知能科学プログラム

プログラムの紹介と概要

 急速なグローバル化に伴い経済・社会・環境の複雑化が進展する中で,さまざまな組織において自ら課題を発見し解決する能力を有する人材が不可欠となっている.また,情報化社会の飛躍的な発展により,「ビッグデータ」等の膨大な情報・データを効率的に処理分析し,エビデンスに基づいた組織戦略及び立案を担える人材の養成が喫緊の課題となっている.情報科学部における教育プログラムは,「計算機科学プログラム」,「データ科学プログラム」,「知能科学プログラム」の3つから構成され, すべてのプログラムに共通とされる基礎知識とスキルを修得した上で,さらに各々の領域における専門について深い見識と理解を有するスペシャリストを育成することを目的としている.
 現代社会におけるデータ/ネットワーク環境は急速に発展を遂げてきたが,その中でも特筆すべき点として,情報量の急速な増大(ビッグデータ),データの異質化・多様化(質的/量的データ,音声,画像,動画,文書,グラフ構造等),データの移動距離とスピードの飛躍的な増加があげられる.そのため今日の情報科学教育においては,計算機科学の基礎知識やプログラミングに基づいた高度な情報処理技術, 数学の専門知識や統計学の修得によって獲得される多様なデータの収集・処理・分析技術, そして人工知能に代表されるように, 新たな知識創造や人類がこれ迄になし得なかった課題を解決するためのイノベーションに繋がる先端技術など, 多様な能力の涵養が必要とされている.
 一方,「計算機科学」,「データ科学」,「知能科学」に共通して必要とされる知識やスキルを広く浅く学ぶだけでは,現在,多くの分野で要請されている情報科学のスペシャリストを養成することは困難である.そこで,3つの主要な学問分野にまたがるハイブリッドな素養を土台としながらも,「計算機科学」,「データ科学」,「知能科学」それぞれの領域において深い知識と能力を十分に発揮できるような多様性のあるスペシャリストを養成する必要がある.
 本学部では,1年次では,情報科学の基礎となる代数や解析などの高等数学, 情報数学, 確率・統計,プログラミング科目をすべての学生が履修する.2年次からは, 学生の興味と適性に応じて3つのプログラムのひとつに配属される. 各プログラムでは, 専門教育を実施する上で必要不可欠な基礎的専門科目が必修指定されており, さらに知識の幅を広げるために履修しておくことが望ましい専門科目を選択必修科目および自由選択科目として指定している. 3年次からは,各プログラムに所属しながら, 学生自らの将来におけるキャリア形成を考慮した履修モデルを選択する. 「基礎履修モデル」では, 情報科学における専門講義科目の履修を通じて, 基礎から応用に至る幅広い知識を学ぶことを目指す. 「融合履修モデル」では, 情報科学技術があらゆる学問分野や領域において必要とされていることを考慮し, 情報科学の学問的背景を持ちながら, 情報分野に限らず幅広い世界で活躍する能力を獲得する. 「実践履修モデル」では, 企業等への長期派遣経験を通じて, 大学での学びを再考するとともに, 産業界や社会で求められている実践的な知識やスキルを学ぶ.

 すべての学生は情報科学演習を履修することで, 各プログラムで必要とされる実践的なスキルを学ぶことが出来る. また, 各専門領域を先導する高度人材や, 地方創生や産業創生に資する応用力の高い人材のいずれにも拘わらず, 英語能力はグローバル人材には不可欠な素養である. 3年次にはすべての学生が実用英語を履修し,テクニカルライティングやコミュニケーションに関するトレーニングを行い, グローバル化が進む国際社会で活躍できる能力を養う. また, 2年次以降からは, 学外識者や企業・自治体との連携による実践・実務科目を開講し, すべての学生に選択必修科目としての履修を課すことで, 専門分野に偏ることなく社会で実践されている研究・開発動向に興味を持ち, 広い視野を有する人材を育成することを目指す.
 4年次には, すべての学生は, 卒業論文作成の事前学習として,卒業論文の担当教員の指導の下で各プログラムにおいて用意されたセミナーを履修する.セミナーでは,学術研究論文や専門書の輪講を通じて先端的学術成果に触れ,研究分野ごとに特徴のある研究方法,課題発見・解決法,文献検索・理解能力,プレゼンテーション技術,研究討論のためのコミュニケーション能力を修得する.「基礎履修モデル」と「融合履修モデル」を選択した学生は卒業論文を履修し,本プログラムを通して修得した専門的な知識・技能・能力を活用して,高度な研究テーマに取り組む.そのため,卒業論文の履修には専門的知識だけでなく,研究に対する計画性・積極性・協働性・継続性が不可欠である.これらの能力を統合的に高めることで,新たな課題を自ら発見し課題を解決する能力を培う.「実践履修モデル」を選択した学生は, 3年次と4年次に開講される長期フィールドワークを履修し, 学外での研究開発プロジェクトや調査フィールドワークに参加することで, 本プログラムを通して修得した専門的な知識・技能・能力を実践的な課題解決に活用する. 具体的には,情報科学部教員と学外組織(民間企業, 自治体)により研究開発や調査に対する具体的な目標と計画を設定し,研究・実験・議論を進めながらその目標を達成することで新しい付加価値を生む技術の獲得をより確かなものとする.

主専攻プログラムにおける教養教育の位置付け

 本プログラムにおける教養教育は,情報科学部の専門教育を受けるための学問的基盤作りの役割を担う.外国語科目や領域科目などを履修し,豊かで柔軟な人間性と広く深い見識を身に付けることで,国際社会でグローバルに活躍するための基本的素養・能力を養う.また,数学や統計データ解析などの基盤科目の履修を通じて,専門教育の基礎となる知識・技術を習得する.

プログラム詳述書


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