メールマガジン No.100(2020年11月号)

メールマガジン No.100(2020年11月号)
リテラ友の会 メールマガジン No.100(2020年11月号) 2020/11/30

□□目次□□
1.新任教員挨拶
2.ホームカミングデー文学部企画「文学部で味わう世界のティータイム」レポート
3.文学部ニュース
4.広報委員会より

1.新任教員挨拶 

 2020年10月に着任した髙尾祐太と申します。大学院は人文学プログラム、日本・中国文学語学、学部は教育学部国語文化系コースに配属されております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 私の研究分野は、日本の中世文学とその知的基盤です。中世には神道・儒教・仏教・道教などの様々な思想が混淆し、知識人の間で共有されていました。そうした土壌の上に、それまでの古典が享受されて注釈書が書かれ、あるいは新たな作品や文芸論が編まれて、様々に花開いたのが中世文学です。中世に書かれた注釈書を紐解くと、今日、誰もが学校で習う『古今和歌集』や『伊勢物語』などの有名な古典文学作品が、実は中世には、私達の思いも寄らないような解釈で読まれていたことに驚かされます。そうした解釈を成り立たせる知的基盤が、一方で中世には新たな作品の創造の源泉でもあったのです。今日でも能の鑑賞などを通じて、私達はその一端を垣間見ることができます。このように中世の知的基盤は、中世の文学、もっと言えば日本の文化を形作った中世の思想を知る上で大変重要なのですが、仏教色が強く、近世の国学の延長線上にある近現代の国文学では、荒唐無稽のレッテルを貼られ、長らく等閑視されていました。そこで、私は中世の思想関係のテクストと歌学・説話・軍記などの文学作品のテクストの両方を合わせ見て、それらを丁寧に読み解くことで、中世の知的基盤を掘り起こす研究をしています。

 授業ではこうした中世文学の思想的な側面から、和歌や物語の作品の鑑賞に至るまで、幅広い題材を通して、細かいことを四六時中試行錯誤する国文学の研究の楽しさを学生の皆さんと共有できたらと思っています。

 私の出身地は静岡県です。長泉町で生まれ、静岡市で育ち、北海道大学に入学してから約10年札幌市で過ごしました。今後はこの広島大学で、研究と教育の両輪で精進してゆきたいと思っております。

■髙尾祐太助教のプロフィールはこちらをご覧ください。

2.ホームカミングデー文学部企画「文学部で味わう世界のティータイム」レポート【広報委員 劉 金鵬】

 「文学部には大勢の留学生が勉強しています。今日は留学生の一人に来てもらいました。いまから私は彼の母国語で質問し、彼は日本語で答えます」と、ホームカミングデー文学部企画 第15回「文学部で味わう 世界のティータイム」は文学部長・友澤先生のちょっと変わった挨拶で始まりました。インドからの留学生が友澤先生の後に登壇し、友澤先生のヒンディー語と思われる質問に「インド人です」、「お好み焼きと焼き鳥が大好きです」、「老人の問題を研究しています」など、次々と日本語で答えるという、面白くて奇妙な場面がありました。挨拶の最後に、ほかの学部では英語が共通言語になるが、文学部ではいろいろな言語が味わえると「世界のティータイム」の趣旨を伝えられました。

  今年、まず紹介されたのは、中国山東省の青島(チンタオ)市でした。青島といえば、ビールの町と知られていますが、その魅力は手堤ビニール袋に入れて持ち運び、ストローで飲める青島ビールだけではありませんでした。ヨーロッパ式の建築が立ち並び、空から見れば青い屋根と緑の木に覆われている風景は来場者を魅了しました。その魅力を紹介してくれたのは、青島出身の李さんでした。

  次に、カイロ大学で日本を教えているサルマさんは、イスラム衣装で登場しました。関東や関西で留学を経験した彼女は、「駱駝(らくだ)に乗って大学に行くのか」と聞かれたことがあるらしいですが、エジプトにはピラミッドだけではなく、現代都市としてのカイロの景色、それに珊瑚礁が輝く透き通った海もあると教えてくれました。アラビア語圏では国別の方言が存在し、エジプトのドラマやテレビ番組の影響でエジプト方言は、現在通用性が高く、2009年に制作された日本文化と日本の美を紹介する番組は広く知られ、サルマさんもこの番組を見て日本語を勉強する意欲が湧いたようです。

  最後にチベットを紹介するドルジェチさんは、伝統衣装で「タシデレ」と来場者に挨拶し、白いカタク(Ka bths )を前に飾りました。会場の雰囲気は一瞬チベットの世界に変わりました。チベットは一つの文化圏で、ドルジェチさんの出身・青海省もチベット文化の世界だそうです。高原の朝を迎えるポタラ宮殿の神々しい写真を見せながら、白色と赤色に分かれたこの建物は、それぞれ政治を行う場所と宗教活動をする場所に分かれていると説明してくれました。チベット文字とチベット料理、またチベットの民族衣装など、普段なかなか接することのない文化が体験できたと思います。

  恒例のカフェ会場は、今年の事情で「お菓子持ち帰り」と変わりましたが、3名の発表者と来場者とが密にならないよう気をつけながら学生ロビーで交流を行いました。エジプト大使館から送られた伝統服装を試着して記念写真するなど、距離こそ保たれていましたが、にぎやかな時間はしばらくつづきました。
  最後に発表していただいた留学生3人の感想を紹介します。

