メールマガジン No.41(2011年1月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.41(2011年1月号)
2011/1/25 広島大学大学院文学研究科・文学部
    
□□目次□□
1.留学生体験記
2.第42回全日本学生フランス語弁論大会優勝!
3. 文学研究科(文学部)ニュース
4.広報・社会連携委員会より
      
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【1.留学生体験記】
  
 文学研究科では、9つの大学と部局間協定を交わしています。現在9人の留学生が特別聴講学生として文学研究科で勉強しています。今回は、長江師範学院からの留学生・朱金毅さんの体験記をご紹介します。また、長江師範学院との協定締結に尽力された松井富美男先生からも投稿いただきました。
 
『留学体験記』長江師範学院交換学生(特別聴講学生) 朱 金毅
  
 2010年10月4日に中国から出発したとき、飛行機に乗るのも初めてのことで、乗った瞬間「やっと日本に行ける」と思って、興奮しました。私が日本に行く前に日本について知っていたことと言えば、日本は、優れた電気製品やアニメ、漫画などが有名で、伝統的な文化を守っている人々が住んでいるアジアで最も経済的工業的に発展している国だということです。
  
 広島大学は私にとって世界に開く窓になりました。最初は新しい環境に慣れるのが大変で、ちょっと心細く感じました。でも、時間が経つにつれて、その気持ちは消えていきました。特に、国際交流会館に住み始めてから、色々な国の友達ができ、様々な文化に接するようになりました。私たちは言葉が通じなくても、身振り手振りでお互いに助け合ったり、日本語を媒介として、自分の文化を教え合ったりしています。また、外国人留学生の学生チューターの方が、勉強の面だけではなく、生活の面でも色々と手伝ってくれるので、本当に助かります。
  
 新しい発見もいくつかあります。広島大学では、先生方が授業に熱心なうえに、日本語能力や日本社会文化に関わる知識を深める授業も多いので、刺激になります。また、「ゼミナール」形式の授業では、学生達が好きなテーマを選んで資料を収集し、整理して発表し、その内容についてみんなで話し合い、最後に先生が不足している点を指摘して纏めてくれます。このような授業は中国で味わえないので勉強になります。
  
 さらに、キャンパス内では、ゴミ箱が少ない割に、ゴミをあまり見かけないことにも驚かされます。これは、自分が出したゴミを自分で処理し、他人に迷惑をかけないようにする、といった自律の精神が浸透しているからだろうと思います。
  
 今回の留学は、私にとって貴重な体験になりました。ただし、本当に光陰矢の如し、10月に来日して、早くも4ヶ月が過ぎました。どこの国にいても、あっという間に時間が過ぎて行くことに変わりがないとつくづく感じています。今後は、この絶好のチャンスを生かして、私なりに日中友好関係に力を尽くしたいと思います。
  
『交流にとって何が大切か』応用哲学・古典学講座(倫理学) 松井 富美男
  
  2008年6月25日に広島大学文学部と長江師範学院は学部間協定を交わしました。それを受けて、中国側が2009年から毎年交換学生を送ってくるのに対して、日本側はまだ一度も学生を送っておらず、少々偏った交流になっています。
  
 先方は、学生を派遣するに当たって、事前に希望者を募り、学内選抜するほどの熱の入れようです。過去2回とも、3名以上の応募者の中から、日本語学科の学生が選ばれました。彼らは大学に入ってから日本語を勉強し、ほぼ3年間でマスターした優秀な学生たちです。
  
 しかし、いくら成績がよくても、日本に来るのは至難です。留学費用は全額個人負担なので、経済的に恵まれていなければなりません。彼らの親のなかには、子どもに海外経験をさせたい一心で、無理して費用を捻出する人もいます。そうまでして、先方が学生を日本に送ってくれるのは、大変に有難い話です。
    
 私たちの先祖は7世紀初めから9世紀末にかけて遣隋使や遣唐使を送りました。現在では逆に、中国人が日本に勉強に来るようになりましたが、この流れはそう長くは続かないと見ています。
  
