メールマガジン No.92(2019年 7月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.92(2019年 7月号) 2019/7/26

□□目次□□
1.文学研究科(文学部)新任教員あいさつ
2.内海文化研究施設 第44回季例会・公開講演会レポート
3.第32回初心者のための九州フランス語コンクール入賞報告
4.文学研究科(文学部)ニュース
5.広報・社会連携委員会より

 

1.文学研究科(文学部)新任教員あいさつ

 文学研究科では、今年度2人の助教が着任いたしました。今号では、2人の自己紹介をお届けいたします。

○地表圏システム学講座(地理学分野)笛吹 理絵 助教

  5月に文学研究科の地表圏システム学講座に着任いたしました笛吹(うすい)理絵です。今年の3月まで広島大学の総合科学研究科の博士課程後期の学生として学んでいました。また2016年4月からは、たおやかプログラムにも所属していました。人と動物の関係に関心を持っており、主に日本の観光地において研究を進めています。

  現在は様々な動物を対象にしていますが、実は最初に関心を持った動物はゴリラやチンパンジーなどの大型類人猿で、これは高校生か中学生の頃、手話で会話をするココという名前のゴリラがニュースで紹介されたことがきっかけでした。それを見て、「私もゴリラと会話がしたい」という夢をじわじわと抱くようになり、大学院時代は手話を習得したチンパンジーのいる大学の研究施設でボランティア活動をしながら、霊長類学を学んでいました。この施設では、週末になると一般の方を対象に環境教育を行い、アフリカに生息する野生のチンパンジーの保全のための啓蒙活動が行われていました。最初は、チンパンジーと話すことができるという単純な動機でボランティア活動を始めましたが、この経験を通して、普段の生活の中で使う多くのものにパーム油が使われ、それを購入することで生息地破壊へと繋がる可能性があるということを知り、無知だっただけに大きな衝撃を受けました。またこの頃受講した動物倫理の授業では、授業があるたびに答えの出ないディスカッションを繰り返し、いつも、もやもやした気持ちで授業を終えていたことを覚えています。ただこの授業やボランティア経験によって、今まであまり気に留めてこなかった動物の扱いについて考えさせられるようになり、今の研究に興味を持つ大きな契機となりました。

  教員になって間もないですが、私自身が大学の授業で刺激を受けたように、これからは学生の皆さんに少しでも影響を与えられる授業ができればと思っています。これからよろしくお願いします。

■笛吹理絵助教のプロフィールはこちらをご覧ください。

○応用哲学・古典学講座(中国思想文化学分野)藤田 衛 助教

このたび文学研究科の中国思想文化学に着任にしました藤田衛です。
 私は、はじめは高等専門学校(高専)で電気情報工学を学んでいました。しかし、とりたてて電気情報工学に興味があったというわけではありませんでした。そのおり、漠然と本を読んでいるなかで、中国古典に出会いました。『論語』『老子』『荘子』『韓非子』など、中国古典を読んでいくうち、専門的に勉強したいと思うようになりました。幸か不幸か、高専卒業からでも大学の文学部に編入できることを知りました。その一つが広島大学の文学部だったのです。そこから、編入試験のために漢文や中国語を勉強しはじめました。高専の教員から「院まで行ったら職はないぞ」と忠告されたのはいい思い出です。そして無事、広島大学に編入することになり、そこからわたしの中国思想研究がはじまるのでした。広島大学の学部からさらに院に進み、広島大学には十年あまりほどお世話になりました。そこからいまや教える側に立っているとは信じられない思いです。人生は本当に何が起こるかわかりません。

 私は、中国の占い書である『易経』を専門としています。とりわけ漢代における『易経』を用いた占術や解釈を中心に研究しています。数字や象徴によって『易経』を解釈する象数易というものです。漢代で発展した象数易は、後世の易占いの基礎となるもので、中国に限らず日本にも影響を与えています。漢代に案出された易術が、後世にどのような影響を与え展開していったのかといった問題にも取り組んでいます。

 今度は、教員として広島大学の発展に少しでも貢献できるよう頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

■藤田衛助教のプロフィールはこちらをご覧ください。

2.内海文化研究施設 第44回季例会・公開講演会レポート

   去る7月1日(月)、広島大学大学院文学研究科附属内海文化研究施設 第44回季例会・公開講演会が文学研究科B104講義室で開催されました。
 年に3回開催しているこの季例会・講演会ですが、今回は、廿日市市にある「海の見える杜美術館」で学芸主任を務めていらっしゃる谷川ゆき氏を講師にお招きし、「海の見える杜美術館所蔵厳島関連資料」と題して、厳島を題材とした絵画史と絡めながら同美術館が所蔵する厳島関連資料を紹介していただきました。

 「海の見える杜美術館」は厳島神社の対岸正面に位置していることから、いかにも厳島とゆかりがありそうですが、厳島関連資料としては屏風や書籍・絵画等19点を所蔵しているそうです。今回の講演では、その内の厳島図屏風6点(17~18世紀作)を特に取り上げて、豊富な画像を用いながら説明をしていただきました。
同じ厳島を描いた屏風でも、天橋立や吉野など他の景勝地と組み合わせて描かれたものや、厳島全体の名所を描いたものなど構図もさまざまで、それぞれに異なる魅力がありました。また、いずれの屏風も細部まで凝った作りとなっており、提示していただいた画像からも人々の服装や池で泳ぐ魚など細かな部分まで丁寧に描かれていることがよくわかりました。

