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【研究成果】微生物細胞内で発現しているmRNAを特異的に検出~微生物菌叢内の「誰が何をしているのか?」を可視化~

本研究成果のポイント

  • 多種多様な微生物から構成される微生物叢内の「誰が何をしているのか?」を直接識別する方法はありませんでしたが、mRNA特異的に蛍光標識することができるようになりました。
  • 異なる厚さのペプチドクリカン層を持つグラム陽性菌・陰性菌が混在している状態でも、各々が発現しているmRNAのみ同一方法で特異的検出が可能です。
  • 微生物叢内で重要な機能を持つ微生物を、1細胞レベルでmRNAの発現で特定することが可能となり、共生関係など微生物の相互作用の解明や、難培養細菌の重要遺伝子探索に役立ちます。

概要

広島大学大学院統合生命科学研究科の高橋宏和研究員、堀尾京平(同研究科博士課程後期1年)および岡村好子教授は、同研究科の中島田豊教授、秋庸裕教授、および小堀俊郎上級研究員(農研機構・食品研究部門)らとの共同研究により、RNaseH-assisted rolling circle amplification(RHa-RCA)を利用した蛍光in situハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization, RHa-RCA―FISH)法を確立し、微生物細胞内で発現している特定のmRNAのみを、1細胞レベルで可視化に成功しました。今回の研究により、微生物を破壊せず、また逆転写せず、1細胞レベルでmRNAの直接検出が可能になり、異なる厚さのペプチドクリカン層を持ち多数の微生物種が混在している微生物叢(microbiota、マイクロバイオータ)、例えば腸内細菌叢や土壌細菌叢において、興味深い遺伝子を発現している微生物種の特定に役立つことが期待されます。 この成果は、Scientific Reports誌に掲載されました。

図1. 本研究の目的の概念図

図1. 本研究の目的の概念図

論文情報

  • 掲載誌: Scientific Reports
  • 論文タイトル: Direct detection of mRNA expression in microbial cells by fluorescence in situ hybridization using RNase H-assisted rolling circle amplification
  • 著者名: H. Takahashi, K. Horio, S. Kato, T. Kobori, K. Watanabe, T. Aki, Y. Nakashimada, Y. Okamura
  • DOI: 10.1038/s41598-020-65864-7
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
広島大学 大学院統合生命科学研究科
教授 岡村 好子
TEL: 082-424-4583 
E-mail: okumuray*hiroshima-u.ac.jp
(注:*は半角@に置き換えてください)


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