言葉に潜む人の心を、人文学でひらく

中国出身、博士課程前期2年生の梁 心文さん(比較日本文化学)の声をお届けします。

広島大学大学院人間社会科学研究科人文学プログラムに進学しようと思った理由は何ですか。

 私は以前から、人が言葉によって考えを伝え合い、互いを理解していく営みに大きな魅力を感じていました。大学時代に日本語を学ぶ中で、その関心は次第に言語学へと広がり、特に日本語と母語である中国語との比較に興味を持つようになりました。日本語と中国語はともに漢字を用い、一見するとよく似た語彙や表現を数多く持っているにもかかわらず、実際の使用場面ではさまざまな違いが見られます。私はそのような違いを見つけ出し、さらになぜその差が生まれるのかを考えることに面白さを感じていました。
 さらに、学習を続ける中で、言語は単なるコミュニケーションの手段ではなく、人々の文化や価値観、物事の捉え方を映し出すものでもあると考えるようになりました。そのため、言語そのものだけでなく、その背景にある文化や思考のあり方についても幅広く学びたいと思うようになりました。広島大学大学院人間社会科学研究科人文学プログラムは、言語学をはじめとするさまざまな学問分野を通して、人間と社会について多角的に探究できる環境が整っています。そのような環境の中で日中両言語の比較研究を深めながら、人間と言語の関わりについて理解を深めたいと考え、進学を決意しました。

広島大学や大学院生活の第一印象はどうでしたか。

大学院に入学してまず感じたのは、「教わる場」から「自分で考える場」へと学び方が大きく変わったことです。学部時代は授業を通して知識を身につけることが中心でしたが、大学院では自ら問題を見つけ、その答えを探していくことが求められます。最初は難しく感じることもありましたが、その分、自分の研究について深く考える機会も増え、研究の面白さをより実感するようになりました。また、人文学プログラムでは、自分の専門分野だけに限らず、さまざまな分野の授業や研究に触れることができます。異なる分野の知見に触れることで、自分の研究を別の角度から見つめ直す機会が多いことも印象に残っています。

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広大の秋

現在どんなことを研究していますか。

 日本語と中国語には、構造がよく似た表現が数多く存在しますが、その意味の広がり方や実際の使われ方にはさまざまな違いが見られます。その一つとして、上下移動の表現があります。上と下という移動方向は、私たちにとって非常に身近な概念であり、日常の言語表現の中にも数多く用いられています。そうした身近な表現でありながらも、言語によって意味用法に少なくない違いが見られる点に面白さを感じています。では、これらの上下移動の表現がいったいどのような意味へと広がり、また両言語の間にどのような共通点や相違点が存在するのかということに関心を持っており、それを明らかにするため、現在は日本語と中国語との対照研究を行っています。
 研究では、コーパスと呼ばれる実際の言語データを集めたデータベースを用い、統計分析の手法も取り入れながら分析を進めています。その結果、日本語と中国語では、同じ上下移動の表現であっても意味用法の広がり方に非対称性が見られることや、同じ出来事を表す際にも着目する視点が異なる場合があることが分かってきました。こうした違いを通して、それぞれの言語が持つ特徴や、その背景にある物事の捉え方について理解を深めたいと考えています。

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日々の研究風景

広島大学での学生生活について教えてください。

 広島大学での学生生活は、授業や研究、課外活動を通して非常に充実しています。まず授業では専門分野の言語学だけでなく、分野横断的な学びを通してさまざまな知識に触れることができます。例えば、情報科学分野の自然言語処理や、心理学分野におけるネットワーク分析に関する授業も受講しており、現在の研究の基盤となる知識を幅広く学んでいます。
 課外活動では、学内ではTAを務めて授業の運営や受講生のサポートに携わっているほか、地域では東広島日中親善協会が開いた中国語教室で講師を務めています。学んだ知識を学内にとどまらず、地域社会の中でも活かしながら、異なる文化的背景を持つ方々とコミュニケーションできることは大きな喜びです。ほかには、地域の団体や施設の活動を通じて、山登りをはじめ、水泳やサイクリング、アーチェリーなどにも取り組み、充実した毎日を送っています。
 また、休日には旅行に出かけることも多く、これまでに日本の13県を訪れました。実際に各地を歩き、四季折々の風景や地域ごとの文化に触れることで、授業や書籍で学んだ知識への理解がより深まったと感じています。現地でしか味わえない歴史や文化、人々の暮らしに触れることは、新たな発見につながるだけでなく、自分の研究を考える上でも貴重な経験になっています。

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講義でのTA活動

広島大学大学院人間社会科学研究科人文学プログラムに入学・進学してよかったこと、驚いたこと、衝撃を受けたことなど、ありましたら教えてください。

 広島大学大学院人間社会科学研究科人文学プログラムに入学してよかったと感じていることの一つは、国際的な環境の中で学べることです。人文学プログラムには日本人学生だけでなく、世界各地から来た留学生も多く在籍しています。私自身も留学生の一人ですが、授業にとどまらず、研究室や課外の時間にも、さまざまな背景を持つ人たちと交流する機会が多くあります。同じテーマについて話していても、それぞれ異なる視点や考え方を持っているので、新しい発見がたくさんあります。そうした交流を通して、自分の視野も広がったと感じています。
 また、入学して印象的だったのは、授業やゼミで先生と学生が一緒に考えながら議論を進めていくことです。ここでの授業では、先生から一方的に知識を教わるだけではなく、各自の考えや意見を求められる場面が多くあります。意見を交換しながら学ぶことで、自分では気づかなかった視点に出会うことも多く、自分の考えも少しずつ深まっていくように感じています。このような学びの環境はとてもありがたいと思っています。

将来の夢は何ですか。

 将来は、言語や文化に関する知識を活かし、日本と中国をはじめとする異なる文化の人々をつなぐ仕事に携わりたいと考えています。言葉は単なるコミュニケーションの手段ではなく、人々の考え方や価値観を映し出すものでもあります。大学院での研究を通して培った言語への理解を活かし、互いの違いを理解し尊重し合える社会づくりに少しでも貢献できればと思っています。また、生涯にわたって学び続けながら、言語や文化の面白さを多くの人に伝えていきたいです。

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休日、まだ見ぬ世界へ

後輩たちに向けてメッセージをお願いします。

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掲載日 : 2026年6月18日


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