第9回 HiHA Seminar「格子光シート顕微鏡による細胞分裂過程の定量解析」(5研究科共同セミナー:9月30日)

5研究科共同セミナーとして,第9回HiHA Seminarを開催します。
(主催: HiHA 広島大学健康長寿研究拠点)
ぜひご参加ください。

【演題】 格子光シート顕微鏡による細胞分裂過程の定量解析

【講演者】清末 優子 氏 (理研CLST細胞動態解析ユニット)

【日時】平成28年9月30日(金) 14:00-15:00

【場所】広島大学先端科学総合研究棟 3F 302S 会議室

【概要】
 「格子光シート顕微鏡」は、超解像レベルの分解能で細胞全体を1秒以内に3Dスキャンすることができる新しい顕微鏡法である。超解像顕微鏡法の開発者、Eric Betzig博士(ハワード・ヒューズ医学研究所)によって開発されたもので、筆者はこの開発研究に参画して、微小管伸長マーカー分子EB1-GFPを用いて分裂細胞の全域にわたる微小管の伸長ダイナミクスの3D追跡に初めて成功した。現在、3Dライブイメージングデータの時空間情報を定量解析する手法を構築しつつ、細胞分裂の制御機構の解析を進めている。本セミナーでは、格子光シートの原理、撮影事例ならびにデータの解析事例を紹介する。
 EB1タンパク質ははじめ、ヒトの重要ながん抑制遺伝子であるAPC (adenomatous polyposis coli) の結合タンパク質として同定された分子で、APCと共に微小管の配置制御に関わる分子である。APCに切断型変異が生じると細胞分裂にエラーを生じ、それが細胞癌化の一因であると考えられているが、APCの作用機構はまだよくわかっていない。今回、格子光シート顕微鏡で撮影したAPCノックダウン細胞の細胞分裂過程の解析から、APCと細胞分裂キナーゼとの重要な関係を見出したので、その成果を合わせて紹介する。


up