量子半導体工学研究室の研究成果が応用物理学会機関誌の表紙を飾りました

フレキシブルエレクトロニクスの発展に向けて

 先端物質科学研究科量子半導体工学研究室では曲がるディスプレイに代表されるフレキシブルエレクトロニクス応用に向けた研究に取り組んでいます。

 このたび、ペットボトルの主原料であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上で単結晶シリコンを用いたデジタル回路を作製・動作させることに初めて成功しました。プラスチックの中でも特に安価なPETフィルム上に高機能電子回路を作ることで、画像を映したり、データを記憶したり、計算をしたりできる高機能フィルムへと進化させる技術の開発に成功したものです。

 PETフィルムは安価でしなやかという特徴を有する一方、耐熱温度が低いため、製造に高温が必要なシリコン集積回路を形成するのは不可能とされてきました。本研究では、水のメニスカス力(りょく)を利用することでPETフィルム上に単結晶シリコン膜を転写する技術を開発し、転写したシリコンを用いて130℃以下の温度で集積回路を製造するプロセスを構築しました。本研究成果により、曲がる・折りたためるディスプレイや、皮膚に張り付けるバイオセンサー、等の製品が従来よりも低価格で実現でき、フレキシブルエレクトロニクスの発展に大いに寄与できると考えられます。

 これらの研究成果は応用物理学会の機関誌に掲載され、表紙にも選出されました。また薄膜材料デバイス研究会での研究発表で、本研究室の水上隆達(M2、口頭講演者), 山下知徳(M2), 東清一郎(教授)が最優秀論文賞を受賞しました。

 

 

[応用物理学会]

 応用物理学および関連学術分野の研究の促進ならびに成果の普及に関する事業を行い、もって社会の発展に寄与することを目的とする電気・電子工学系の学会です。本研究は2017年9月号に掲載されました。

[第14回薄膜材料デバイス研究会 (2017年10月20日~21日)]

トランジスタやセンサー等の材料である薄膜材料の研究及び技術開発の推進に貢献することを目的とする学会です。また「最優秀論文賞」は特に優れた講演に対して贈呈され、今回の学会では審査対象約40件の中から選出されました。

「応用物理」2017年9月号表紙(クリックすると詳細が表示されます)

お問い合わせ先

先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻
量子半導体研究室 東 清一郎, 水上 隆達
TEL:082-424-7648  FAX:082-422-7038


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