メールマガジン No.63(2014年9月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.63(2014年9月号)
2014/9/29 広島大学大学院文学研究科・文学部

□□目次□□
1.新任教員挨拶
2.広島東洋カープ応援コラム
3.互助会旅行参加記
4.文学研究科(文学部)ニュース
5.広報・社会連携委員会より
    
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【1.新任教員挨拶】
8月に着任された2人の教員のコラムを自己紹介を兼ねて、掲載いたします。

○総合人間学講座 特任准教授 ブライトウェル エリン レイ

 この8月に文学研究科に着任しました。日本の大学に勤めるのは初めてです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今年の6月にプリンストン大学にて博士の学位(東アジア学)を取得しました。博士課程にいる間に、立教大学とライデン大学そして台湾の中央研究院で研究するチャンスを得ました。自分の ‘student path’ を顧みると回り道をしてきたようにも思います。あまり伝統的で真っ直ぐな学問の道を歩んできたのではなかったのかもしれませんが、この経験を生かして学生と院生の役に立つことができればと思っています。

 大まかに言えば、「文化翻訳」(cultural translation) や「文化の移動性」(cultural mobility) に関して興味を持っていますが、私の専門は日本の中世文学です。特に鎌倉文学における歴史叙述と歴史意識を中心としています。
しかし、私の修士課程での専門は中国文学(特に六朝文学)であったため、今の専門は日本文学だとはいっても、中国文学や思想史と繫がっています。例えば、博士論文には、十三世紀に書かれた『唐鏡』に焦点を当てて、それを文体の選択と中国の描写そして「鏡物」の機能と言った三つの立場から分析しました。これからは歴史そのものが中世においてどの様に理論化されたのかということを研究しようと考えています。そして未だ計画段階に過ぎませんが、二番目のプロジェクトとして、30、40年代における日本とドイツの間の文化翻訳を考察しようと思います。

 広島大学を拠点として比較文学と比較文化学の発展に貢献できるよう尽力する所存です。繰り返しになりますが、今後ともよろしくお願い申しあげます。

○リーディングプログラム たおやかで平和な共生社会創生プログラム 特任准教授 石川菜央

 8月1日よりお世話になっております、石川菜央と申します。
 所属は、広島大学の博士課程教育リーディングプログラムである「たおやかで平和な共生社会創生プログラム」の文化創生コースです。

 私の専門は人文地理学です。日本における闘牛を対象に、闘牛が地域で果たす役割について研究してきました。全国でフィールドワークを行い、卒業論文から博士論文まで闘牛一筋の道を歩みました。「突撃菜央ちゃん号」という名前の闘牛のオーナーをしていたこともあります。このように書くと、私は大の牛好きのように思われるかもしれませんが、個人的には、闘牛を飼うことはとーっても大変なことで、私にはムリだと思っています。私の研究の原点は、なぜこんなにお金と時間と労力を闘牛にかける人々がいるのだろう、闘牛に関わることで何か良いことがあるに違いない、という素朴な疑問でした。

 博士号取得後は、広島大学総合博物館に勤務、フィリピン滞在などを得て、今年の7月まで東京のお台場にある、日本科学未来館で、科学と市民をつなぐ「科学コミュニケーター」をしていました。展示場で科学について来館者と対話し、実演を行い、イベントを企画・実施するのが仕事です。数学も理科も苦手な私が、よくも落第せずに仕事を続けることができたなあと感慨深いです。

 たおやかプログラムでは、文系と理系の学生がチームを組み、過疎や高齢化が進む中四国地域や貧困や格差に悩む南アジアで実習を行います。これまでの研究やフィールドワークと、未来館での経験の両方を活かして働けるということで応募し、採用していただけました。プログラムに貢献できるよう、力を尽くしていきたいです。そして、せっかく広島にいるので、中国四国地方の文化を対象に、オリジナリティのある研究を展開できれば、と願っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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【2.広島東洋カープ応援コラム】 

 文学研究科には、熱いカープファンが大勢います。ソフトボールチームに「広島東洋史カープ」と名付ける研究室があるほどです。毎年恒例で行われる互助会主催カープ観戦の様子を前広報社会連携委員長の友澤教授に、また、このメルマガにも過去2回(38号・51号)カープのことを書いていただいた瀬崎准教授にクライマックスシリーズに向けての心境を投稿していただきました。

