情報科学プログラム

プログラムの紹介と概要

 急速なグローバル化に伴い経済・社会・環境の複雑化が進展する中で,さまざまな組織において自ら課題を発見し解決する能力を有する人材が不可欠となっている.また,情報化社会の飛躍的な発展により,「ビッグデータ」等の膨大な情報・データを効率的に処理分析し,エビデンスに基づいた組織戦略及び立案を担える人材の養成が喫緊の課題となっている.
 本プログラムでは,データサイエンスとインフォマティクスに関するハイブリッドな素養を有し,さらに各々の学問分野における個別課題を解決することができるスペシャリストを養成する.すなわち,データサイエンスとインフォマティクスの基礎知識とスキルを獲得した上で,さらに各々の領域における専門について深い見識と理解を有するスペシャリストを育成することを目的としている.
 現代社会におけるデータ/ネットワーク環境は過去20年間に急速に発展を遂げてきたが,その中でも特筆すべき点として,情報量の急速な増大(ビッグデータ),データの種類の異質化・多様化(質的/量的データ,音声,画像,動画,文書,グラフ構造等),データの移動距離とスピードの飛躍的な増加があげられる.そのため今日のデータサイエンス教育においては,従来からなされてきた統計学,数学の専門知識の習得に加え,高度な情報処理技術やアルゴリズムを駆使して多様なデータの収集,処理,分析を行い,新たな知識創造や意思決定に繋げていくための能力の養成が不可欠といえる.
 一方,データサイエンスとインフォマティクスに共通して必要とされる知識やスキルを広く浅く学ぶだけでは,現在,高度に専門化・細分化された両分野におけるスペシャリストを養成することは困難である.そこで,両方の学問分野にまたがるハイブリッドな素養を土台としながら,データ分析とシステム開発それぞれの領域において深い理解と能力を発揮できるようなスペシャリストを養成する.
 本プログラムでは,2年次までは,情報科学の基礎となる情報数学科目や確率・統計科目,計算機科学科目,応用数学科目などのコア科目をすべての学生が履修する.コア科目は,両コースとも同じ履修指定となっており,すべての科目が必修又は選択必修科目となっている.2年次で情報科学の共通基礎科目を広く学習することで,コース選択後の学習の基盤を作るとともに,希望コースの選定や将来の進路決定の際に必要となる知識を修得する.
 3年次からは,自身の興味と適性に応じて,データサイエンスとインフォマティクスの2コースのいずれかを選択する.このような複合的カリキュラムを学部教育の初期段階において編成することで,複数の領域に対する幅広い視野を有し,最終的には専門とする領域のスペシャリストとしても高い能力を持つ人材の輩出を目指す.
  (データサイエンスコース)
  データサイエンスコースは,統計学をベースにしたデータ解析に重きを置いたコースであり,ビッグデータや高次元データなどの膨大な情報を処理分析するデータアナリストや情報サービスアナリストを育成する学問分野から構成されている.本コースでは,統計学の知識と情報処理のスキルを十分に生かしながら,データに基づいた高次の問題解決につながる知識と技術の体系を学ぶ.これにより,データに基づいた定量的かつ論理的な思考と多角的視野と高度な情報分析能力で課題を解決する能力, 統計とデータ解析の理論体系を理解し様々な情報を的確かつ効率的に分析する能力をもつ人材教育を行う.
(インフォマティクスコース)
インフォマティクスコースでは,データ分析に関する基本的かつ体系的な知識とスキルを学びながら,コンピュータのソフトウェアやアーキテクチャ,オペレーティングシステム,計算機ネットワーク,各種メディア情報処理技術を体系的に修得し,今日の高度情報化社会の基盤を支えるシステムエンジニアの養成を目指す.さらに,情報処理システムの構成・開発に関する科目,並列分散処理や機械学習,データマイニングなど高機能計算に関する科目,ネットワークシステムを利用したデータ分析・モデル構築に関する科目を学び,豊富な情報技術に基づいて最適なシステムソリューションを提供できる情報サービスエンジニアの養成を目指す.
 4年次には, 卒業論文作成の事前学習として,卒業論文の担当教員の指導の下で,データサイエンスとインフォマティクスそれぞれのコースにおいて用意されたセミナーを履修する.セミナーでは,学術研究論文や専門書の輪講を通じて先端的学術成果にふれ,研究分野ごとに特徴のある研究方法,課題発見・解決法,文献検索・理解能力,プレゼンテーション技術,研究討論のためのコミュニケーション能力を修得する.卒業論文では,情報科学プログラムを通して修得した専門的な知識・技能・能力を活用して,高度な研究テーマに取り組む.そのため,卒業論文の履修には専門的知識だけでなく,研究に対する計画性・積極性・協働性・継続性が不可欠である.これらの能力を統合的に高めることで,新たな課題を自ら発見し課題を解決する能力を培う.具体的には,データサイエンスまたはインフォマティクスに関する個別研究課題を設定し,担当教員の指導の下で,研究・実験・議論を進め,成果をまとめて卒業論文として発表する.これらの活動を通して,これまでに身につけた情報基盤の開発技術,情報処理技術,データを分析して新しい付加価値を生む技術の獲得をより確かなものとする.

主専攻プログラムにおける教養教育の位置付け

 本プログラムにおける教養教育は,情報科学部の専門教育を受けるための学問的基盤作りの役割を担う.外国語科目や領域科目などを履修し,豊かで柔軟な人間性と広く深い見識を身に付けることで,国際社会でグローバルに活躍するための基本的素養・能力を養う.また,数学や統計データ解析などの基盤科目の履修を通じて,専門教育の基礎となる知識・技術を習得する.

プログラム詳述書


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