文学研究科ロビーの展示替えをしました

欧米文学語学・言語学研究と辞書

  どの言語にも、言葉の適切な遣い方や正しい綴り字を知ろうとする時のみならず、研究においても常に参照され、その価値が認められている辞書があります。今回の展示では、古い歴史があり、多くの人々に知られているのみならず、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語とその文学や言語学を研究する者にとっては、参照することが必須とされる、代表的な辞書を紹介します。

The Oxford English Dictionary
The Oxford English Dictionary

The Oxford English Dictionary(初版;1884-1928年)
  英語の歴史に登場した語(初版はおよそ41万語)を収録する、最も権威のある英語辞書。語源、綴り、原義、意味発達を知ることができる。大きな特徴として、原義から古い順に定義が並べられ、各定義には確認されている最古の文献以降の例文がある。英文学作品を読む際に、語義の推定に大いに役に立つ。
  その後出された補遺を合わせ、1989年に第2版(46万語)が出版された。現在では、CD-ROM版やオンライン版もある。
  展示のページでは、sillyの元となる語seelyの意味変化が示されている。

Dictionnaire de l’Académie Française

Dictionnaire de l’Académie Française
  ルイ13世の庇護のもとでリシュリューが創設したアカデミー・フランセーズが編纂し、1694年に第1版を出版した辞書。今日まで改訂されながら出版されている。第1版の出版当初から、この辞書にはフランス語の規範が示されているとされる。展示の辞書は、19世紀に出版された第6版。現在は、第9版を出版中。

Vocabolario degli Accademici della Crusca

Vocabolario degli Accademici della Crusca(『クルスカ学会辞典』), 1741, Venezia.
  ヨーロッパでもっと古いアカデミーであるクルスカ学会(Accademia della Crusca)は、1583年にイタリア・フィレンツェで設立される。当時、標準イタリア語に関する言語論争があり、14世紀トスカーナ方言を基盤とする文学語を標準語とする立場をとったクルスカ学会は、1612年に最初のイタリア語辞書であるVocabolario degli Accademici della Cruscaを刊行する。これを機に、現在においても標準イタリア語は、ルネサンス時代のダンテ、ボッカチオ、ペトラルカのトスカーナ方言による文学語が基盤となる。
  本書は、1729-1738年にフィレンツェでDomenico Maria Manniによって出版された全6巻の第Ⅳ版の辞典を、1741年にFrancesco Pitteriが全5巻に要約し、ヴェネツィアで再版した貴重なものである。

ドゥーデン ドイツ語と外来語に関する正書法

Der große Duden Rechtschreibung der deutschen Sprache und der Fremdwörter
(ドゥーデン ドイツ語と外来語に関する正書法)

  本書は,1961年,東西ドイツが分断されていた時代に西ドイツ(マンハイム)より出版されたドイツ語の正書法辞典である。1880年にプロイセン王国の中等教育機関の校長であったKonrad Dudenによって最初の版が旧東ドイツ(ライプツィヒ)から公刊されて以降,現在までに26版が出版されており,本書は第15版にあたる。ただし,第二次大戦後は西側が東側から再印刷の権利を買うことで,東西で別々に出版された。本西版(東版が出た4年後に公刊)は,いわゆる「ベルリンの壁」によって東西ベルリンの交通が遮断されて間もない頃の版で,東版と比較すると数百ページ少なく,記載内容や記載方法において様々な違いが見られると言われている。


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