広島大学大学院統合生命科学研究科
准教授:荒川 賢治
TEL:082-424-7767
E-mail:karakawa(at)Hiroshima-u.ac.jp
(注:(at)は半角@に置き換えてください)
広島大学大学院統合生命科学研究科(生物工学)の荒川賢治准教授のグループは、理化学研究所・東京農業大学・国立感染症研究所・本学自然科学研究支援開発センターと共同研究を行い、2つの抗生物質ランカサイジンおよびランカマイシンを生合成する放線菌Streptomyces rochei 7434AN4株の線状染色体の全塩基配列決定を達成し、全長8,364,802 bp、GC含量71.7%、7,568個のORFを有することを明らかにしました。以前配列決定をした3つの線状プラスミドpSLA2-L (210,614 bp), pSLA2-M (113,464 bp), pSLA2-S (17,526 bp) と合わせると、全ゲノムは8,706,406 bpとなりました。また、Streptomyces属放線菌は通常6つのリボソームRNAオペロンを有していますが、本菌は計7つ存在しておりました。さらに、抗生物質などの二次代謝産物生合成遺伝子クラスターについてデータベースとの機能予測をしたところ、染色体上に少なくとも35個の二次代謝生合成遺伝子クラスターを見いだすことが出来ました。その中には、著者らのグループがすでに生産性を確認したアゾキシアルケン化合物KA57-Aおよびポリエンマクロライド化合物ペンタマイシンを含んでおりました。
本菌の有する3つの線状プラスミドはそれぞれ特徴を有しており、pSLA2-Lは、2つの抗生物質ランカサイジンおよびランカマイシンの生合成遺伝子クラスターおよびそれらの制御遺伝子群をコードしており、またpSLA2-MはCRISPR配列を有しています。そしてpSLA2-Sは線状ゲノムの末端複製に必須なtpg-tap配列を有しておらず、染色体およびpSLA2-Sの線状ゲノム構造維持はpSLA2-LおよびpSLA2-Mによって司られていることを本成果で改めて確認しました。
染色体上の二次代謝生合成遺伝子クラスターに注目すると、上述のKA57-Aおよびペンタマイシンに加え、特異な骨格形成を司り、なおかつ顕著な生理活性を有する二次代謝生合成遺伝子クラスターも存在していることが示唆されました。著者らが展開しているゲノムマイニング技法を駆使することで、放線菌ゲノムの生物資源としての有用性をさらに引き出すことが大きく期待できます。
本研究成果は、「Scientific Reports」オンライン版に令和元年7月29日に掲載されました。
広島大学大学院統合生命科学研究科
准教授:荒川 賢治
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掲載日 : 2019年07月29日
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