化学工学プログラム※平成30年度以降入学生対象

プログラムの紹介と概要

 化学工学とは,化学を実生活に役立てる際に必要となる工学の学問体系,つまり“化学の工学”である。 たとえば,新しく発見あるいは合成された優れた機能を持った物質を我々が実生活で利用するためには,これらを工業製品として必要な量を適正な価格で効率的に生産する必要がある。そのためには,限りある資源・エネルギーを有効に利用し,環境に配慮した最も効率の良い生産方式(プロセス)を選定あるいは開発しなければならない。つまり,どの原料からどのような反応,プロセス,装置,操作条件で目的生成物を生産すればよいか,廃棄物をどのようにして無害化し自然界に戻せば良いかなどの検討を行い,生産方式を決めなければならない。化学工学は,最適な生産方式の開発,新しいプラントや装置の設計・運転管理に必要な原理を一つの学問体系にまとめたものである。
 化学工学は,化学製品の生産プロセス開発に必要な学問として発展してきたが,これ以外の生産プロセス,たとえば食品,医薬品,鉄鋼,エネルギー産業などの生産工程も同様な考え方で構築できることから,化学工学を学んだ技術者はさまざまな産業で活躍している。また,化学工学の学問体系に基づいて生産プロセスを工夫することにより新しい機能性材料を開発することも可能であり,現在の化学工学ではこの点が注目されている。さらに,最適な生産方式や新しいプラントの開発は自然との調和の中で行うことから,化学工学は循環型社会を創るための工学としても役立っている。
 本プログラムでは,物質・エネルギーの効率的な利用や反応プロセスに関する教育・研究を通して,化学工学の基礎および専門知識を確実に習得した人材を育成することをプログラムの目標としている。また,化学工学の考え方は,グローバルな視野を持ちながら,資源,エネルギー,安全,経済,社会などを統合的に考慮しなければならない環境問題の解決に必要不可欠なツールとなっている。したがって,化学工学的見地から環境問題にアプローチできる人材育成を行うことも,本プログラムの目標の一つである。
 工学部第三類(応用化学・生物工学・化学工学系)へ入学した学生は,2年次前期まで第三類として共通の教育を受け,2年次後期より本プログラムに登録される。その後は,卒業まで一貫した教育体系により,化学工学技士(基礎)の試験に合格するレベルの化学工学に関する専門知識を習得することができる。
 卒業生の多くは大学院に進学し,より高度な専門技術および研究能力を習得している。また,総合化学・セラミック・繊維・医薬・食品・製紙などの化学系企業をはじめ,電気・金属・機械・建設・食品系企業,エネルギー・環境関連企業など,あらゆる産業分野に就職し,化学工学の知識を武器として国内外で大いに活躍している。なお,本プログラムは,日本技術者教育認定機構(JABEE)による化学および化学関連分野・化学工学コースでの認定審査を2004年度に、継続認定審査を2009年に受審し、教育活動,教育内容,卒業生の知識や能力などが充分なレベルにあることが認定された。

主専攻プログラムにおける教養教育の位置付け

 本プログラムにおける教養教育は,専門教育を受けるための学問的基盤作りの役割を担い,自主的・自立的態度の尊重,情報収集力・分析力・批判力を基礎にした科学的思考力の養成,ものごとの本質と背景を広い視野から洞察することのできる視座の確立,国際人として生きるにふさわしい語学力と平和に関する関心を強化し,幅広い知識を真に問題解決に役立つ知識体系へと統合するとともに,既成の枠を超えた学際的・総合的研究を開拓し推進する能力を養成します。

 プログラムの詳述書


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