メールマガジン No.80(2017年8月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.80(2017年8月号)  2017/8/3

□□目次□□
1.釜山大学校人文大学との研究交流レポート
2.文学研究科互助会 カープ観戦記
3.第15回「文藝学校」と進学相談会に参加して
4.文学研究科(文学部)ニュース
5.広報・社会連携委員会より

1.釜山大学校人文大学との研究交流レポート【歴史文化学講座(日本史学分野)博士課程前期2年 安 浚鉉】

 「釜山大学校人文大学から先生方が訪問される時、通訳をしてくれませんか」と依頼されたのは突然のことでした。

  私の実家は釜山と同じ道(日本の県にあたる)で、両親も釜山出身。私が学部時代に初めて訪れた大学も、確かに釜山大学だったことを思い出しました。今回通訳の依頼されたということには、何かの縁を感じました。

  お互いの大学の紹介などを終え、各分野の交流会に移りました。私が担当したのはもちろん歴史学分野です。到着時間の遅れにより交流会の時間は短くなりましたが、お互い和気あいあいな雰囲気でした。文学部の先生方が韓国語の挨拶を用意されたり、直接英語で会話されたり、私の負担が軽くなったことは言うまでもありません。
  自己紹介を終え、文学研究科所蔵の史料を見ていただく時、釜山大学の先生方の目が一斉に光ったように感じました。この好奇心こそが、研究者としての心構えだろうなと思い、感動しました。

  通訳を担当することに内心期待しながらも緊張していた私。まだ未熟ながらも、自分が数年磨いてきた私の「商売道具=歴史学の知識」が役に立つ機会を得ることができ、たいへん嬉しく感じました。結果的に、他の通訳の学生や先生方から、研究者としてとるべき姿勢、そしていろいろな人たちとのつながりなど、さまざまなことに気づけたいい機会であったと思いました。

釜山大学校人文大学との研究交流レポート
釜山大学校人文大学との研究交流レポート

2.文学研究科互助会 カープ観戦記【欧米文学語学・言語学講座准教授 今道晴彦】

  2017年7月21日金曜日に互助会のカープ観戦ツアー(対ドラゴンズ戦)が開催された。
  今年はバックスクリーン横の「ちょっとびっくりテラス」が我々の応援席であった。座席に着くまでは,試合観戦もままならないのではないかと思われたが、実際に行ってみると,その疑念はすぐに解消された。丸選手や鈴木選手といった主力選手のプレーを間近で見ることができ、試合を俯瞰する上でも恵まれた場所であったからだ。また、今回の応援席は,知る人ぞ知る「ちょっとびっくり」な座席でもあった。バーベキューに舌鼓を打ちながら野球観戦を楽しむことができる開放的なテラス席だったのである。

  試合はというと、カープは初回裏にクリーンナップ(丸・鈴木・松山選手)の連続ヒットで1点を先制し、幸先のいいスタートを切ったように思われた。ところが、先発ジョンソン投手が不調で、3回までにあっさりと6点を取られてしまい、カープが終始ドラゴンズを追いかける試合展開となった。中盤の菊池選手のソロホームランや、終盤のタイムリーでカープはその後3点を返したが、時すでに遅しで、3連戦の初戦を飾ることはできなかった。とはいえ、カープは首位を独走しており、大きな落胆は感じられなかった。実際、次の2戦、3戦ではカープがドラゴンズを制しており、そんな日もあるという程度の問題でしかなかったのかもしれない。

  最後に個人的感想であるが、これまではまったく余裕がないため、参加を控えさせていただいていたが、今回はじめてカープ観戦ツアーに参加させていただき、有意義な時間を過ごすことができた。来年度もこの機会があれば、ぜひ参加させていただきたい。

文学研究科互助会 カープ観戦記
互助会 カープ観戦記
互助会 カープ観戦記
互助会 カープ観戦記

3.第15回「文藝学校」と進学相談会に参加して【応用哲学・古典学講座教授 衞藤吉則】

  毎年恒例の文藝学校が7月30日(日)に開催されました(場所:米子市の今井ブックセンター「本の学校」)。講師と講演タイトルは、松本舞先生「あなたの知らない猫の世界-猫と英文学、猫とヒトの時空間」、今林修先生「『ロミオとジュリエット』を一人で原文で読めるのか?」、妹尾好信先生「「梓弓」の女の運命-『伊勢物語』に描かれた女性訓」、衞藤吉則「鳥取県出身の倫理学者・西晋一郎の思想から生き方を学んでみよう」で、受講者は37名(内6名は高校生)でした。

