共生社会医学

石井 伸弥 寄附講座教授

【研究キーワード】
認知症、老年医学、地域包括ケア、共生社会

【最近のハイライト】
本講座は認知症地域包括ケアを含めた地域共生社会の実現に貢献することを目的として2020年4月1日に開設されました。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の認知症の人に対する影響調査を実施し、8月に結果を公表させて頂きました。
10月7日新型コロナウイルスと共存する時代の共生社会のあり方をテーマとした広島大学認知症シンポジウムの開催を予定しております。

研究者総覧へのリンク

【研究内容】
2012年に行われた全国調査では認知症の人は462万人、高齢者の約7人に1人が認知症と推計されました。その後も認知症の人の数は増え続け、現在では500万人を超えると考えられています。同様の推計手法を用いると、広島県においても今後20年間ほどで認知症の人は約4万人増えるだろうと考えられます。
このように認知症の人が増えていく中、認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく、認知症の人と寄り添いながら、認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができる、つまり「共生」する社会を目指した環境整備を行っていくことが重要と考えられます。本講座では共生社会とはどうあるべきか、ということをテーマとして、認知症を軸として様々な調査研究を行っていこうと考えております。
本講座での取組を一つご紹介させていただきます。2020年8月上旬に中国新聞やNHK等で取り上げていただきましたが、全国の医療・介護施設や介護支援専門員(ケアマネ)を対象として、新型コロナウイルス感染症拡大下において認知症の人やご家族にどのような影響が現れたのか、調査を行いました。施設での外出制限や面会制限、在宅での介護サービスの縮小などによって、認知症の人には様々な日常生活上の制限が生じておりました。その結果として、施設の約4割、ケアマネの約4割が認知症の人に認知症症状の悪化や身体機能の低下などの悪影響が現れたと回答しています。さらに、在宅においては、家族が介護サービスに代わって介護を担うことになり、仕事を休む、体調を崩すなどの影響がみられていました。
新型コロナウイルス感染症への対応は今後ますます重要となっていきます。本講座でも引き続き取り組んで参りたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

図1. 感染拡大下において認知症者にみられた影響

図に示した%は影響がみられたと回答した施設の割合を示している。
ADL: 基本的日常生活動作 (日常生活における基本的な移動や食事、更衣、排泄、入浴などの動作)
IADL: 手段的日常生活動作 (料理や買い物等の家事、交通機関の利用、電話、服薬管理、金銭管理等複雑な日常生活動作)


up