 講演後の質疑応答では、植物学・建築学・文学……など、さまざまな見地から専門的な質問や意見が多く出されて、白熱した時間となりました。今後、同美術館の所有する資料が複合的に研究されていくことが大いに期待されます。

 「海の見える杜美術館」では、2019年11月23日(土)~12月29日(日)まで、「厳島に遊ぶ―描かれた魅惑の聖地」展を開催予定だそうです。今回ご紹介いただいた厳島図屏風などももちろん展示されるはずです。豪華絢爛な屏風をじかに見ることができる貴重な機会です。また、美術館のテラスからは対岸の厳島が見え、屏風と同じ高い視点から俯瞰した構図で厳島を望むこともできます。皆さん、ぜひ足を運んでみられてはいかがでしょうか。
(世界遺産・厳島ー内海の歴史と文化プロジェクト研究センター リサーチ・アシスタント 北原沙友里)

海の見える杜美術館学芸主任 谷川 ゆき氏

《厳島図屏風》六曲一双 江戸時代(海の見える杜美術館蔵)

3.第32回初心者のための九州フランス語コンクール入賞報告

 6月30日にアンスティチュ・フランセ九州(博多)で「第32回初心者のための九州フランス語コンクール」が開催され、文学部欧米文学語学・言語学コース2年の栄谷有夏さん(フランス文学語学専攻)が2位、坂本琢也君(言語学専攻)が3位に入賞しました。お二人に感想を寄せて頂きましたので紹介いたします。

○九州フランス語コンクールに参加して      文学部2年 栄谷 有夏
 私は今回、自分のフランス語を上達させるために九州フランス語コンクールに出場しました。大会を終えて自分自身の成長を実感しており、参加して本当によかったと思っています。
 大会本番は先生方をはじめ卒業生の方まで応援に駆けつけてくださり、とても温かい雰囲気でした。審査員の先生方も笑顔で私のスピーチを聞いてくださり、話していて非常に楽しかったです。質疑応答でも優しく質問してくださり、リラックスして答えることが出来ました。
 練習においては、自分の発表だけでなく質疑応答の対策もあったので、多くの文章を覚えました。また、母音の発音や文章の抑揚なども先生が個別に指導してくださり、この短期間でフランス語に関する多くのことを学べました。私はフランス文学語学専攻なので、ここで得たことは今後の学習に直結します。これからも楽しみながらフランス語や文学の勉強を続けていきます。
 最後に、指導してくださった先生方、本当にありがとうございます。先生方のおかげでこのような賞をいただくことができました。今後ともよろしくお願いいたします。

2位入賞の栄谷有夏さん

○仏語弁論大会感想  文学部2年 坂本 琢也
  初め、私はこのコンクールに参加するか大変迷っていました。というのも、私は人前で話すことが得意ではありませんし、ましてフランス語で弁論するなんてほんの数か月前は考えられませんでした。しかし、フランス語の向上とともに自分を少し変えられるのではないかと思い参加を決意しました。
  実際にフランス語で弁論をするにあたり、どのようにして聞き手に自分の弁論に込めた思いを伝えるかが重要になってきます。そのため、重要な言葉に強弱をつけたり、身振り手振りをつけたりなど、普段日本語で話していては意識していないことに注意を払わなくてはなりません。最初は人前で話すのが得意でないことと慣れない話術にあいまって、恥も伴いとても苦戦しました。しかし、先生方と練習を重ねるうちに、話し方はもちろんのこと、発音やイントネーションなど徐々に改善していくことを実感しました。本番では緊張しましたが、練習の成果が出たのではないかと思います。
  この弁論大会を通して、フランス語の向上、また日本とフランス語において伝え方という点で文化の違いにも触れられました。日常生活では意識しないことを再確認することができ、今後の生活もフランス語学習においても大きなものを得ることができました。引き続きフランス語を勉強し、自分を成長させることができればいいです。
  終わりに、この弁論大会にあたり、協力してくださったフランス語の先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

3位入賞の坂本琢也さん

4.文学研究科(文学部)ニュース

○広島大学オープンキャンパス2019/研究室訪問及び受験相談を行います。

【日時】8月20日(火)・21日(水) 11:10~12:10及び14:00~15:00
【場所】文学研究科各研究室および大会議室
※ 詳細は文学研究科HPをご覧ください。

○リテラ「21世紀の人文学」講座2019を開催します。

【テーマ】広島藩の文化水準私論
【日時】12月7日(土)13:30~16:40
【場所】広島市まちづくり市民交流プラザ 北棟6階         
           マルチメディアスタジオ

※ 詳細は文学研究科HPでお知らせします。

5.広報・社会連携委員会より【広報・社会連携委員会委員 下岡友加】

   メールマガジン92号をお届けします。
前号に引き続き、新任の先生方の自己紹介、並びに内海文化研究施設開催の講演会レポート、フランス語コンクール入賞者からの喜びの声を頂きました。学期末のお忙しい中、貴重な内容をご寄稿下さいました皆様に感謝申し上げます。
   次号のお届けは9月となります。引き続き、皆様からの熱い情報をお待ちしております。

          七月の蝌蚪が居りけり山の池   虚子

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学大学院文学研究科長  久保田 啓一
編集長:広報・社会連携委員長  宮川 朗子
発行:広報・社会連携委員会

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