○阪神ファンとともに 地表圏システム学講座教授 友澤和夫

 強い西日が差し込むMazda Zoom-Zoomスタジアム広島に到着したのは、1回裏のカープの攻撃中であった。キラと田中のタイムリーで幸先良く2点を先制し、今日はエースの前田なので、対戦相手阪神とのゲーム差が1つ縮まるぞと楽観したのは、私だけでなく球場を埋め尽くした赤装束の人達全員であったに違いない。試合は6回終了時点で3-1とリードし、前田も要所を押さえる投球だったので、何とかいけるのではと思っていたが、7回表に上本にまさかの2ランを打ち込まれ同点とされると、8回には中田が今成に適時二塁打を打たれて、あっさり逆転負けとなった。試合時間も長く、悔しいと言う以上に疲れた観戦であり、広島駅までの足取りも人波に揉まれて重かった。

 ところで、今年の互助会観戦ツアーは、例年とはいささか趣を異にする所があった。通常であれば、全員一丸となってカープを応援したという観戦記になるのだが、今年はメンバーにタイガースファンが2名、いや3名入っていた。2名は筋金入りで、チャンスの際には(すなわちカープがピンチの時に)、ライト側スタンドに陣取っているにもかかわらず、なりきりマフラータオルを装着したまま立ち上がって熱い声援を送っていた。周囲の目を多少気にしながらも堂々と真面目に応援しているので、むしろ小気味良さがあった。もう1名は、表面はカープファンを装いつつ、一皮むくと縦縞模様が現れるというタイプであり、先の2名とは好対照である。今成のタイムリーに、ため息で応じるしかなかった私たちの側で、秘かに笑みを浮かべている人物がいることに気がついたのは、ごく少人数だったに違いない。野球の観戦程度でも気配りを旨とされている姿に、研究科教授会を思い出してしまった。応援スタイルには色々あってよいが、互助会カープファンについて一言えば、私を含めて飲み過ぎか。
 たかが野球、されど野球。今年はMazda Zoom-Zoomで阪神とCSファイナルを戦うことを切に願っている。

○夢はこれから 日本中国文学語学講座准教授 瀬崎 圭二
               
 この原稿依頼を受け取ったのが9月4日。その日は奇しくも広島カープ23年ぶりのリーグ優勝をかけた対巨人3連戦の最終日でした。首位巨人に1ゲーム差に詰め寄り迎えたこの3連戦、結果次第でカープは首位に立てたのですが、残念ながら3連敗…。3連敗が決まった後、メルマガの原稿など何を書けばよいのか分からず、途方に暮れて、♪The dream is Over. What can I say?(John Lennon “God”)と力なく呟いていました。それでも、もしかしたらと思って迎えた15日からの対巨人3連戦。奇跡の3連勝を信じて見守った結果は1勝2敗…。2度も夢は終わりました…。

 今、こうして力なくこの原稿を書いているのですが、でも、今年のカープ、本当によく頑張りましたよね?9月に優勝をかけて試合をすることなど、数年前に想像できたでしょうか?昨年、16年ぶりのAクラスと初のクライマックスシリーズ進出を経験し、着実に階段を登っていると思います。一昨年、文学部互助会で観戦し、私が観戦記を執筆した対巨人戦が0対9での屈辱的大敗…。あの日から2年足らずで、わたしたちの広島
カープは資金力では全くかなわないあの巨人と互角に戦えるようになりました。

 さて、みなさん、リーグ優勝はもう絶望的ですが、でも、あのクライマックスシリーズがまだあるじゃないですか!昨年2位の阪神を撃破して、ファイナルステージまで進出したあのクライマックスシリーズですよ。これからのカープの目標は2位をしっかりと確保することです。なぜだか分かりますか?2位になるとホームグラウンドマツダスタジアムで3位のチームと試合することができるのです。あの真っ赤に染まったグラウンドで相手チームを迎え撃つことができるのですよ!

 さあ、みなさん、夢はこれからです。リーグ優勝はもう無理でしょうが、23年ぶりの日本シリーズ進出という大きな夢がわたしたちには残されています。私は何だかいい予感がしてるんですよね。カープが今シーズンの春先に見せてくれたような快進撃が見られるような気がするんです。でも、それを可能にするためにはわたしたちの応援が必要です!さあ、クライマックスシリーズ、「スタンドを真っ赤に染めようやあ!」

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【3.互助会旅行参加記 欧米文学語学・言語学講座教授 今林 修】 

 今年度の文学部互助会旅行は、「姫路の黒田官兵衛と神戸と洲本温泉満喫及びおしゃれ体験の旅」と題して、9月20日(土)から21日(日)の一泊二日で行われました。参加者は大人17人、子ども2人の計19人で、少々寂しい感じがありましたが、バスにもゆっくりと座ることができ、和気あいあいとした楽しい旅になりました。その時の様子を簡単に紹介したいと思います。