 国際交流には少なからず問題も含まれます。先方が組織ぐるみなの対して、こちらは一馬力で対応しなければなりません。そのことは前々から分かっていましたが、いざ開始してみると、思いのほか大変なことを痛感しています。中国には「外事処」という部署があって、そこが客人の世話を一手に引き受けます。こちらはそういうわけにはいかず、先方が来日した際には、空港までの送迎、諸種の手続き、食事の招待、買い出し、観光案内等々、何から何まで個人で対応しなければなりません。長江の学長が広島を訪問した際にも、私が空港まで出迎えに来たというので、大変に驚いていました。
  
 しかし「顔」のない組織同志の交流は、安定しているようで脆いものです。昨今の尖閣諸島問題を例にとれば一目瞭然。政府間の関係がぎくしゃくし出すと、その煽りを受けて、相互の交流も途絶えがちです。
  
 遡れば、長江との交流は、党委副書記だったO氏を客員研究員として受け入れたことから始まります。彼の滞在中には、そうした肩書にこだわることなく、できるだけ個人的な関係を培うようにしました。それが今日の交流の礎になっています。
  
 私には中国との間で不幸な戦争を繰り返してはならないという信念があります。重慶市内の何人かのお年寄りから、日中戦争、とりわけ旧日本軍による重慶爆撃の話を直接伺う機会がありました。なかには自分の身内が目前で死んでいった様子を、泣きながら語ってくれる老人もいます。広島に住んでいる私たちは、平和の原点は原爆にあると考えがちですが、重慶の人の思いは別のようです。
  
 個人同志が強い絆で結ばれていれば、国と国が一触即発の状況になっても、ナショナリズムに過敏に反応せずに「友」の住む国を信じることができます。その意味で国際交流の推進は今日ますます重要になっていると思います。
  
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【2.第42回全日本学生フランス語弁論大会優勝!】 
  
 昨年11月13日に京都外国語大学で開催された第42回全日本学生フランス語弁論大会で文学部人文学科欧米文学語学・言語学コース3年の片岡彩子さんが優勝されました。片岡さんからいただいたメッセージをご紹介します。
    
  11月中旬に京都で開催された第42回全日本学生フランス語弁論大会に出場し、念願の優勝を果たすことができました。今回の大会参加は自身にとって、大変貴重な経験となりました。全国各地から集まった学生の発表を聴く中で、多くの見習う点や同年代の学生が皆に伝えたい弁論の内容に大きな刺激を受けました。自分がまだ知らないことをもっと知りたい!という気持ちを大切にし、この経験をどう将来に生かし繋げていくかがこれからの課題だと思っています。最後になりましたが、お忙しい中いつも傍で支えご指導下さったサントニ先生、また熱心に根気強く大学で教えて下さる先生方、Le prix n’est pas a` moi, mais a` vous aussi! Merci beaucoup!(賞は私へのものではなく、先生方への賞でもあります。ありがとうございました。
※詳細は文学研究科HPをご覧ください。
  
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【3. 文学研究科(文学部)ニュース】
  
○「新潮」新人賞受賞おめでとう!
  
 広島大学文学部日本文学語学講座卒業生の小山田浩子さん(27)が、「新潮」の第42回新人賞を受賞されました。受賞対象作は、新潮2010年11月号に掲載の「工場」。大変素晴らしいことです。今後のご活躍を期待しています。
 ※中国新聞2011年元旦特集記事 「広島発 小説界の新星」で「文学界」新人賞を受賞された吉井磨弥さんとの対談が掲載されました。
    
