広島大学オープンアクセス方針実施要領

平成30年3月27日 図書館長決裁
令和3年4月1日 一部改正

1. 趣旨

広島大学(以下「本学」という。)は、「広島大学基本理念」に基づき、研究成果を世界に発信することにより、学術研究のさらなる発展に寄与するとともに、研究成果の透明性を確保し、社会に対する説明責任を果たすことを目的として、オープンアクセスに関する方針を以下のように定める。

オープンアクセスとは、研究成果を、インターネットを通じて誰でも無料でアクセス・利用できる状況に置くことをいう。研究成果を学術雑誌に発表しても、当該雑誌を購読契約していないと読むことはできないが、オープンアクセスによって研究成果を広く発信し、アクセス機会を提供、可視化を行うことで、研究成果の透明性を確保することができる。

広島大学オープンアクセス方針は、全学的に統一された手順で研究成果を登録することにより、オープンアクセスの実現を目指す組織全体の意思表明である。

【参考】「広島大学基本理念」
「自由で平和な一つの大学」という建学の精神を継承し、理念5原則の下に、国立大学としての使命を果たします。
・平和を希求する精神
・新たなる知の創造
・豊かな人間性を培う教育
・地域社会・国際社会との共存
・絶えざる自己変革

2. 研究成果の公開

本学は、出版社、学協会、学内部局等が発行した学術雑誌に掲載された研究者の研究成果を、「広島大学学術情報リポジトリ」によって公開する。ただし、研究成果の著作権は本学には移転しない。

本学は、研究者の研究成果を「広島大学学術情報リポジトリ(以下「リポジトリ」という。)」に公開する。リポジトリの運用は「広島大学学術情報リポジトリ運用指針」に基づく。

研究者とは、「教育研究情報収集システム」のIDが発行されている次の職名の者を指し、IDを持たない博士研究員(ポスドク)や大学院生等は、今後の検討課題として当面対象としない。

  • 役員(学長、理事)
  • 大学教員(教授、准教授、講師、助教、助手、船長、一等航海士)
  • フルタイム契約職員(特任教授、特任准教授、特任講師、特任助教、寄附講座教授、寄附講座准教授、寄附講座講師、寄附講座助教、共同研究講座教授、共同研究准教授、共同研究講師、共同研究助教、助教)
  • パートタイム契約職員(特任教授、特任准教授、特任講師、特任助教、みなし専任教員

※    2017年10月現在「教育研究情報公開の促進について」資料より

本方針により、リポジトリへ登録する研究成果は、学術雑誌に掲載された論文である。学術雑誌とは、出版社、学協会、学内部局等が発行した出版物に学術雑誌論文、会議発表論文および紀要論文として掲載された学術情報をいい、書籍は含まない。

研究成果をリポジトリへ登録することによって著作権が移転することはなく、登録前の著作権者が著作権を保持する。

3. 適用の範囲

本方針は、本方針施行後に出版される研究成果に適用する。ただし、本方針施行以前に出版された研究成果の公開も推奨する。

本方針は、承認された日(平成30年3月27日)以降に出版された研究成果に適用する。ただし、本方針施行以前の研究成果についても、本学のレピュテーション向上および研究成果の保存の観点から、公開を推奨する。特に、本学のレピュテーション向上につながる受賞論文等は、公開を強く推奨する。

4. 適用の例外

公開が適切でないと判断した場合、本学は当該研究成果を公開しない。

(1) 研究者が理由を付して非公開を申請する場合
「オープンアクセス適用例外申請」により、広島大学図書館運営会議が当該研究成果の公開の可否を判断する。判断結果は、当該研究者に通知する。ただし、研究成果の著作権を出版社等に譲渡しており、著者最終投稿版を含むあらゆる版の公開が著作権者により許諾されないことを図書館が確認した場合は、申請を不要とする。

<想定される理由(例)>

  • 研究成果が個人情報やプライバシーに関する内容を含むためインターネット上での公
    開が不適切である。
  • 本学以外の共著者の同意が得られない。
  • 校正によって出版社発行版と異なる内容の公開を控えたい。
  • その他:(特別な理由を記述)

(2) 図書館長が公開が適切でないと判断する場合
○不正行為
捏造・改ざん・盗用・剽窃等、研究活動における不正行為があった場合、本学の決定に従い、公開しない。
○その他
非公開にすべきかどうか検討が必要となった場合、広島大学図書館運営会議が当該研究成果の公開の可否を判断する。

