文学研究科博士課程前期2年の渡橋恭子(おりはし・のりこ)さんが、公益財団法人・公共政策調査会と警察大学校警察政策研究センターが募集した「オリンピック・パラリンピック東京大会の安全安心な開催のための対策を考える」をテーマとした懸賞論文で、みごとに優秀賞を受賞しました。最優秀賞は逃したものの、優秀賞2人に入り賞金10万円を獲得、同時に、後援している読売新聞社賞も受賞しました。
渡橋さんの論文は、「東京オリンピックからノーマライゼーションを考える~すべての人が活躍できる社会を目指して~」と題するもので、選考委員の小宮信夫立正大教授の講評によれば、「データを用いながら、日本のバリアフリーの現状と課題を分析し、過去の五輪開催国の対策を参考に提言をまとめたもの」だそうです。渡橋さんは日本文学語学分野に所属し、『源氏物語』の古注釈書について研究しているので、全く専門とは異なる分野での論文が高く評価されたわけです。修士論文の作成中にもかかわらず、社会問題への強い関心から一念発起して執筆し応募したのだそうで、とかく虚学と軽視されがちな文学の研究者も実社会に役に立つ提言ができるのだと世間にアピールできたのではないでしょうか。
授賞式は、1月22日(月)に東京都内のホテルで開催されました。渡橋さんは、欠席した最優秀賞受賞者に代わって、受賞者を代表してスピー チを行ったそうです。選考委員の井上康生氏、宮崎緑氏、坂東真理子氏らから声をかけられ、お祝いの言葉をもらって大いに感激したと言っています。
渡橋さんは昨年度には、広島大学が募集した「広大をどう変えればよくなるかアイデア募集」にもすぐれた提案をして、越智学長からほめられた経験があります。蛸壺にたとえられるような専門の研究に埋没してしまうのではなく、常にどのようにすれば社会がよくなるかを考えている渡橋さんの姿勢には私たちも学ぶべきところが多いでしょう。
今回の受賞を文学研究科の名誉として心からお祝いしたいと思います。おめでとう!(指導教員:妹尾好信)