○李 珂慧(リ カエ)博士課程前期
 今回のHOME COMING DAYで発表のチャンスをいただき、来場してくださった日本の方々に私の最愛の故郷、青島を紹介しました。正直に言えば、資料収集は大変でした。しかし、せっかくのチャンスだと思って、やはり真剣ににやりたいと思いました。なぜかというと、青島は上海や北京と違って、知名度が低い都市なのです。もし今回私の発表を通して、皆さんに「青島は良いところだね、行ってみたいな」と思わせられるなら、嬉しいことこの上ないです。こういう目的を抱いて、私は友達や家族のみんなに頼んで、写真をいっぱい集めました。
 発表の当日、雨や寒さに関わらず、会場にたくさんの人が来てくれました。私の発表の順番は一番目なので、ドキドキしながら、緊張していました。でも幸に無事に終わりました。もう二人の発表者も見事にでき、会場は盛り上がりました。そして発表後、学生ロビーで色々な方と話して、大変楽しかったです。私の集めた写真も好評で、報われたような感じがします。
 今回の発表を通じて、日本のみなさんに私の故郷を紹介しただけではなく、コロナで帰られない私も青島の美を再発見することができました。すごく楽しくて価値がある経験だったと思います!今後ともどうぞ宜しくお願いします。

トップバッターの李 珂慧さん

にこやかに発表する李 珂慧さん

○サルマ モハメド アブドイルガワード モハメド 博士課程後期
 この度は、ホームカミングデーでエジプトについて発表する機会をいただき、非常にありがたく思いました。日本人の皆さんにエジプトの文化や習慣や祭りなどを紹介でき、すごく嬉しいです。コロナの影響で、人数が少ないかと思いましたが、思ったより多かったです。今まで4回エジプトについて発表しましたが、広島大学では初めてでした。広島大学に日本語専攻のエジプト人学生が私しかいないので、皆さんにエジプトはどのような国かを紹介できる、いいチャンスだと思いました。また、東京にあるエジプト大使館からエジプトの国旗と衣装を貸していただき、心から感謝しております。
  発表が終わって、学生ロビーに多くの方が私のブースまで来ていただいて、エジプトと日本に関して話し合いました。来ていただいた方の中にアラビア語を勉強している人がいて、少しアラビア語で会話しました。そして、エジプトの衣装を着て一緒に写真を撮ったり、すごく楽しい時間を過ごしました。
  非常に貴重な体験となり、もしチャンスがあれば、また参加したいと思います。わざわざ、お忙しいところお越し下さり、感謝申し上げます。

エジプト大使館から送られた国旗の前で発表するサルマさん

みなさん熱心に耳を傾けています

○多 傑吉(ドルジェチ)博士課程前期
  毎年恒例となっている「文学部で味わう世界のティータイム」が11月7日(土)、14時からB204教室で行われました。チベットを紹介したドルジェチです。
  当日は沢山の方々が会場に足を運び非常にありがたく思いました。私は、このようなイベントでチベットの文化を紹介したのは初めてのことです。パワーポイントを使い、日本語でチベットの文化を紹介するというのは、今までなかった出来事でした。そのため、この発表を少しでも皆さんによく伝えるために、努力してきました。そのおかげで沢山勉強することもでき、視野が広まりました。当日のプレゼンテーションをする前に何回も練習を重ねたのですが、やはり緊張しました。私の他に、エジプトと中国の青島の留学生の二人が参加されました。二人の日本語は圧倒的にじょうずでした。本当に日本人とあまり変わらないくらいのレベルで、自分の物足りなさを痛感させられました。この発表をきっかけに一層努力をしていかなければならないと思いました。
  それから、同じ地球上の異文化というのは、とても魅力的であることに気づきました。今回紹介されたエジプトであろうが、中国であろうが、チベットであろうが、他の地域のいずれの異文化であろうが、お互いの文化を理解し、尊敬した上で世界平和が成立することができると、このイベントを通じて感じました。とにかく、皆さんと交流し、自国の文化の紹介というこのイベントを通じて、非常に貴重な経験を得たと思います。
  最後に、「文学部で味わう世界のティータイム」の参加に推薦して頂いた根本先生、ご指導して頂いた山本さん、そして助言を頂いた親友たち、このイベントに参加されたすべての方に感謝の意を表したいと思います。

正式な挨拶をする時に使うカタク(Ka bths )を
前に飾って発表するドルジェチさん

自己紹介をするドルジェチさん

発表後の学生ロビーの様子

終了後の記念撮影
(右端は友澤文学部長、左端より劉金鵬広報委員・
末永広報委員長)

3.文学部ニュース

○フランス語の文化を楽しもう!/フランス映画に関するオンライン講演会を開催します。

※ 詳細は文学部HPをご覧ください。

○文学部の学生らが三原市黒谷地区のお茶と三原だるまのコラボ製品をプロデュース!広島県庁に展示されました。
※ 詳細は文学部HPをご覧ください。

4.広報委員会より【広報委員会委員 今道晴彦】

 メールマガジン第100号の節目を迎える今回は、10月に着任されました髙尾先生のご挨拶と、大学院留学生の李さん、サルマさん、ドルジェチさん、そして劉先生よりいただいた「文学部で味わう世界のティータイム」のレポートを掲載いたします。
 新型コロナウィルスの影響で、様々な催しが中止になるなか、ホームカミングデーと文学部の企画である恒例の「世界のティータイム」が開催され、異文化に対する理解を深める場が提供されたことはたいへん喜ばしいことかと存じます。一方で、11月に入り、再び新型コロナウィルスの感染拡大が伝えられています。これから年度末にかけて様々な行事が控えているだけに、一刻も早く収束に向かうことを願うばかりです。

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学文学部長  友澤和夫
編集長:広報委員長  末永高康
発行:広報委員会

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