 広島駅を7時にバスで出発、大学に立ち寄り、一路、最初の目的地「灘菊酒蔵レストラン前蔵」に向かいました。そこでいただいた昼食は官兵衛にちなみ「大返しめし」、食後は酒蔵ならではの利き酒、36度のお酒(正式にはリキュールに分類)の余韻に浸りながら、大河ドラマ館「ひめじの黒田官兵衛」に入館、そして完成間近の真っ白な姫路城を仰ぎ見て、「わしらはこっちかのう」と好き勝手言って、神戸北野工房のまちをめざしました。この体験工房がたくさん集まった建物は、元は滝川クリステルさんも通ったという北野小学校の校舎、先の震災でも倒壊をのがれ、近隣の住民と行政とが手を取り、今日の工房になったそうです。ビールでタプタプになったお腹を抱えて「ここでなんか作るんかのう、たいぎいいのう」という顔をして3階まで階段をあがり、工房の席に着き、手のひらサイズのポーチ作り始めると、みな一心不乱に皮と留め具と格闘、時折強すぎるトンカチの音、「こここれでいいですか」「あっ、違います。慌てちゃだめですよ」、久しぶりに童心に帰りました。泊まるお宿は淡路島の洲本温泉「夢海遊」、着くと直ぐに温泉直行、海の幸を堪能しながら大宴会、その後はお決まりのカラオケでこの日は終了、ぐっすりと睡眠。

 翌朝の出来事一つ、「先生、朝は和食ですか」「うちはね、一食でればいいんだよ。一食もないことあるからね。今朝はもう二食目なんだ」。非現実な朝食をいただき、一路、伊弉諾尊と伊弉冉尊をお祭りした伊弉諾神宮詣です。境内には、元は二本の楠がいつしか根を合わせて一株に成長した樹齢800年から900年と推定される御神木で県指定天然記念物の「夫婦の大楠」がありました。国生み伝説とこの大楠から夫婦円満を願う参拝者が後を絶たないとか、「どうか一日二食は作ってください。英語でhalf boardというのがあるじゃないですか」とお願いしたとかしないとか。

 昨日のレザーポーチで手作りの味を占めた一行が向かったのは、「薫寿堂」でのお香づくり、そして朝食が消化しきれず「淡路ハイウェイオアシス」にて鯛御膳、やはり空腹に勝るご馳走はないと再認識したのでありました。このおしゃれな体験旅行の最後は、生石(おうこし)神社です。ここでは、古瀬先生の詳しい説明を拝聴することができました。上の層から石に赤、黄、青と色が少し着いているのは酸素に触れた時間と関係があり、現在近辺では青い石を切り出しているそうです。
 古瀬先生と山田さんは、来年三月でご定年をお迎えになります。最後の年にご一緒に旅ができて大変光栄でした。みんな満面の笑みを湛えて無事に家路に着きました。
 来年は是非多くの方のご参加を願っております。行かな損じゃけね。
                                                 
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【4. 文学研究科(文学部)ニュース】

○第8回広島大学ホームカミングデー文学研究科企画
「文学部で味わう 世界のティータイム」を開催します

 今年から「語学カフェ」から「文学部で味わう 世界のティータイム」に名称を変更いたしました。今まで以上に留学生が活躍するティータイムをお楽しみ下さい。今年はイギリス・イタリア・中国の三人の留学生が登場。お国で好まれているお菓子やお茶を飲みながら、簡単な日常会話や文化・習慣などをお話いただきます。    
【日時】平成26年11月1日(土曜日) 14:00から
【場所】文学部1階・学生ロビー
※どなたでも参加いただけます。もちろん無料です!

○リテラ「21世紀の人文学」講座2014を開催します
【テーマ】第一次世界大戦とはいかなる戦争だったのか
【日時】平成26年12月6日(土)13:30~16:40
【場所】広島市まちづくり市民交流プラザ 北棟5階 研修室A・B

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【5.広報・社会連携委員会より 金子 肇】

 およそ夏らしくない夏が終わり、めっきり秋らしくなってきました。この8月、雨模様の続く西条を離れ上海に史料調査に出かけました。気温が40度近くに達することもある上海の酷暑を味わえるかと思っていたところ、思いもよらぬ連日の雨。しかも気温は25度を下回る涼しさ。それでもあちらの文書館は頑固にエアコンを切らないため、Tシャツ1枚の金子はすっかり体調を崩してしまいました。
 そんな上海で知ったのが広島市の土砂災害。テレビの画面に眼がくぎ付けになったのを憶えています。被災者の皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
 さて、メルマガ63号をお届けします。例年、9月発行の本メルマガにはカープ関連の記事が載りますが、今回は友澤先生と瀬﨑先生が熱く語る「広島東洋カープ応援コラム」を掲載しています。また、今林先生からは9月20・21日に行われた互助会秋旅行の参加記をお寄せいただきました。ぜひ、ご味読下さい。
                    
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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学大学院文学研究科長 勝部 眞人
編集長:広報・社会連携委員長 吉中 孝志
発行:広報・社会連携委員会

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