設立の趣旨
2006(平成18)年4月、広島大学に、新しい大学院「総合科学研究科」が船出しました。この研究科は、「総合科学」の旗の下、1974(昭和49)年に創立された総合科学部を基礎として、総合的知見と思考力の滋養に努めるとともに、21世紀の人類社会が直面する複合的課題に取り組み、大学院教育における「総合科学」実践の学舎となることをめざしています。「総合科学」は、個々の専門分野を深化させるとともに、その融合・協同(コラボレーション)を実践して、新しい知を開拓する学問領域です。新研究科の設立で、教養教育から大学院教育までの一貫した「総合科学」の学舎が完成します。
本研究科の教育課程は、多様な専門分野を誇るスタッフを背景に、既存の学問的枠組みのブレークスルーと新領域の創成に取り組むことで、自己の専門分野を「重点的」に研究して専門的な知識・技能を高めると同時に、学際性・総合性・創造性に秀でた「総合科学」の知的技法を身に付け、その到達点を、学際的・総合的な観点から客観的に評価できるジェネラリスト(「重点的ジェネラリスト」と呼びます)の養成をめざします。
この研究科は、世紀を超える諸問題が「人間」によって創造し作り替えられる「文明」と「環境」を焦点として現出するという事実に照らして、専攻のような壁をもたない柔軟な教育研究の基本組織として、「人間科学部門」「環境科学部門」「文明科学部門」の3部門を設け、それらの融合・協同そして新領域の創成の場となる「21世紀科学プロジェクト群」の1群3部門で構成されています。わたしたちは、知的好奇心に満ち、進取の気象にとみ、絶えざる自己変革を心がける研究科「総合科学」号の新しいクルーを求めています。
研究科設立までのあゆみ
- 1978年 地域研究研究科・環境科学研究科設置
- 1985年 生物圏科学研究科設置
- 1986年 社会科学研究科設置・工学研究科情報工学専攻設置
- 1994年 国際協力研究科開発科学専攻設置
- 1995年 国際協力研究科教育文化専攻設置
- 1998年 先端物質科学研究科設置
- 1999年 生物圏科学研究科環境循環系制御学専攻設置
- 2000年 社会科学研究科マネジメント専攻設置
- 2002年 生物圏科学研究科の整備(大学院講座化)
- 2004年 社会科学研究科の整備(大学院講座化)
- 2006年 総合科学研究科設置