5. 研究成果の提供

研究者は、研究成果について、著者最終投稿版を共著者の同意を得た上ですみやかに本学へ提出する。

(1) 提供時期
研究者は、研究成果公表後できるだけすみやかに提供することが望ましい。出版社のポリシーにより公開禁止(エンバーゴ)期間が定められている場合は、リポジトリの公開制限機能を用いて指定した日まで公開を保留する。

(2) 提供方法
研究者は、リポジトリへのコンテンツ登録手順に従って、研究成果を提供する。
【参考】 https://hiroshima.repo.nii.ac.jp/2

(3) 著者最終投稿版の提出
研究者は、研究成果の著者最終投稿版を提供することとする。機関リポジトリに登録が認められているのは、多くの場合、出版社版そのものではなく、出版社に受理される直前の著者最終投稿版(査読が反映されているが、出版社による最終的なレイアウト調整等がなされていない版)である。著者最終投稿版に、出版社版と同等の付加価値(コピーエディティング、書式設定、技術的改善、場合によってはページレイアウト等)を加えることは認められていない。
【参考】論文は、初稿の提出から出版までの各段階で、査読の反映状況や出版社による組版の状態により、いくつかの「版」として捉えることができる。

①投稿版(出版社へ投稿した査読前の原稿)submitted version、 pre- print
②修正版(査読を受けて修正した原稿)revised version
③著者最終投稿版(査読後、出版社に受理される直前の原稿)final author's manuscript、 accepted author manuscript、 peer-reviewed version、 post- print
④出版社版(accept後、出版社組版後、出版された雑誌に掲載された論文)publisher's version、 final publisher's version、VoR (Version of Record)


(4) 著作権
・著作権の確認
研究者より提供された研究成果をもとに、図書館において著作権の確認をする。出版社版が公開可能である場合は、図書館が当該の版を入手し公開する。通常、許諾可否および条件に関する情報は、出版社ウェブサイトに掲載されている著作権ポリシー等に記載されているが、明確な情報が得られない場合、投稿時に著者が出版社と交わした著作権譲渡契約(Copyright Transfer Agreement)等について図書館から尋ねる場合がある。

Publisher ①投稿版、②修正版 ③著者最終投稿版 ④出版社版
Elsevier 公開可 制限付で公開可
・エンバーゴ1~3年
・クリエイティブコモンズのクレジット表示
公開不可
Wiley 公開可 制限付で公開可
・エンバーゴ1~4年
公開不可
Springer 公開可 制限付で公開可
・エンバーゴ1年
公開不可
Nature 公開可 制限付で公開可
・エンバーゴ半年
公開不可
American Chemical Society 制限付で公開可
・書面での許可必要
・ACSの倫理ガイドラインに違反しない
制限付で公開可
・所属機関においてOA化が要求されている場合(広大はこれに該当)、エンバーゴ1年
公開不可
American Physical Society 公開可 公開可 公開不可

・共著者の意思確認
研究成果の提供に際しては、事前に共著者に確認をしておく(文書で提出する必要はない)。

(5) オープンアクセスの重複
arXivやResearchGate等の外部のリポジトリの利用や、オープンアクセス論文としての出版(即時または一定期間後に全掲載論文がオープンになるジャーナル等)によってオープンアクセスが実現している研究成果についても、大学として責任を持って研究成果を保管し、長期的なアクセスを保障するという観点から、研究者は本学へ研究成果を提供する。

6. 研究資料等の保存

研究者は、本方針によって公開した研究成果のもととなった研究資料等を「広島大学における研究資料等の保存に関するガイドライン」に従って保存する。

研究者は、万が一、研究不正の疑念がもたれるようなことが生じ、自己の責任において科学的な説明を求められた場合に備えて、「広島大学における研究資料等の保存に関するガイドライン」に従い、研究成果のもととなった研究資料等を適切に管理・保存する。

7. その他

本方針に定めるもののほか、オープンアクセスに関し必要な事項は、関係者間で協議して定める。

必要に応じて、学内関連部署や出版社等と調整をする。

 

【本実施要領についての問い合わせ】
広島大学図書館部図書学術情報企画グループ
電話:082-424-6228 メールアドレス:tosho-kikaku-jyoho@office.hiroshima-u.ac.jp
 

附則
この要領は、平成30年3月27日から施行する。

附則(一部改正)
この要領は、令和3年4月1日から施行する。

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