題名:量子暗号通信
講師:柴田 浩行 氏(NTT物性科学基礎研究所)
日時:2006年11月29日(水)17:00−18:00
場所:総合科学部 K203号室
講演要旨:
通信の安全性を確保するため、個人情報などのデータを暗号化して送ることは広く行われている。現在利用されているRSA公開鍵暗号は、盗聴の不可能性が素因数分解の困難さに依存しており、量子コンピュータの攻撃には脆弱である。最近、絶対盗聴不可能な究極の暗号として、量子暗号が登場した。量子暗号では光子一個に1ビットの情報をのせ、量子力学における観測の原理を基に暗号化(共通鍵を配送)しており、盗聴不可能性は量子力学によって保障されている。しかしながら、光強度の微弱な単一光子を利用しているため、通信速度・通信距離共に低く、実用化には至っていない。本講演では量子暗号通信の概略を述べた後、我々が提唱している新しいプロトコル、および超伝導を用いた高感度単一光子検出器の開発について紹介する。