023/5/

□□目次□□

1.文学部新任教員からのご挨拶
・太田亨准教授(総合人間学 比較日本文化学分野)
・小川陽子准教授(日本・中国文学語学 日本文学語学分野)
2.「広島大学―台湾大学・中国古代思想史研究交流研究ワークショップ」
 末永高康教授
3.文学部オリエンテーションキャンプレポート
4.委員長より

1.文学部新任教員からのご挨拶

文学部では4月に2人の教員が着任いたしました。今号では、新任教員の自己紹介をお届けいたします。

●総合人間学 (比較日本文化学分野) 太田亨 准教授

 四月より比較日本文化学分野に着任いたしました太田亨と申します。私は、文学部が西条に移転した最初の年の入学生(06)です。修了後、広島商船高等専門学校、愛媛大学に勤務し、二十年ぶりに広島大学に戻ってまいりました。 
 現在、日本中世に栄えた禅林社会において、中国文学がいかに受容されていたかということについて研究しています。禅林社会では、「不立文字」「以心伝心」を標榜しながらも、熱心に中国の文物を修得していた禅僧が大勢いました。今の日中関係からは想像できないかもしれませんが、当時の禅僧は、中国の文学に敬意を抱き、少しでも多くのことを学ぼうと必死でした。中国の書物を四苦八苦して解釈し、それらを抄物と呼ばれる注釈書に書き留め、吸収した学識を元に、自らが漢詩文を製していたのです。この一連の過程が、杜甫や柳宗元の作品、『三体詩』や『古文真宝』等に対してどのように行われたのかを調べています。
 また、高等専門学校で教鞭を執っていたことや教育学部で学生を指導していたことから、漢文教育についても関心があります。漢文教材に込められた作者の意図をいかに読解し、教材の価値をいかに生徒に理解させるか模索しています。
 私の尊敬する森野繁夫先生・佐藤利行先生が使用されていた研究室で研究・教育できることに喜びを感じております。両先生のように、研究と教育を精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

□太田亨 准教授のプロフィールはこちらをご覧ください。

●日本・中国文学語学 (日本文学語分野) 小川陽子 准教授

 日本・中国文学語学講座に着任いたしました小川陽子と申します。学部から大学院まで9年間学んだ母校で教育と研究に携わる機会を頂戴し、とても嬉しく存じますとともに、身の引き締まる思いでおります。母校とここで学ぶ学生たちのために良き仕事ができるよう、精いっぱい努めます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私の専門は、古代中世の日本文学です。中でも『源氏物語』をはじめとする平安時代から鎌倉・室町時代の作り物語(フィクション)が、どのように作られ、どのように読まれてきたのかを研究しています。
 古代中世の物語は、それぞれが作られた時代の読者はもちろんのこと、その後の時代におけるさまざまな人の手をも経て、私たちのもとへと届いています。作られた当初とは異なる時代を生きる、文化も常識も大なり小なり異なる読者たち、言わば想定外の読者たちが、長い時間をかけて作品を受け渡すことを繰り返し、今日へと至ったわけです。
 想定外の読者たちは思い思いに作品を楽しんでいますが、物語が作られた当初の人々からすればまるで思いもよらないような読み方をしていることも少なくありません。そこには、それぞれの時代の常識や価値観も反映されます。私は、長い歴史の中で物語に触れてきたさまざまな読者たちに、そしてその読者たちが生み出した多彩な解釈に、心惹かれます。それらの解釈を繙いていくことは、作品の多彩な面を明らかにしていくことであると同時に、その解釈を生んだ人や文化、社会、そこに潜む価値観等に迫ることでもあります。
 緑豊かなキャンパスで書物と向き合う時間や、興味関心を共有する友人・先輩後輩と議論する時間は、何物にも代えがたいものです。教え子であり後輩でもある学生の皆さんと、物語のこと、広島のこと、さまざまに語り合える時間を楽しみにしています。これからどうぞよろしくお願い申し上げます。

