リテラ友の会 メールマガジン No.39(2010年9月号)
2010/9/22 広島大学大学院文学研究科・文学部
□□目次□□
1.文学研究科・文学部互助会旅行レポート
2.今月のコラム-ドイツ研修記
3. 文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より
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【1.文学研究科・文学部互助会旅行レポート 互助会幹事長 松本陽正】
文学部には、「会員相互の互助、親睦を図ることを目的」とする文学部互助会があり、ほとんどの構成員が加入しています。活動ですが、「会員の慶弔に関する事項」の他に、「親睦」を深めるために、忘年会、新年会それに送別会といったいくつかの行事を企画しています。2年前からはナイター観戦を組み込み、これも定例化しつつありますが、最大のイベントは、何といっても互助会旅行でしょう。いくつかの候補の中から、会員のアンケートによって、日程や場所を決めています。僕の知る限り、少なくともここ20年間は1泊2日の旅行でしたが、今回は珍しく日帰り小旅行となりました。
例外的な猛暑の続く9月4日(土)、21名が参加し、鞆の浦と「みろくの里」に行ってきました。集合時間は、広島駅8時、広島大学文学部9時に設定されていましたが、時間どおりの出発、事故もなく、楽しく一日を過ごしながら、会員相互の親睦を深めることができました。
鞆の浦では、自由散策の予定でしたが、「対潮楼」と「太田家住宅」はガイドさんに説明していただくこととなり、その後の「いろは丸展示館」も含め、午前中は団体行動の趣となりましたが、ガイドさんの説明はやはり勉強になります。それにしても、猛暑の中の散策でした。
昼食は「景勝館」での鯛づくし。料理も飲み物も、実に美味、これだけでも参加した甲斐があったと感じたのは、僕一人ではないはずです。午後は、まず「仙酔島」へ。散策時間に30分あてられていましたが、参加者の多くは木蔭や国民宿舎内で涼をとるばかり、散策したのはわずか3名くらいと聞いています。異常な暑さでした。
鞆の浦を14時過ぎに出発、一路「みろくの里」に向かう予定でしたが、途中に温泉(神勝寺温泉)があるという情報から、「みろくの里組」(9名)と「温泉組」(12名)に分れました。一度決めたプログラムに縛られることなく、このような選択肢を設けてくださった室長さんや事務の方々の機転に感謝しています。やはり臨機応変、柔軟でないといけません。おかげで、日帰り小旅行にもかかわらず、温泉で浴衣が着られて満足した方もいらっしゃるはずです。1泊旅行派の急先鋒である研究科長も嬉しそうでした。
帰りはさすがに疲れたのか、眠る人も多かったですが、これまた予定になかった心くばり、西条駅経由で広島大学文学部へ。そして、予定どおり、18時45分には広島駅に帰ってきましたが、夜も飲まぬと互助会旅行とは言えぬと考える面々6名、駅前の小料理屋で21時まで楽しまれたとのことです。
互助会の幹事には、僕を含め3名の教員が名を連ねていますが、これは名ばかりの幹事、準備段階から片づけまで実際に動いてくださったのは、事務の方々です。心よりお礼申しあげます。そして、来年度以降もよろしくお願いいたします。
文学部互助会の会員数は71名ですが、今回の参加者は21名にすぎません。今回初めて参加された方も多いのですが、次年度には、参加者と不参加者の数が今年の逆になるよう願っています。それにしても、鞆の浦の鯛は、実に実に実に美味でした、それにビールも酒も。
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【2.今月のコラム】
『ドイツ研修記』 欧米文学語学・言語学講座准教授 稲葉治朗
2010年の8月、3週間に渡ってドイツのゲーテ・インスティテュート(Goethe-Institut)における研修に参加しました。GIというのは、ドイツ語・ドイツ文化を世界に広めることを目的としたドイツ連邦共和国の文化機関で、世界中に支部を持ってドイツと世界各国との文化交流を実践しています。今回私は運良くこのGIの奨学金を受けることができ、ドイツ語教員用のドイツ事情(Landeskunde)およびドイツ語の教授法研修で学ぶ機会を得ました。
