メールマガジンNo.11(2006年7月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.11(2006年7月号)
2006/7/27 広島大学大学院文学研究科・文学部

□□目次□□
1.6月のリテラアワー(文学研究科教授 有元伸子)
2.今月のコラム(文学研究科助教授 新田玲子)
3.文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より

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【1.6月のリテラアワー 文学研究科教授 有元伸子】

  教員・学生や外部からのゲストなど、毎回、多彩な講師を迎えて、ふだんの授業とは一味違った得難いお話が伺えるリテラアワー。6月20日のタイトルは「教職をめざす人へ−現場に立つ先輩のアドバイス」で、山本奈央先生(広島県立宮島工業高等学校教諭、平成11年文学部国語学国文学専攻卒業)と、塩尻尚江先生(銀河学院中・高等学校教諭、平成15年文学研究科博士後期英語学英文学専攻退学)が講演してくださいました。

  コミュニケーション能力や自己プロデュース力を培っておくことの重要性、周囲から期待される役割と自分の原則・理念とを折り合わせることの大切さなどが話題にのぼり、また、教員採用試験に向けての具体的なアドバイスや、公立・私立校それぞれの勤務の現状なども話してくださいました。お二人が、これまでのキャリアのなかで実感したこととして、「教育方法は現場に出てからでも学べる。大学時代にみっちりと専門の勉強をしておくことこそが教師になってから何よりの力になる」と強調されたことが印象的でした。

 教職は、文学部・文学研究科の学生にとっては大学で学んだ専門がダイレクトに生かせる仕事ですが、少子化により狭き門でした。しかし近年、少人数学級や団塊の世代の定年退職等によって教員採用数が増加傾向にあり、就職のチャンスが広がっています。このたびの先輩からのアドバイスは、教職を志望したり将来の選択肢に入れている学生にとって有意義で貴重な体験だったことでしょう。今後のリテラアワーにも、乞ご期待です。

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【2.今月のコラム】

「さまよえるユダヤ系アメリカ文学者」
表象文化学講座 助教授 新田玲子(アメリカ・イギリス文学)

 よく、「旅行好きなんですね」と言われるが、結構人見知り、場見知りする質なので、自宅でのんびり過ごす方が本当は心に叶っている。それなのになぜ、わざわざ外国へ出かけるのか。理由は簡単である。

 広島大学に赴任してからというもの、週日はもとより、土曜・日曜・祝祭日であっても、完全に仕事から解放されることがない。信州に自宅を持っているので、夏休みには少しまとまった時間をそちらで過ごそうとするのだが、たとえそれが果たせても、きまって、抱えられる以上の仕事を持ち帰ってしまう。従って、一年に一度くらい、電話もメールも手紙も届かない外国でのんびり過ごさないとやってられない、というのが実情である。

 もっとも、休暇を取るといっても、人に代わってもらえる仕事ではないから、旅行の前後は死に物狂いの忙しさになる。それなのに、悲しいかな、やっと出かけた旅にも貧乏性が顔を覗かせる。つまり、なけなしの時間とお金をやりくりして取ったはずの休暇を、ついつい研究目的に使ってしまうのである。

 「さまよえるユダヤ人」という言葉通り、ユダヤの歴史は世界にまたがっており、広島大学が要求する高レベルの研究を、私が専門とするユダヤ系アメリカ作家研究で目指すなら、これらの地域に実際に出かけて見ることは必要不可欠といえる。しかし、これは基礎知識や応用知識を増すことはあっても、それがなければ文学論が展開できないという種類のものではない。従って、公的補助は期待できず、せっかくの休暇を利用するしかないというわけである。

 そして、授業や講演会でこれらの旅行で撮った写真や仕入れた話を使うたびに、「世界中を旅して回れていいですねえ」なんて、誤解を招く。 なんともはや、因果な職業に就いたものだと思う。

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【3.文学研究科(文学部)ニュース】

*大学院文学研究科オープンキャンパス開催のお知らせ
  日時 7月31日(月)13時30分〜16時30分
  場所 文学研究科 B104講義室(東広島キャンパス)

*第47回夏季英語研究会開催のお知らせ
  期間 8月7日(月)〜9日(水)
  場所 広島大学東千田キャンパス

*広島大学公開講座-「中世ヨーロッパにおける死と生」-開設のお知らせ
  期間 9月16日(土)
     9月30日(土)
     10月7日(土) 
       (時間はいずれも14:00〜17:00)
  会場 広島市まちづくり市民交流プラザ 北棟5階 研修室C
      (広島市中区袋町6番36号)

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【4.広報・社会連携委員会より 衞藤吉則】

 四月に着任いたしました応用倫理・哲学講座の衞藤吉則と申します。倫理と、教育・平和・政治・経済・宗教とのかかわりについて認識論とナショナリズム論を軸に研究しています。私にとりまして、「ひろしま」という土地は、平和について考えるうえで特別なトポスであります。子どもたちの未来のために、倫理学を通して何ができるか挑戦しつづけてみたいと思っています。どうかよろしくお願いいたします。

 この広報・社会連携委員会では、高校生を含めた多くのひとびとに、いかに文学部の魅力を伝え、私たちの研究や教育の蓄積を還元していくのか、ということについて、毎回、議論をしております。初任の私にとりまして、とても学ぶことが多く、今後、構成員のひとりとして少しでもお役に立てたらと思っています。今回、有元先生が紹介してくだった、リテラアワーにおける「現職の高校教員である卒業生と教職志望在学生との交流会」もまた、文学部のひとつのアイデンティティーを確認していくうえですばらしい試みであったと感じています。「どう生きるべきか」という自己の課題と「学び」が結びつくなかで「生きた学問」が生まれてくると考えます。このように、しっかりとした「知の共同体」を育むこともまた、長いスパンでみると本物の広報活動につながるのかもしれませんね。

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リテラ友の会・メールマガジン
オーナー:広島大学大学院文学研究科長 岸田裕之
編集長:広報・社会連携委員長 岡橋秀典
発行:広報・社会連携委員会
 
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