□小川陽子 准教授のプロフィールはこちらをご覧ください。

2.「広島大学―台湾大学・中国古代思想史研究交流研究ワークショップ」

「広島大学―台湾大学・中国古代思想史研究交流研究ワークショップ」を開催しました。

 去る3月29日、30日、広島大学文学部中国思想文化学研究室・倫理学研究室と国立台湾大学哲学系アジアおよび分析哲学研究センターとの共催で、中国古代思想史をテーマとした研究交流のワークショップを開催しました。
 29日は、国立台湾大学哲学系教授の佐藤将之先生が初日の主題講演として「近代日本における中国哲学研究領域の誕生」と題して、明治期に中国哲学という研究領域がどのように生み出されてきたのかについて、特に井上円了に焦点を当てて話をされました。また、本学人間社会科学研究科助教の劉幸先生が「中国の文書からみた日本精神史」と題して、北京師範大学文書館に保存されていた細井次郎の輔仁大学学長・陳垣宛ての1945年8月付けの辞職願の手紙などを紹介しながら、戦時中における日中交流や日本人の精神のあり方の一端について話をされました。
 30日は、国立台湾大学哲学系主任の林明照教授が主題講演として「《淮南子・斉俗》中多元共生的図像」と題して、中央集権的な体制を構想する前漢武帝に対して、多元的で地方共存的な体制を構想する『淮南子』の思想について話をされた後、台湾大学と広島大学の大学院生および若手研究者計六名が中国古代思想史に関する研究発表を行いました。馬王堆帛書や郭店楚簡などの新出土資料を用いた諸子の思想史の研究から、敦煌文書を用いた南北朝期の義疏についての研究まで、いずれも力のこもった発表で、質疑応答も活発に行われました。
 30日は台湾大学の院生一名が日本語で発表した以外は、質疑応答も含めてすべて中国語で行いました。海外での発表の機会を与えられた台湾大学の若手諸君、中国語での研究発表の機会を与えられた広島大学の若手諸君ともによい経験になったと思います。
 折しも満開の桜で、東広島キャンパスの桜もまた、この国際ワークショップの開催を祝福しているかのようでした。
 

講演をされる佐藤教授

講演をされる林主任

満開の桜の下で集合写真

3.文学部オリエンテーションキャンプレポート

〇文学部オリエンテーションキャンプ 総局長  山中 大輔

今年度の新入生歓迎オリエンテーションキャンプ(通称「オリキャン」)は、4月22日(土)、29日(土)の午後、東広島キャンパスで開催されました。

文学部では毎年、新入生歓迎オリエンテーションキャンプ(通称「オリキャン」)を4月に行っております。新入生の学生生活への不安解消と新入生同士だけでなく新入生と上級生との交流を図ることで新入生が良い大学生活のスタートを切れるようにすることを目的としています。

活動内容としては、4月4日に行われた対面式から始まり、各班に分かれて活動を行う班活動を通して学年問わず多くの文学部生が交流を行いました。また、集大成として4月22日に東広島キャンパス内を巡るオリエンテーション企画を行い、29日にはスタンツと呼ばれる1年生による出し物の発表会がありました。

29日のスタンツ発表会では各班の1年生たちが事前に準備を行い、コントやダンス、劇やクイズなど様々な発表を行いました。新入生にとって入学したばかりの慣れない大学生活で、しかも3週間というあまり十分とは言えない準備期間の中、どの班の発表もしっかりと仕上げられており素晴らしいものばかりでした。更には完成度が高いだけでなく、ユーモアのある発表も多く、終始、会場は笑い声や拍手で包まれておりました。1年生に限らず、参加者全員が楽しそうな様子を見て、私自身も非常にうれしく思いました。

 私自身、入学する際に広島大学には1人も知り合いがおらず、不安な日々を過ごしておりましたが、文学部オリキャンに参加することでかけがえのない友人ができました。そして、今度は私が慣れない大学生活で不安を抱えている新入生に対してお手伝いをさせていただきたいと思い、ここまで奮闘して参りました。今年度のオリキャンも学生スタッフをはじめ、支援室の方々や先生方にたくさんのご支援をいただき、無事オリキャンを成功させることができました。誠にありがとうございました。新入生のより充実した学生生活とオリキャンがこの先も受け継がれていくことを、運営陣一同切に願っております。
 

22日オリエンテーションの様子

29日スタンツの様子

オリキャン運営陣の様子(その1)

オリキャン運営陣の様子(その2)

4.広報委員会より【広報委員会委員長 末永 高康】

 もうあと一年、広報委員長を務めます末永です。本年度もよろしくお願いします。 
 文学部もまたアフターコロナへと動き出していて、オリキャンはまだコロナ以前の一泊二日の活動にはもどっていないものの、スタッフ一同の努力のおかげで充実した活動を行うことができたようです。 
 国際交流も徐々に復活していて、今回は台湾大学とのワークショップの記事を載せることができました。輔仁大学に勤めていた細井次郎は、北京時代の瀬戸内晴美(後の寂聴)氏とも交流があり、寂聴氏のエッセイにも登場しています。優れた教育者だったようです。 
 オンラインの便利な機器は今後とも活用していくことになると思いますが、人と人との交流は対面が基本です。その基本に立ち返ることの大切さ、立ち返ることのできる有難さを感じさせられる今日この頃です。 
 最後に事務連絡です。本年度からこのメルマガは季刊となります。発行回数は若干少なくなりますが、より充実した内容にしていきたいと思いますので、今後ともご支持のほどよろしくお願い致します。 

 

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学文学部長  友澤和夫
編集長:広報委員長  末永高康
発行:広報委員会

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下記にお願いいたします。
広島大学人文社会科学系支援室(文学)
電話 (082)424-6602
FAX (082)424-0315
電子メール bun-koho@office.hiroshima-u.ac.jp

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