メールマガジン No.16 (2007年5月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.16 (2007年5月号)
2007/5/29 広島大学大学院文学研究科・文学部

口口目次口口

1 .中国訪問記 (文学研究科教授植村泰夫)
2 .今月のコラム(文学研究科教授 安嶋紀昭)
3 .文学研究科(文学部)ニュース
4 .広報・社会連携委員会より

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【1 .中国訪問記  総合人間学講座教授植村泰夫(東洋史学)】

 総合人間学講座メンバ-6名は平成18年度研究科長裁量経費を得て、2007年3月25日(日)から3月30日(金)まで中国の北京市と貴陽市を訪問し、首都師範大学、国際関係学院、貴州師範大学、貴州民族学院の4ヶ所で学術講演会と広島大学大学院文学研究科の紹介・進学説明会を開催し、学術交流協定締結に向けての準備作業を実施した。
この度の訪問は、一昨年(首都師範大学、清華大学、北京大学)、昨年(西北大学、首都師範大学、清華大学)に続く3度目であり、これまでと同様に北京研究センターを拠点に行われた。

  用意した講演題目は田中久男「卜ニ・モリスンの『ビラヴィド』における歴史と記憶」、植村泰夫「インドネシア華信とナショナリズム」、高永茂「映画で学ぶ語用論」、水田英実「『フマニスムス』について考える」、竹広文明「たたら製鉄の歴史」、佐藤利行「漢文訓読法の意義と方法」であったが、各大学の学生諸君は何れもたいへん熱心に聴講してくれた。また講演とともに行った進学説明会では、合計すると10名ほどの学生が直ちに進学希望を表明するなど、広大文学研究科に対する関心の高さが窺われた。

  なお、国際関係学院日本語学科及び貴州師範大学外国語学院との間では交流協定締結に向けての覚書を取り交わしたが、何れも広島大学大学文学研究科に対する期待が非常に高く、スタッフの相互派遣も含めて今後の交流の発展が大いに期待できると思われる。

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【2 .今月のコラム】

「ぼくあ、幸せだなあ」地表圏システム学講座教授安嶋紀昭(文化財学)

  『ぼくあ、幸せだなあ」。歌の文句ぢゃないけれど、最近頻りにそう思うのです。東京国立博物館から広島大学に出向して早7年余。文化庁の先輩には『一体どんな悪いことをしたんだ』と疑われ、恩師には「君が遠くに行ったら、誰が自分の面倒をみてくれるんだ』と責められ、母親には「何故そんな治安の悪いところに行くのj と泣かれ・・・・。折しも、祭の最中に暴走族と警官隊が衝突したり、岡山から上京の若者が都会に馴染めぬとて池袋で無差別殺人に及んだり、全国ネットで流れるのは異常なニュースばかりでした。

 それでも、清水の舞台から飛び降りる覚悟で赴任したのは、文化財の消耗に拍車を掛けるに違いない博物館の法人化を嫌ったのと、これまで、高度かつ洗練された文化の恩恵にほとんど浴したことのない地方で、本来の文化財学の在り方を伝授し、ひいては真の日本文化史を構築し得る後継者の育成を図ろうとしたからです。赴任後間もなく1年生から共に勉強した学生が、今年度から、とうとう博士課程後期に進学し始めました。前期を合わせて6名の大学院生が、私の狭い研究室で和気語々と研究に励んでいます。我々の専門は仏教絵画を中心とする美術史学ですが、広島県における美術工芸品の国宝保有率は全国の1.7%に過ぎません。中国・四国全体でもなお5%に満たない過酷な状況の中で、約30%+良質の展覧会が常時開催される首都圏や、50%を超える関西圏の学生達に負けない実力を得るため、彼女たちは日々精進し、頼りない私にもよく付いて来てくれています。現在は卒論準備に余念のない4年生も、他学1名を含む3名が進学を目指しており、恐らく仏画を専攻する院生は質量共に暫く世界ーが続くでしょう。

 5月にはD1生のうち2名が、美術史学会全国大会で修士論文の内容を発表します。
この地方初の快挙です。偏狭な地域至上主義者のハラスメントもありましたが、昨年度からは公正な研究科長のもと、外部からの研究資金も確保し、東に良い展覧会があれば飛んで行き、西で調査の許可が下りれば這ってでも参上するという、文化財学のあるべき姿を取り戻しています。何よりも学生達の応援を支えに努力を重ねた成果が漸く実を結び、本学での所期の目的も達成されつつあるといえましょう。満腔の幸せの中、とはいえ何事も引き際が肝腎と聞き及びます故、浦島太郎になる前に、桃源郷を去る時節を探るこの頃です。

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【3 .文学研究科(文学部)ニュース】

文学研究科が担当する広島大学公開講座が下記の要領で開催されますので、ぜひご参加ください。

テーマ:ことばとコミュニケーション
く概要〉
私たちが日頃使っていることぼや何げなく耳にする外国語には,それぞれの国の文化や歴史が反映されています。その一方で.それらにはコミュニケーションを支える共通の仕組みも備わっています。本講座では,ことばとコミュニケーションの仕組み,ことぼと文化,古代のことばとその遺産という三つの視点から,ことばの持つ奥深さを見つめ直してみたいと考えています。

く日時>:平成19年9月 22日(土)・ 29日(土) 1 0月 1 3日(土)14時〜17時
く会場>:広島市まちづくり市民交流プラザ
(〒730-0036 広島市中区袋町6番36号)

く申し込み・問い合わせ先〉
広島大学文学研究科 学生支援グループ
電話: 082-424-6613
メール: bun-gaku-sien@office.hiroshima-u.ac.jp
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【4. 広報・社会連携委員会より 岡橋秀典】

 委員長の岡橋です。
 今号には、総合人間学講座の皆さんによる中国の大学訪問記を掲載しました。中国との教育面の交流は、年々深まっています。これまで本大学院の博士前期には毎年10名近くが入学してきましたが、今年の10月には一挙に倍の20名近くに増えそうです。私の属する地理学分野でも現在5名が在籍していますが、10月にはさらに5名が入学予定です。そういうことで、今は中国人留学生の数は、日本人学生の数を大きく上回るような勢いです。そうした中で、中国からの留学生の教育については悩みも少なくありません。専門分野や日本についての基礎知識が不十分ですし、論文執筆の経験も少ないように思います。同僚の先生は、授業の合間に47都道府県を覚えさせる努力をされているほどです。日本事情など、留学生の実態に配慮した講義が求められているように思います。とはいえ、こんなきびしい状況の中でも、留学生は修士論文に熱心に取り組んでいます。救われるのは、その裏にあるガッツと明るさでしょうか。それらは今や日本人の院生に失われつつあるものなのかもしれません。

 

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学大学院文学研究科長  富永一登
編集長:広報・社会連携委員長  岡橋秀典
発行:広報・社会連携委員会

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