私が受けたコースのテーマは「古典とモダン」(Klassik und Moderne)ということで、ヴァイマール(Weimar)に一週間、ベルリン(Berlin)に二週間滞在しました。まず最初のヴァイマール、私にとっては全く初めて訪れる町でしたが、ここはなんといってもヴァイマール共和国(憲法)で有名ですね。しかしそれ以上に、ドイツ文学を学んだことのある方には周知のことですが、ヴァイマールはゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe; 1749-1832)とシラー(Friedrich von Schiller;1759-1805)が活躍した町として、ドイツ文学史の中では特に重要な意味を持っています。
ドイツへの旅行者の多くはフランクフルトに到着し、そこにゲーテの生家があることを知るので(しかもフランクフルト大学の正式名にはゲーテの名前が入り、別名「ゲーテ大学」といって、大学のマークにもゲーテの顔が使われています)、フランクフルトが「ゲーテの町」なのかと思われているかもしれません。しかしゲーテがフランクフルトにいたのは青少年期の一部で、実は彼は人生の大半をヴァイマールを拠点として生活しています。
文学以外にも自然科学や政治など(さらには恋愛でも!)多岐にわたる分野で活躍したゲーテはまさにドイツが誇る天才で、ドイツ文学が専門ではない私はこのたびのヴァイマール研修で、この偉人のすごさを現地で肌に触れて感じることが出来ました。
次の研修地であるベルリンは言わずもがなドイツ最大の都市で、今年は再統一からちょうど20年目を迎えています。ここでは文化的側面(世界遺産に登録されている「博物館の島」など)以上に、ベルリンが経てきた歴史を改めて認識することが出来ました。
第三帝国(ナチス)時代のショッキングな歴史は、当時を体験した生存者が年ごとに少なくなっている今では、時間的には文字通り「歴史」になろうとしています。しかし他方では、今世紀になって「ユダヤ博物館」や「ホロコースト記念碑」とその資料館が開設されるなど、(少なくとも公的なレベルでは)「加害者」としての側面を忘れまいとする強い意識が感じられます。(ちなみに教室での研修では、親衛隊全国指導者ハインリヒ・ヒムラーの弟の孫で、祖父たちとナチスとの関わりを暴露した著書を出版したカトリン・ヒムラー氏の講演を聴く機会もありました。)
さらに、歴史におけるベルリンの何よりも特異な点は、「壁」による分断です。これは第三帝国時代よりもずっとアクチュアルで、現在でも所々に壁の一部や脱出を妨げる様々な設備が残され、それらにまつわる資料館もあります。超大国の思惑と世界情勢に翻弄されたがために町が分断され、親族や友人と引き離され、その壁を越えようとして国境警備兵に射殺された犠牲者が(壁が崩壊する1989年にも!)いたという事実をまざまざと伝えています。
私も広島に来て平和資料館などを実際に見学することによって、原爆の惨たらしさを以前よりも強く感じるようになりましたが、我々日本人の多くが教科書でしか知らないホロコーストや「壁」も、現地での生々しい資料やそうした歴史を後世に伝えようとする姿勢を前にし、その時代に思いを巡らせてみると、何とも言えない気持ちになります。
私が参加したコースはドイツ語教員向けで、そのための教室内での研修ももちろんあったのですが、このように課外での活動も多く取り入れられていました。文化や歴史的側面に重点を置いた町の探索、演劇や映画の鑑賞を始め、ヴァイマールでは強制収容所跡や近郊の州都エアフルトへの訪問、ベルリンではガイド付きで連邦議会(国会議事堂)見学や博物館ツアー、シュプレー川のクルーズやポツダムへの遠足など、ヴァリエーションが極めて豊かで、さぼろうという気を全く起こさせないプログラムでした。