○広島大学大学院文学研究科主催リテラ スプリングコンサート 2011 SPRING CONCERT-広島交響楽団弦楽五重奏-
    
【日時】平成23年3月21日(月・祝日)14:00開演(13:30開場)
【会場】広島大学サタケメモリアルホール(広島大学東広島キャンパス内)
【ステージ構成】
 第1部 二胡演奏 竹内ふみのさん
   江蘇民謡 : 茉莉花
    宮城道雄 : 春の海 ほか
 第2部 広島交響楽団弦楽五重奏
     クライスラー:愛の喜び
     ヨハン・シュトラウス:皇帝円舞曲
     ホルスト:Jupiter(組曲「惑星」~木星)
     モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークほか    
第3部 広島交響楽団弦楽五重奏
     アンダーソン:シンコペーテッド・クロック
     アンダーソン:プリンク・プランク・プルンク
     メンケン:「美女と野獣」のテーマほか
     ロジャース:シャル・ウィ・ダンス?
     谷山浩子・久石譲:「スタジオジブリ」メドレー
     (「ゲド戦記」~ルーの唄、「となりのトトロ」~さんぽ ほか) 
     杉本竜一:Believe
     美しき四季の童謡~春のうた(どこかで春が、春の小川、花の街)
    
【Performer】
広島交響楽団弦楽五重奏
1stヴァイオリン:石井郁子
2ndヴァイオリン:山根啓太郎
ヴィオラ:伊達真帆
チェロ:伊藤哲次
コントラバス:村田和幸  
  
☆入場無料
    
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【4.広報・社会連携委員会より 稲葉治朗】
  
 メールマガジン読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。欧米文学語学・言語学分野に所属している稲葉です。2010年4月より広報・社会連携委員を務めさせていただいております。
  
 時間が経つのは年齢とともに加速度をつけて速くなると言いますが、大学での1年はあっという間です:中間・期末試験を2回繰り返すと、1年の授業は終わり。長いはずの夏休み・春休み期間が一番速く過ぎ去るのは、学生さんも同じですね。
  
 そんなこんなで、私が広島に来てもうすぐ丸4年になります。2007年の本メールマガジンに「新任教員の挨拶」みたいなものを書きましたが、それ以降着任された先生も(しかも私より若い人も!)増えてきました(当たり前のことなのですが)。
  
 ところで、広大着任4年目の2010年度というのは、私にとって、小さいですが一つの区切りのような気がしています。年齢・体重ともについに大台に乗ってしまい、最近めっきりおじさんぽくなってきたようです。少し前、19歳の時以来ずっと乗ってきたバイクを「どうも最近億劫だ」ということで手放してしまいました。さらには、3年半住んだ西条下見の学生用アパートをついに飛び出して広島市内に移ったことなど、ちょっとした(でもない)変化もありました。ただ、なによりも4年間というのは、大学生が入学してから卒業するまでの1サイクルです。
  
 4年前、学生と同じフレッシュな気持ちで全く初めての広島に来た私は、すぐに新1年生のゼミを担当することになりました。中学校以来、学校・大学というものには学生・教員いずれの立場でも全て東京、しかも池袋や渋谷という繁華街の近くで関わってきた私にとっては、高校を出たてのこちらの新入生が素直でおっとりして見えたのを覚えています(この印象は今でも余り変わりませんが)。そんな彼らがもう卒業。しばらくぶりに顔を見た学生さんの場合などは、男子は少年の顔から男の顔へ、女子はメークばっちり、共にすごく変わってしまっていて、誰だか一瞬分からないなんてことが普通です。そりゃ、大学入学から卒業までには変わるわな。私の広島に来てからの4年間は、今後も似たような時間が過ぎていくことになるでしょうが、彼らにとっては、文字通り子供から大人になる節目であるだけではなく、特に「知育」の点と今後の進路や社会生活に決定的な影響を及ぼすという意味で、極めて重要な時間です。

 そんなごく当たり前のことを思いながら学生を見ていると、「そりゃ年とるわな」という当たり前の命題に行き着くことになります。年度末はいつもと同様、論文審査・入試・新年度への準備などに追われ、あっという間の春休みが終わるともう新年度、そこでまた新一年生を迎えて、次のサイクルが始まるわけです。
 とりとめのない文章になってしまいましたが、そんな感じでまわっていくこのメールマガジンも、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
  
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オーナー:広島大学大学院文学研究科長  山内廣隆
編集長:広報・社会連携委員長  井内太郎
発行:広報・社会連携委員会

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