  松本先生は境界をもたない「猫」が作り出す多様な物語をヨーロッパと日本の文学の内に多彩に描き出し、今林先生は『ロミオとジュリエット』の原文が採るソネット形式にみられる音韻とリズムの優位性をすばらしい実演で解説し、妹尾先生は文藝学校では初披露となる専門の『伊勢物語』について、男女の愛のすれ違いを描く「梓弓」の真実を絵巻から読み解いてくれました。私は、戦前、京都帝大の西田幾多郎と並び称された広島高等師範学校倫理学教授・西晋一郎の思想に光を当て、そこから導かれる「生き方のエッセンス」と「平和理論としての可能性」をお伝えしました。

  三人の先生方の講義はとても刺激的で、私自身一気にお話しに引き込まれていきました。講義後には、受講者や主催の「本の学校」関係者から、先生方の講義は非常に興味深い内容でしたとお褒めの言葉をいただきました。

  また、この「文藝学校」では、前日に米子東高校の先生方と進学に関する情報交換をし、当日は高校生を対象に進学相談の場を設けています。その日は、米子東高校の生徒と進路指導の先生に加え、愛媛県からも2名の高校生と保護者の方がかけつけてくれました。そして、驚くことに、相談役を務めてくれた広大文学部の学生6名の内4名は高校生の時にこの「文藝学校」を受講しているということで、この「文藝学校」が広大文学部入学への一つの窓口として循環的に機能していることが分かりました。

  当日は大変暑い日でしたが、チラシのタイトル「人文学は一筋の涼風」のように、受講者の心に知的な涼風を届けることができたとしたらうれしく思います。

 

あなたの知らない猫の世界-猫と英文学、猫とヒトの時空間ー松本舞助教

『ロミオとジュリエット』を一人で原文で読めるのか?ー今林修教授

「梓弓」の女の運命-『伊勢物語』に描かれた女性訓ー妹尾好信教授

鳥取県出身の倫理学者・西晋一郎の思想から生き方を学んでみようー衞藤吉則教授

4.文学研究科(文学部)ニュース

○オープンキャンパス2017 小山田浩子氏講演会を開催します

【 日 時 】8月18日(金)10:50〜11:45
【 会 場 】文学部B204講義室(リテラ)〈東広島キャンパス〉

詳しくはこちらをご覧ください。

5.広報・社会連携委員会より 【広報・社会連携委員会委員  末永高康】

  委員二年目の末永です。
釜山大学との交流ではわたしも少しお手伝いいたしましたが、英語以外のさまざまな言語を通じてコミュニケーションが取れるというのは、文学部の強みだと改めて感じました。広島大学のお宝のひとつである『周易正義』の室町期写本をご案内したところ、大変興味を示していただいて、交流の時間の少ないのが惜しまれたほどでした。お宝の価値が分かり合える交流というのも文学部ならではでしょう。

  カープ観戦も愚息と参加するようになってはや四年目、なぜか勝ったという記憶がありません。また来年に期待したいと思います。

  文藝学校にはまだ参加したことはありませんが、「藝」を旧字体のままで残しておくところに文学部の見識を感じます。「藝」の本字は草冠と「云」を取った「埶」で、人が木を植えるのを象った象形字。「芸」(読みはウン)は「耘」に通じて「くさぎる」(草を刈り取る)の意味。人文学が雑草視されて人もお金もどんどん刈り取られている昨今ですが、負けてはいられません。「汝の国の人草、一日に千頭絞(くび)り殺さむ」と脅すイザナミに、「吾一日に千五百の産屋立てむ」と答えたイザナギにならって、人文学の苗をこの大地にしぶとく植え続けていきたいと思っております。

 

  

 

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発行:広報・社会連携委員会

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