メールマガジン No.31(2009年7月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.31(2009年7月号)
 2009/7/28 広島大学大学院文学研究科・文学部

□□目次□□
1.カープ観戦記
2.フェニックス特別選抜入学生からのことば
3.文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より

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【1.カープ観戦記】 欧米文学語学・言語学講座准教授 稲葉 治朗

 去る6月26日金曜日、互助会からの支援を受けて文学部カープ戦観戦ツアーが催されました。互助会会員25名およびその関係者の総勢30名が、新球場マツダズームズームスタジアムのライト側外野席に陣取り、初夏の暑い夕べに、対中日戦を戦うカープに声援を送りました。

 スタジアムは23000人ほどの入りでまずまずの熱気、日が長い6月下旬の夕刻はまだ太陽が照り注ぎ、まさしくビール日和といった感じでしたが、とにもかくにも試合の進行と共にみな気分はハイになってきます。

 さて肝心のその試合ですが、中日に1点先制されたままでカープの拙攻にイライラがつのってきたところに、6回には先発投手ルイス、7回には栗原が、中日先発の朝倉からそれぞれソロホームランを放ち逆転。9回からは押さえのエース氷川が登板し、だれもがこのままカープの逃げ切りを信じたところでした。ところが氷川は先頭の荒木にいきなり四球、続く森野にもボールが先行し、ファーストストライクを取りにいった球をスタンドに運ばれ、そのまま逆転負け。振り返ってみれば、2本の本塁打を含む9安打を放ちながら、得点がその本塁打による2点のみという拙攻も改めて思い出され、新球場での初めての観戦ツアーは試合的には後味の悪いものとなってしまいました。

 そうは言っても、30名に近い文学部教職員が一週間の重労働を終えた金曜の夜に、デートや家族サービスを後回しにして新スタジアムに集い、地元チームの応援にみな心を一つにしたということは、今後の職場での活動にもいい影響を与えるに違いありません。また、知り合いにカープ関係者がいるI准教授が、栗原・永川・赤松・林という主力4選手の直筆サインボールを計1ダース分差し入れてくれ、それを景品としたくじ引きで盛り上がったりなど、皆さん楽しいひとときを過ごすことが出来たのではないかと思います。さらには、試合終了後に球場出口へ向かう重い空気の中では「今日はこのまま帰りましょう」と皆さん言っていたのが、結局有志5人は駅ビルで普段のごとき飲み会を始めてしまい、試合の結果など忘れていつものようにほろ酔い(ベロ酔い?)気分で帰路に就いた、ということもあったそうです。

 この度この観戦記を任された私は、実は広島に来てまだ2年余りの東京人で、その意味では「なんちゃってカープファン」でしかありません。しかし、今回の観戦ツアーに初めて参加し、皆さんと一致団結してカープの応援をしたことで、広島人への仲間入りをさせてもらった気分を味合うことが出来ました。こうした貴重な体験をさせていただいたこと、また互助会幹事の一人としても、参加いただいた皆様、今回の企画を支えてくださった全ての互助会会員の方々に、厚くお礼を申し上げます。

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【2.フェニックス特別選抜入学生からのことば】
 フェニックス特別選抜とは、50歳以上の熟年世代の人を対象にした特別入試制度です。学位取得を目指し、専門知識や社会経験・人生経験の豊かな人が毎年2〜3名入学しています。現在、12名がこの入試制度で入学し、在籍されています。
  今回は、英語学専攻の玉川さんにコラムを投稿していただきました。

『韻を踏む文学 中世英語に触れて』 欧米文学語学・言語学 英語学専攻 玉川裕子

 私たちの世代にとって、大学は強烈な記憶に留まる学園紛争の時代そのものでした。今、長い歳月を経て、様相も変わり、今春、私は広島大学大学院文学研究科に入学しました。あの頃の仲間達は皆何処へ消えたのだろう。そんな思いを過らせながらも、当時と同じ様、気持ちは現役世代の学生です。けれども、その延長ではありません。今度こそ学ぶため、中途半端な知識や思い込みを見直して、パズルに例えるなら、未完成の空白部分を少しでも埋めるためです。