参加者は北米を除く世界すべての大陸から私を含めて26人、20代から(見かけからの推測で)60歳くらいまで、ドイツ語教育に携わっているという以外はこちらもヴァリエーション豊かでした。大学の専任教員よりはむしろ高校などの先生が多く、語学教員ということもあってか、男性の参加者は5人と少数派でした。ともかく、町の探索や教材作成の共同作業なども含めて3週間に渡って一緒に活動したこともあって、仲間意識も芽生え、最終日のパーティーではみんなで別れを惜しんで(現実の職場への復帰にため息をついて?)いました。
今まで長々とハード面の研修についてお伝えしましたが、最後に簡単にソフト面について触れておきましょう。Tシャツに短パンとサンダルで広島を出発した私は、雨が降った日にはさっそく防寒のトレーナーを買うはめになりました。もっとも、天気のいい日の日中などはドイツも暑かったですが。それで、こうなるとドイツではビールですね。研修中は昼食も学校から出されていたのですが、日によっては飲み物でビールを選べることもあり(ただし一杯だけ)、晴天の下でのあの爽快な一口にドイツにいることを実感したものでした。
ただ食の面では、連日のドイツ食はこの歳の私にはつらく、選択の余地のあるときには努めてアジア食を求めていました。また夜までプログラムが詰まっている日も多く、疲労に歳を感じることもありましたが、そこらへんは参加者全体の年齢層が高く、ペースが似た人が多かったので、助かりました。20代に語学学校に通った頃は、ここぞとばかりに連夜のように飲み歩いていたのですが。
ともかく今回の研修では久しぶりに学生のような雰囲気を感じることができたと同時に、このコースでなければ得られない貴重な体験を数多くすることができました。なおこの研修に参加するに際して、同僚の先生方には様々な点でご理解・ご協力をいただきました。文学部関係者の皆様および研修の機会を提供していただいたゲーテ・インスティテュートに感謝申し上げるとともに、ここで得たものを今後の教育で活かせるよう、研鑽を続けて行く所存です。
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【3. 文学研究科(文学部)ニュース】
○「文藝学校」講演会のお知らせ
広島大学大学院文学研究科では、文学・語学系の教員を中心として「文藝学校」と名づける講演活動を展開していす。今年で8回目を迎えます米子での講演会を、以下の要領でとりおこないますので、お知らせいたします。
【日時】10月30日(土) 午後1:30~4:40
【場所】本の学校 2階 多目的ホール(米子市新開2丁目3番10号)
【司会】妹尾好信(広島大学大学院文学研究科教授)
【演題1】近代日本文学とフランス文学との違いについて
《講師》松本陽正(広島大学大学院文学研究科教授)
《内容紹介》
漱石『こゝろ』、藤村『破戒』、スタンダール『赤と黒』、バルザック『ゴリオ爺さん』などを例にとり、近代における日本文学とフランス文学との違いについて考えてみます。
【演題2】「帰去来の辞」を読む
《講師》富永一登(広島大学大学院文学研究科教授)
《内容紹介》
古典文学の読解には、「今読む」という視点が大切です。隠逸詩人と称される陶淵明の「孤」の表現を通して、今に生きる中国古典文学について考えてみたいと思います。
【演題3】『讃岐典侍日記』あれこれ
《講師》位藤邦生(広島大学名誉教授)
《内容紹介》
『讃岐典侍日記』は11世紀初頭に書かれた日記です。小さな女流日記ですが、作者の気持ちが、私たちの心にまっすぐに伝わってきます。時代背景などを説明しながら、日記本文を読みすすめてみましょう。
【お問い合わせ】
〒739-8522 東広島市鏡山1-2-3 広島大学文学研究科 松本研究室
TEL:082-424-6693
○第4回広島大学ホームカミングデー文学研究科企画 「世界とふれあい / 語学カフェ」開催のお知らせ
5回目の開催となる語学カフェ-今年は3人の留学生(イタリア・ミャマー・中国)に協力いただいて、お国で好まれているお菓子やお茶を飲みながら、簡単な日常会話や文化・習慣などをお話いただきます。
【日 時】平成22年11月6日(土曜日) 13時30分から
【場 所】文学部1階・B153講義室
○広島大学文学研究科主催 / リテラカフェ「坂本龍馬はヒーローだったか?」
【テーマ】坂本龍馬はヒーローだったか?
