メールマガジン No.65(2015年1月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.65(2015年1月号)
2015/1/26 広島大学大学院文学研究科・文学部
  
□□目次□□
1.広島大学公開講座「古代東洋の叡智」の報告 
2.リテラ「21世紀の人文学」講座2014参加記
3.第12回「文藝学校」講演会の報告
4.文学研究科(文学部)ニュース
5.広報・社会連携委員会より
    
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【1.広島大学公開講座「古代東洋の叡智」の報告 応用哲学・古典学講座教授  有馬卓也】

 昨年11月の15日・22日・29日(いずれも土曜日)に平成26年度広島大学公開講座を広島市まちづくり市民交流プラザで行ってまいりました。

 「古代東洋の叡智―古代アジアの人々は何を考えていたか―」というメインテーマの下、15日に有馬が「中国古代における天と王と巫」、22日に末永高康先生が「新出土資料が語る中国古代思想の世界」、29日に小川英世先生が「生まれ、死に、そしてまた生まれる―古代インドの人間観」というテーマでそれぞれ2コマずつ(計6コマ)担当しました。例年は6名が1コマずつ担当していたのですが、受講者の方々の「もう少し一つ一つの話をじっくり聞きたい」との要望もあり、今年度は1人2コマずつにしてみました。今年は同様の要望がありませんでしたので、御期待に添えたのだろうと思っています。

 定員60名に対して申込者47名でしたので、メインテーマが固かったかなと反省しています(難しかったというコメントも複数ありました)。ただ複数人で担当するとなると、漠然とした(抽象的な)メインテーマにならざるを得ず、このあたりがジレンマです(この依頼を受けた時、「私1人で6コマ担当していいですか」との申し出は却下されておりますので)。

 とは言うものの、受講者アンケートでは「期待通りで参考になることが多かった」が83.3%(4段階評価で3のそう思うと4の強くそう思うの合計、以下同じ)、「内容は自分の興味・関心とよく合致していた」が79.1%、「内容はよく理解できた」が79.2%で、受講満足度が79.2%でしたので少しほっとしています。今年担当の先生方、よろしくお願い致します。

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【2.リテラ「21世紀の人文学」講座2014参加記 歴史文化学講座教授 金子 肇】

 昨年12月6日、広島市まちづくり市民交流プラザにおいて『リテラ「21世紀の人文学」講座2014』が開催されました。講師を務めた身として恐縮ではありますが、この場を借りて簡単ながら当日の様子をご紹介いたします。

 昨年がちょうど第一次世界大戦百周年にあたる年であったことから、今回の講座は「第一次世界大戦とはいかなる戦争だったのか」という統一テーマの下に開かれました。講師は西洋史学の井内太郎先生と東洋史学の私金子が、そして司会進行役は広報・社会連携委員長の吉中孝志先生が務めました。

 最初に講演した金子の報告タイトルは「中国の第一次世界大戦参戦とその余波」。注目されることが少ない中国の参戦が、東アジアの戦後国際秩序や中国国内政治にもたらした影響を、現在の日中関係まで視野に収めながら説明したものです。

 一方、井内先生の報告は「『ヨーロッパ戦争』から『世界戦争』へ~歴史認識の問題として読み解く~」というタイトル。戦争の呼称を手がかりに第一次世界大戦がもつ世界性と現代性について明らかにされ、日本人にとっての大戦の意義を歴史認識や日米関係などの諸側面から分かりやすく解説されました。

 当日の参加者は85名を数え、たいへんな盛況でした。年齢層は60歳代以上の方が圧倒的に多く、その旺盛な向学意欲には圧倒されるものがありました。文学部の学生も「爪の垢を煎じて飲ませてもらったら……」と、いらぬことまで考えてしまった次第。参加者アンケートの結果を拝見したところ、おおむね内容は好評だったようですが、質問時間が少なかったことに対する不満が散見されました。参加者の皆さんと対話する時間を確保することが来年度以降の課題だろうと思われます。
 ともあれ、参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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【第12回「文藝学校」講演会のご報告 総合人間学講座准教授 溝渕園子】

 2014年11月8日、鳥取県米子市の今井ブックセンターにて、文学研究科とNPO法人「本の学校」の共催による第12回「文藝学校」講演会が開催されました。この講演会には、本研究科から松本陽正先生や妹尾好信先生(現 幹事)が中心となってかかわっておられます。12年目を迎える今回、講師3名のうちの1人として、私は初めて参加する機会を得ました。

 当日、会場は、当初の予想を超える参加者数に椅子や机を追加するほどの盛況ぶりでした。熱心なリピーターの方や高校の先生による口コミの影響も大きいようです。10代から90代まで幅広い層の参加者を前に、これまで蓄えられてきた「文藝学校」の底力を感じました。

 講演は、順に、溝渕の「ロシア文学のなかの「日本人」」、妹尾先生の「世界記憶遺産・道長自筆『御堂関白記』の和歌」、松本陽正先生の「小説を読み解くワクワク感」の3本立てで行われました。各々の主な内容は、20世紀のロシア小説にあらわれた意外な日本人像、藤原道長自筆の和歌から浮かび上がる権力者の隠された一面、カミュ『異邦人』の見事に計算された構成と一人称の語りがもたらす思いがけない効果について解説するものでした。

 とくに、妹尾・松本両先生の軽妙な語り口の名講義には会場も熱心に聞き入っており、講演会全体を通して質疑応答が活発に交わされました。高校生から「文学部も進路の一つとして考えてみようかなと思います」、「後輩にもぜひ宣伝します」という感想がきけたことも何よりでした。

 懇親会では、新鮮な海の幸に舌鼓を打ちながら、今後の企画に向けたアイデアが次々に生まれていました。文学研究科とともにこの学校を大切に育ててこられたNPO法人「本の学校」と今井書店の皆様や、毎年この講演会を楽しみにしておられる参加者の方々の熱い思いや力を肌で感じました。今回の「文藝学校」で一番楽しく学んだのは私だったかもしれません。

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【4. 文学研究科(文学部)ニュース】

○古瀬清秀先生の退職記念講演会を開催します
【日 時】2015年2月12日(木)13:00~14:30
【場 所】広島大学大学院文学研究科 2階B251教室(111席)
【題 目】「三兎を追って -私の考古学人生-」

○「古文書を見る会」を開催します
【日 時】2015年2月16日(月)13:30~16:30
【会 場】広島大学東広島キャンパス 文学部1階 大会議室

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【5.広報・社会連携委員会より 硲 智樹】

 今回のメルマガには、有馬卓也教授(応用哲学・古典学講座)による広島大学公開講 座についてのご報告、金子肇教授(歴史文化学講座)によるリテラ「21世紀の人文学」講座についてのご報告、溝渕園子准教授(総合人間学講座)による「文藝学校」講座についてのご報告が掲載されています。いずれの報告からも各講座の盛況ぶりが伝わってきますので、ぜひご味読下さい。
 編集後記として、今回のメルマガを読ませていただいたときの感想を一言だけ。先に挙げさせていただいた三人の先生方によるご報告を読ませていただいて感じたのは、こうした各先生方の活動こそ大学という制度や学問という営みが社会にしっかりと根付くための土壌を形成しているのだということでした。
  最近大学内で「グローバル」という言葉をよく耳にしますが、これとは異なる方向に目を向けることも同じように大切であることを改めて知らされたような気がしました。

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学大学院文学研究科長 勝部 眞人
編集長:広報・社会連携委員長 吉中 孝志
発行:広報・社会連携委員会

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