 ごく普通の日常に、自分を反映してみると、意外にも悲しいほど、私は何も知らなかったのです。ですが、無闇矢鱈に学ぶのではなく、ひとつのテーマを準備しました。

 入学のきっかけは、昨年、中世英語の授業を受講する機会を得た事です。韻を踏む文学は元来、中国や西洋が起源ですが、いつの頃からか、日本の詩歌にも見られるようになりました。昨年は、私の住む地域のFM局において短歌とエッセイの朗読から始まるトーク番組を担当して二年目に入り、新しい試みがほしいと思った時期でもありました。光陰人を待たず。世間は見事なスピードです。情報が情報を追いかけます。けれども私は、情報ではなく真新しい話題を発信したいと考えました。自分の立ち位置で物事をじっくりと捉え、正確且つ、内包豊かな表現を試みたいとも思いました。

 文学は、現在を起点に先人の作品に時代を遡ることができる一方で、今後の展開も様々です。中世英語の韻文は、まだまだ難解ですが、広島大学という豊穣な学問の土壌で知を享受し、若いエネルギーを目の当たりにしながら、心が活性化する実感は語りきれない喜びです。そして、日々の更新をFM活動にも還元できればと願っています。力不足ゆえにさまざまな葛藤もありますが、学生という立場に甘んじて、この貴重な時間を全身全霊もって過ごしたいと念じています。学問には頂点がありません。エンドレスということに今更ですが気づくことができました。

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【3.文学研究科(文学部)ニュース】
○広島大学オープンキャンパス開催のお知らせ
  広島大学オープンキャンパスが8月7日(金)・8日(土)に開催されます。

○文学研究科サテライト−企画コレクションのお知らせ  
  6月下旬から「明治期の厳島観光絵図を見比べよう」と題して、色鮮やかな観光絵図を展示しています。是非、ご覧下さい。文学研究科ホームページでもご覧いただけます。

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【4.広報・社会連携委員会より  河西 英通】

  今年は広島大学創立60周年にあたります。今年、創立60周年を迎える大学は数多くあります。1949年に国立学校設置法が施行され、全国各地に新制大学が誕生したからです。大学の急増に対して評論家の大宅壮一が「急行の止まる駅に駅弁有り、駅弁あるところに新制大学あり」と評したことはよく知られているでしょう。いわゆる「駅弁大学」です。

 かつて、ちがいのわかる指揮者石丸寛は「急行の止まる街にはオーケストラがあってもいい」とのべましたが、いまや急行などほとんどお目にかかることがありません。昔は準急なんてのもありましたね。駅弁のある駅もめっきり少なくなりました。

  駅弁といえば岩手県の沼宮内(ぬまくない)駅の話が有名です。旅人が同駅で駅弁を買おうと思ったところ、駅名を告げるアナウンスが「ぬまくな〜い」ではなく、「うまくな〜い」と聞こえたため、買うのを控えたという笑い話です。先日、東北新幹線に乗車していた折のこと、思い立って旧沼宮内駅、「いわて沼宮内駅」で下車してみました。そこで駅員さんに件の話を尋ねたところ、続きがあるとのことでした。沼宮内駅を出てからしばらく、旅人は今度こそ駅弁を買おうと思ったのですが、止まった駅で「金が先」と言われて腹が立ち、ここでも買うのをやめ、結局、「ここだ、ここだ」と言う駅でやっと駅弁を買ったという、オチです。「金が先」は岩手県の金ヶ崎駅、「ここだ」は宮城県の小牛田(こごた)駅のことです。駅員さんの話は上りの汽車(これも死語か)の場合ですが、ウィキペディアによれば、落語家三遊亭圓歌(三代目)のあの名作「授業中」によってこの笑い話は広められ、最近では下りバージョンになっているようです。鉄道のことだけに、話が脱線してしまいました。

 ところで、広島大学の創立時期はいつまでさかのぼれるかご存知ですか。大学のHPでは創立前史として、1874年(明治7)の白島学校(広島市東白島町)をあげています。これですと、創立135年になりますね。同じような計算ならば、東大が132年、慶応が151年、早稲田が127年ですから、わが広大も相当古いということになります。ただし、京都の龍谷大学は1639年(寛永16)を創立年としていますから、370年目を迎えたということになります。アメリカには建国以前に創立された大学が数多くありますし、イタリアのボローニャ大学の創立は1088年という古さです。これからの大学の行く末は単純ではないでしょうが、国家以前・国家外の存在であったことにもっと思いを寄せる必要があるかもしれません。

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