TEL:082-424-7766
E-mail:kume513*hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
- 核サイズの維持と制御には、細胞内の膜の流れを調節するバリアタンパク質(核膜タンパク質のLem2と小胞体/ER膜タンパク質のLnp1)が必要であることを発見しました。
- 本研究成果は、長年の生物学における謎の一つ、核サイズ制御機構の解明につながるものであり、がん細胞や老化した細胞が示す異常な核構造(核の肥大化や歪な核形態)の原因究明への貢献が期待されます。
概要
広島大学大学院統合生命科学研究科・広島大学健康長寿拠点の久米一規准教授、英国フランシス・クリック研究所のPaul Nurse博士らの研究グループは、酵母を用いた研究により、核を適切なサイズで維持し、制御するために重要なバリアタンパク質を発見しました。
バリアタンパク質は、細胞内にある膜で覆われた細胞小器官(オルガネラ)である核と小胞体/ERにそれぞれ存在します(核のバリアタンパク質のLem2、ERのバリアタンパク質のLnp1)。バリアタンパク質による、核とER間の膜の流れの調節が、核サイズの維持と制御に重要であることを明らかにしました。さらに、同様の制御機構が、真核細胞のその他のオルガネラにおいても適用されている可能性を提示しました。
本研究成果は、「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。
論文情報
- 掲載雑誌: Nature Communications
- 論文題目: Nuclear membrane protein Lem2 regulates nuclear size through membrane flow
- 著者: Kazunori Kume1、2*、Helena Cantwell2、Alana Burrell3 and Paul Nurse2、4
1. 広島大学大学院 先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻(論文投稿時の所属)
2. Cell Cycle laboratory, The Francis Crick Institute
3. Electron Microscopy Science Technology Platform, The Francis Crick Institute
4. Laboratory of Yeast Genetics and Cell Biology, Rockefeller University
* Corresponding author(責任著者) - DOI: 10.1038/s41467-019-09623-x
【お問い合わせ先】
広島大学大学院統合生命科学研究科
准教授 久米 一規