一歩踏み込んだ国際環境人材育成へ
2003年度から2007年度まで実施してきました21世紀COEプログラム「社会的環境管理能力の形成と国際協力拠点」では、内外の各機関の 方々からご厚情を賜り、心底より感謝申し上げます。 この間、広島大学は、インドネシアをはじめ研究対象国における能力形成のプロセスおよび能力と社会経済的背景、環境パフォーマンスとの関係を解明すると ともに、社会的環境管理能力のアセスメント手法として、OECD(1999)のDPSIR フレームワークにキャパシティ(C)を加えたDPSIR+C という基本的な枠組みを提案しました。また、被援助国の発展段階および固有の条件に応じた能力向上のための中長期的な環境政策の立案、国際環境協力プログ ラムの策定に関わる提言を行いました。 2008年度からは5年間、21世紀COEプログラムを環境人材育成へと発展させるために、文部科学省科学技術振興調整費戦略的環境リーダー育成拠点形 成プログラム「低炭素社会を設計する国際環境リーダー育成」に取り組むこととなりました。本拠点は、地球温暖化問題に焦点を当て、低炭素社会を実現するた めに必要となる、脱温暖化社会システム設計、エネルギー高度利用、環境影響評価、政策立案・制度設計、環境教育の5つの視点から、日本および途上国の双方 で環境リーダーを育成することを目指します。一歩踏み込んだ国際環境人材育成への挑戦です。そのために、国際環境教育プログラムを開設し、日本及び途上国の双方で戦略的に選抜した修士12名、博士6名を、低炭素社会をデザインできるリーダーと して育成し、毎年輩出します。また、現地研究シーズを共同研究として発展させ、教材へフィードバックさせるために、修了生継続教育プログラムも並行して実 施します。これにより、国や専門分野を横断したグローバル人材ネットワークを形成するとともに、先進国と途上国の連携が問われる地球規模の環境問題解決の ための実践的な知の体系の創造と国際協力の最前線への還元を図る計画です。関係者の皆様のご指導とご支援の程、何卒よろしくお願いいたします。