研究科長挨拶

「統合生命科学研究科」創設

大学院統合生命科学研究科長 西村 善文

 新しい時代が始まるにあたって、広島大学は従来の概念にとらわれず広い視野をもち、発展・変革し続ける生物学・生命科学の分野で社会に貢献する人材を育成するため、2019年4月「統合生命科学研究科」を創設しました。最近生命科学では大きな変革が起きています。例えば生物の遺伝子がDNAやRNAの配列として解析されてきました。DNAの情報が転写されたRNAはタンパク質を指令し、タンパク質は酵素や細胞制御等の多様な機能を果たしていますが、RNAそれ自身も生命の中核となる様々な機能をもち、またDNAの可塑性やRNAの新機能の発見など生命科学では普遍的な共通機構の元に新しい展開が日々続いています。
 これら新しい機構に基づく先端基礎研究もいずれは応用研究に発展し、また応用研究も着実な基礎研究に依っていることになります。そのためには従来の枠組みにとらわれない分野間の融合が必要です。理学、工学、農学、医学の各分野において細分化した生物学・生命科学を有機的に連携し、次代を担う学生が、各専門分野に特化することなくより広い知識と能力を身に付けることができるよう、生物工学、食品生命科学、生物資源科学、生命環境総合科学、基礎生物学、数理生命科学、生命医科学の7つの学位プログラムを一つの専攻として統合した研究科を作りました。
 また本研究科は新しく設置された大学院医系科学研究科との連携による生命医科学領域のみならず、人文社会科学系の研究科とも連携し、複合領域や新しい領域で活躍できる若い人が、持続可能な輝かしい未来への発展を導いていくことを期待します。


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