平和構築と個人の権利 -救済の国際法試論

片柳 真理, 坂本 一也, 清水 奈名子, 望月 康恵 著

A5判 216頁 2022年1月20日発行
3,300円(本体3,000円+税10%)
ISBN:978-4-903068-55-8

*電子版(Amazon Kindle) 注:機関向けも別途販売
2,420円(本体2,200円+税10%)
e-ISBN:978-4-903068-56-5

内容紹介

平和構築が論じられるようになって約30年たつが、この平和のための取組みを規律する国際法は必ずしも明確ではない。本書は紛争により被害を受けた個人の権利の救済に着目し、平和構築における国際法の役割や意義、さらに課題を論じる。
4人の著者は平和構築を通じての独自の法現象とその国際法に関する諸問題を救済の国際法の試論として提示し、さらなる議論の糸口となることを期待する。

目次

はじめに

第1章 「平和構築」の展開 望月 康恵

1.国連における平和構築の変遷 
2.国際社会の変化と平和に対する認識 
3.平和構築の実践過程において生じる問題 
4.法的アプローチの必要性 
 (1)国際政治学における議論 
 (2)国際法学における議論 
 (3)従来の議論の問題点 
 (4)本書の目的 
 (5)研究の概要 
結び 平和構築の新たな検証に向けて 

第2章 平和構築における人権規範
 ― ユス・ポスト・ベルム(jus post bellum)論の考察 片柳 真理

本章の背景と問い 
1.ユス・ポスト・ベルムをめぐる議論 
 (1)ユス・ポスト・ベルム必要論 
 (2)ユス・ポスト・ベルム不要論 
 (3)ユス・ポスト・ベルムとしての占領法規の可能性 
 (4)占領法規を越えるユス・ポスト・ベルム 
2.平和構築の実態 
 (1)武力行使後の平和構築活動 
 (2)国連暫定統治による平和構築 
3.平和構築における人権保護義務の担い手 
 (1)6つの事例における人権保護義務の担い手に関する分析 
 (2)平和構築と人権保護 
結び ユス・ポスト・ベルムの形成に向けて 

第3章 国連暫定統治における人権保護と被害者救済
 ― 平和構築を担う国際組織の責任について 坂本 一也

本章の問題関心と検討内容 
1.国連暫定統治の任務・権限―任務としての人権保護 
 (1)国連暫定統治の設置経緯とその任務・権限 
 (2)国連暫定統治における人権保護
 小括 
2. 国連暫定統治における権限行使の規範的制約―占領法規と国際人権規範
 (1)占領法規の適用可能性 
 (2)国際人権規範の適用可能性とその限界
 小括
3. 国連暫定統治における人権侵害の救済―司法的救済の限界と代替的救済手段
 (1)司法機関による救済とその限界 
 (2)代替的救済手段による救済とその可能性
 小括
結び 国連暫定統治における被害者救済の意義 

第4章 性的搾取・虐待の被害者救済と防止
 ― 国連平和活動が関わる事例を中心として 清水奈名子

本章の目的と用語の定義 
1.国連平和活動要員による性的搾取・虐待の国際問題化 
 (1)歴史的経緯とジェンダーの主流化 
 (2)被害の実態―申立件数とその内訳 
2.不処罰をもたらす法的課題 
 (1)義務違反と法的根拠 
 (2)性的搾取・虐待行為の帰属と防止のための相当の注意義務 
 (3)要員の特権・免除と「任務にとっての必要性」
3.被害者救済と予防に向けた取組み 
 (1)加盟国に対する働きかけと自発的コンパクトの締結 
 (2)被害者の救済と予防に向けた取組み 
結び 権利回復のための平和構築を担う主体の正当性 

第5章 国際刑事裁判所(ICC)における被害者救済の取組み
 ― 平和構築機能としての意義と課題 望月 康恵

問題の所在 
1.平和構築における人権の保護と促進の実態 
2.国際法違反行為の被害者に関する国際法上の諸原則 
3.国際刑事裁判所(ICC)における被害者
4.ICC における賠償に関する判断 
 (1)被害者の範囲 
 (2)賠償の対象と様式 
 (3)賠償命令と支援活動 
5.平和構築機能としての被害者救済 
 (1)賠償命令の社会的意義 
 (2)信託基金による支援活動の意義 
結び 平和構築機能を担う国際刑事司法の可能性 

おわりに

 

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