大河ドラマ『龍馬伝』で、さらに人気沸騰の坂本龍馬。しかしドラマや小説で語られる姿は、かなりフィクションが多い。 果たして史実や如何に…。
無料で参加いただけます!コーヒーや紅茶を飲みながら、楽しい雰囲気で龍馬について語り合いましょう!
【日時】2010年11月13日(土) 15:00~16:00 (受付14:30~)
【場所】広島大学病院入院棟 2階レストラン「みどり」
【話し手】勝部眞人 (広島大学文学研究科教授・歴史文化学講座)
【お問合せ先】広島大学文学研究科運営支援グループTel:082-424-6604
○広島大学大学院文学研究科主催リテラ スプリングコンサート 2011 SPRING CONCERT-広島交響楽団木管五重奏-
【日 時】平成23年3月20日(日)14:00開演(13:30開場)
【会 場】広島大学サタケメモリアルホール(広島大学東広島キャンパス内)
【ステージ構成】
1部=二胡演奏家 竹内ふみさん
2・3部=広島交響楽団木管五重奏
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【4.広報・社会連携委員会より 瀬崎圭二】
メールマガジン前号に「カープ観戦記」を公表した後、ありがたいことに多くの方からご好評をいただきました。中には、「リテラメルマガ史上、一二を争う傑作」とまで評価して下さった方もいらっしゃいました。というわけで、この編集後記では、その後日談と、前回私が執筆した「カープ観戦記」の反省を書きたいと思います。
私は数年前に右肩靱帯断裂というケガを負ってしまい、今でも疲労が蓄積してくると右肩がじわじわと痛んできます。毎日、右肩の筋力アップの運動とストレッチを行い、定期的に接骨院に行ってマッサージを受けています。私が通っている自宅近所の接骨院はかなり有名な所らしく、スポーツ選手がやってくることもあり、これまでにも時々サンフレッチェの選手を見かけたことがありました。
いつものように、柔整師の先生にマッサージをしてもらっていると、何と、目の前にカープの永川勝浩選手がいるではありませんか!そうです。あの抑えの永川投手です。確か、永川選手は右脚内転筋を痛めたと報道されており、その結果今年は一軍の試合ではほとんど登板できていません。傍には柔整師の先生がついており、ケガの回復のためのアドバイスをしていました。永川選手はその指導にひとつひとつ丁寧に返事をし、必死の形相でケガの回復に努めていました。
その姿を見たとき、前回のメルマガ「カープ観戦記」で、永川選手に対して「すごくないよ・・・あんなやつ・・・」と書いてしまった自分が何とも恥ずかしく感じられ、非常に申し訳ない気持ちになりました。当たり前のことですが、一生懸命なんですよね・・・永川も・・・。抑え投手という仕事は、最終回に登板し、抑えに失敗したら敗戦の全責任を負わされるという損な役回りです。完璧に抑えられることの少ない永川選手は、あちこちで批判されていますが、気の毒なところがあるのも確かです。
必死の形相の永川選手・・・ケガが治って抑えに復帰したとき、またあのハラハラドキドキの最終回を演出してくれるかもしれません・・・抑えに失敗し、またファンに罵倒されてしまうかもしれません・・・それでも、私は永川選手の復帰を待ち望み、永川選手を応援したいと・・・そのように悔い改めました。
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オーナー:広島大学大学院文学研究科長 山内廣隆
編集長:広報・社会連携委員長 井内太郎
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