大学院統合生命科学研究科
准教授 荒川 賢治
Tel:082-424-7767
FAX:082-424-7767
E-mail:karakawa*hiroshima-u.ac.jp
(注: *は半角@に置き換えてください)
広島大学大学院統合生命科学研究科・広島大学健康長寿研究拠点の荒川賢治准教授の研究グループは、エジプト・ヘリオポリス大学のAhmed T. Ayoub博士、カナダ・アルバータ大学のGordon Chan博士、富山大学和漢医薬学総合研究所の森田洋行博士の研究グループとの共同研究により、放線菌が生産する二環性ポリケチド化合物ランカサイジンの抗腫瘍活性作用向上を目指し、計算機シミュレーションに基づいて構造改変を行いました。化学合成と放線菌由来ピロロキノリンキノン要求性酵素Orf23を用いたケモエンザイマティック合成を駆使し、単環性ポリケチド化合物ランカサイクリノンを取得し、HeLa細胞などを用いた抗腫瘍活性試験を行ったところ、単環性化合物でも抗腫瘍活性作用を呈することを見いだしました。抗菌活性については単環性になると完全に失われることから、抗腫瘍活性と抗菌活性の分子様式が異なることも見いだしました。
本研究成果は、12月5日にElsevier社の科学誌「Bioorganic & Medicinal Chemistry」に掲載されました。
図1 ケモエンザイマティック合成による単環性ポリケチド化合物ランカサイクリノンの取得と結合エネルギー・分子動力学計算・抗腫瘍活性の解析
【今後の展開】
単環性化合物ランカサイクリノールおよびランカサイクリノンは、母核化合物ランカサイジンと比較すると単純な構造となっており、本化合物をリード化合物とした誘導体合成への可能性を提供でき、さらなる計算機シミュレーションを組み合わせることで「究極の抗がん剤創成」への発展が期待できます。本研究は、日本学術振興会「二国間交流事業・エジプトとの共同研究」による国際共同研究成果となります。
(※1)ケモエンザイマティック合成
化学合成と酵素反応を組み合わせた効率的な合成方法
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掲載日 : 2021年12月20日
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